落語の『花見酒』
「酒がなくて なんの花見かな」。花見には酒はつきもの。
そこで「酒を売りに行けば売れるだろう」と考えた二人。
元手の金はないから、酒屋に行って、酒を一樽と 釣銭用にと
10賎を借りた。
さて、樽を担いで向島に向かった二人。途中で酒が飲みたく
なった。まず兄貴分が、先ほどの借りた10賎で一杯。
今度は弟分が、兄貴よりもらった一銭で一杯。そうやって
交互に一杯、また一杯と・・・・。 とうとう樽は空に。さて
「売り上げは」と勘定してみると、10賎だけ。
酒屋に「酒代」の支払いをせねばならない。借金だけが
残ったという話。
どうも「古典落語」は、アホ丸出し。教養も知恵もない
マヌケの話で、くだらないと思っていた私。
でも この話。「そんなアホな」とバカにしていられない
ことに気づいた。
バブルの頃の「土地ころがし」は、まさにこの「花見酒」と
同じではなかったか。銀行から借金して土地を買う。
転売して、また買って、売って。土地が同業者の間を
行ったりきたり。株もそうだった。その挙句、地価も
株価も暴落して、気が付いたら、金は無い。悪夢だった。
いや、詩吟や琵琶、邦楽界も、まさに「花見酒」ではないか。
会を催せば、同業者が「ご祝儀」を持ってきてくださる。
今度、その方が会を開けば、「御祝儀」を持っていく。
差し引きゼロ。
つまり、仲間内で「ご祝儀」をやりとり(交換)して
いるだけ。一般客がチケットを買って聴きに(見にきて)
くれない限り、業界としては外貨は稼げない。
そんな努力を怠っているかぎり「花見酒」である。
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