12/7 短歌会館で私の独演会。
オークションで入手した「一節切(ひとよぎり)」を
公開する。裏孔が二つある珍しい一節切。一つの孔は
祥啓画の「朗庵像」に描かれている「響孔」なのだ。
中国の明笛と同様、薄い膜を貼って、ビリビリと響かせ
るものだ。日本ではこれまで一本も確認されていない。
マスコミ各紙にニュースレリースを送ったが、まだ
どこも飛び付いてこないのは残念。
「家康愛用」と伝えられる「一節切まむち」が、
岡崎市の法蔵寺に秘蔵されている。
小田原北条氏が滅びた時、徳川家康は、北条氏綱の娘
香沼姫に「北条幻庵の一節切を渡せば、北条家を再興
させてもよい」と、手紙を送ったという。北条幻庵は
北条早雲の第3子で北条氏滅亡の前年まで生きた。
幻庵の作る一節切は鳴りも良く、「幻庵切り」として
都まで評判となっていた。それを家康が欲しがったの
である。
香沼姫は、これを拒絶し、その代わり「玉葉和歌集」を
送ったという。「玉葉集」は1312年に撰集された勅撰和歌集。
一節切が、北条氏再興を左右するほどの価値があったのだ。
今その一節切は小田原の山本良久氏によって、香沼姫の
墓とともに大切に維持保管されている。
沼津の耕雲寺には「武田信玄の一重切一対(2本)」が
秘蔵されている。みな公開したがらないので、世に知ら
れず、その価値が認められていないのは残念。
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