大手広告代理店「電通」がトヨタなど100社以上のクライアントと
過剰請求で揉めていたことが明るみに出た。総額で2億3千万円以上の
過剰請求をしており、さらに架空請求まで 行なっていた。
悪質な問題にもかかわらず会見には社長は出席せず、電通は文書で
「複数の不適切業務が行われていた」と公表し、会見でこの点を追及されると、
「不適切という表現をしていますが、不正と読み替えていただいても結構です」
などとふてぶてしく応答したそうな。
私も保険会社の広報部に勤務していたので、事情はよく分かる。
広告代理店は、各社、各営業担当がテレビCMの枠を埋めるために血眼になって
各企業にお願いして回る。「〇〇という番組のテレビCM、30秒空いているので
定価1000万ですが、500万でどうですか」と。日時が明日に迫ってくると
「100万でいいですから、お願いします」と泣きついてくる。
30秒、絶対に空けるわけにいかない。それを見越して、クライアントもギ
リギリまで引っ張って、OKを出す。駆け引きだ。定価で買う(広告を出す)人はいない。
ところで、一つの枠について、何社もの広告代理店、何人かの営業マンが
各企業にお願いして回るので、同時に何社からも契約を取り付けてしまうことになる。
枠は一つだから、数社と契約成立させておいて、放映するのは一社だけとなる。
千代田生命のような ちっぽけな会社は、たまにしかCMを打てないから、はたして
ちゃんと放映されたかどうか、タイマーでビデオを撮って確認する。放映されると
大喜びだ。
だが、トヨタなど大手企業となると、一日に何回も、しかも各チャンネルで
全国ネットで放映されるから、とても全部は確認できない。それで不正が起きる。
代理店は、放映されずとも知らんふりしてきた。値段をダンピングした分
同時多数契約で穴埋めする。そんなことは当然とばかりに、業界の常識だったのだ。
ついでに、今回のオリンピックにまつわる電通の契約は天井知らず。なんで
あんなにかかるのか理解不能。とにかくアバウト。「獲れるとこからは盗る」が
広告代理店というもの。