東映アニメの「とんちんかんちん一休さん」に出てくる話。
清貧に甘んじ、誠実に生きた武士の子が、その父の死後、貧しさに負けて泥棒をして食いつないでいた。その子を立ち直らせようと一休さん、一計を案じる。
その子の前で一芝居を打って、わざとスリをさせる。
分厚い重い財布を盗んで「しめ、しめ」と大喜び。
財布を開けてみたら「お位牌」。文字を見ると、なんと父親の戒名。その子は、ブルブル震え「父上、父上、申し訳ございません!」と、地の触れ伏して、おいおい泣きだした、とさ。
そこで一休さん「闇の夜に 鳴かぬ烏(からす)の声きけば
生れぬ先の父ぞ恋しき」と、諭したのでした。
◆次は、私の創作話「一休さん」
一休さんは糊口をしのぐために、扇子に絵を描いて売って歩きました。さて、何の絵を描いたでしょう。そう「烏(からす)」の絵です。
さて、一休さん絵の評判を聞いた将軍様が「どれ、一休とやらを連れて参れ。百本ほど買ってやろう」と家来に申しつけました。
お召しにより、一休さん。扇子百本を 将軍様の前に差出しました。
将軍様が その扇子を開いてみると・・・・・。
「ななな なんじゃ、これわぁ!」と、将軍様は大怒り。
扇子はどれもこれも、ただ真っ黒に染められていただけでした。
一休さんは すまし顔で、「“闇夜の烏”見えませぬか?」と。
そして「闇の夜に 鳴かぬ烏(からす)の声きけば 生れぬ先の親ぞ恋しき」と詠んだのであります。
将軍様は その意味が判らず、目を白黒するばかり。
民百姓の声無き声を聞けば、天命を知るということでしょうか。