落語の「一目(ひとめ)上がり」に出てくる「一休の悟(ご)」
「仏は法を売り、祖師は仏を売り、末世の僧は祖師を売る。
汝五尺の身体を売りて、一切衆生の煩悩を済度す。柳は緑、
花は紅の色いろ香。池の面に月は夜な夜な通へども 水も
濁さず影も止めず」。
この「一休の悟(ご)」の出典を探していますが
見つかりません。おそらく、原典と思われる話が、
『一休関東噺咄(はなし)』の上巻・第四にありました。
◆「傾城に引導渡さるる事」
「傾城」とは「遊女」のこと。東海道「赤坂の宿」(現、愛知県
豊川市)の遊女「が臨終にあたって、
一休に「遊女の身では罪深く、 成仏できないと聞きますが、
ぜひ引導をお願いしたい」と一休に懇願する。そこで一休、
「僧は衣を売り、女は紅を売る、柳は緑、花は紅、喝」と。
『一休関東咄』は江戸時代の寛文12(1672)年の刊行。
一休は関東まで赴いていませんので、当時の戯作者の
作り話です。そしてこの短文を元に落語で、これだけの
「詩偈」を創った人の才能には感心します。
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