2008年11月に公開された、
あの、紅白歌合戦の司会のコンビ、
中居正弘さんと仲間由紀恵さん主演の映画の題名です。
当時、変わった題名だなと・・・・・
映画館で観る機会がなく、
先日、「アウトブレイク」といっしょに借りてきました。
C級戦犯として死刑を求刑され、処刑された
中居正弘演じる清水豊松と
その家族の戦争に翻弄された物語。
この「私は貝になりたい」の言葉は
豊松が処刑される前に書いた遺書の中の言葉ですが、
このDVDを観て初めて、
この言葉を豊松に言わせた背景が、
よくわかりました。
「天皇は、私を助けてくれなかった。私は天皇陛下の命令として、
どんな嫌な命令でも忠実に守ってきた。
私は一度として軍務をなまけたことがない。そして、曹長になった。
天皇陛下よ、なぜ私を助けてくれなかったのですか。
きっと、あなたは私達がどんなに苦しんでいるか、ご存知なかったのでしょう。
私はそう信じたいのす。だが、私はもうなにもかも信じられなくなりました。
耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶというのは、私に死ねということなんですか?
私は殺されます。このことは、きまりました。
私は死ぬまで陛下の命令を守ったわけです。
ですから、もう貸し借りはありません。
だいたい、あなたからお借りしたものは、
支那の最前線でいただいた七・八本の煙草と、
野戦病院でもらったお菓子だけでした。
私は、私の命と長いあいだの苦しみを払いました。
ですから、どんな上手い言葉を使ったって、もうだまされません。
あなたとの貸し借りは、チョンチョンです。あなたに借りはありません。
もし、私がこんど日本人に生まれかわったとしても、
決して、あなたの思うとおりにはなりません。二度と兵隊にはなりません。
けれど、こんど生まれ変わるのならば、私は日本人になりたくありません。
いや、私は人間になりたくありません。
牛や馬にも生まれません、人間にいじめられますから。
どうしても生まれ変わらねばならないのなら、
私は貝になりたいと思います。
貝ならば、海の深い岩にヘバリついてなんの心配もありませんから。
何も知らないから、悲しくも嬉しくもないし、痛くも痒くもありません。
頭が痛くなることもないし、兵隊にとられることもない。
戦争もない。妻や子を心配することもないし、
どうしても生まれ変わらなければならばいのなら、
私は貝に生まれるつもりです」
豊松がこの遺書を書き処刑される場面で映画が終わるのですが、
戦争の理不尽さ、怒りや憤りより、
ただただ、何とも言いようのない悲しみがこみ上げてきました。