グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

唐芋、甘藷、さつま芋

2009年11月13日 | 植物
 低気圧の通過と前線の影響で、ものすごい風の一日でした。海も大荒れで、夕方の東京行きジェット船は欠航、アタミ行きは2時間の繰り上げ出帆となりました。夜になった今も吹き続けています。

 20年程前、大島で暮らし始めた頃は、風が吹くのを心待ちにしていました。塩作りの研究施設で働いていたのですが、そこでは自然エネルギーを利用した製塩法の開発が急がれていて、何日も吹き続ける強力な季節風で、ヤグラに掛けたネットを流れ下る海水の濃縮装置の試運転段階でした。太陽光線の強い夏場よりも、風が吹き乾燥したこれからの季節の方が効率がいいのでした。

 さて、今日は、芋畑でチョット珍しい花を見つけました。アサガオを小さくしたようなラッパ型の花です。地域や人によって、この芋の名前は色々に呼ばれているようですね。大島や関東周辺では、「サツマイモ」が一般的ですが、沖縄では「唐芋:カライモ・トウイモ」、九州では「琉球芋:リュウキュウイモ、甘藷:カンショ」、他に「アメリカイモ」などと呼ぶ地方もあるようです。

 これからの季節、焼き芋にして食べるのが美味しいです(大島では芋焼酎も!)。ヒルガオ科の多年草で、暖地では、秋に淡紅色の花を付けることがあるそうです。中南米原産で、17世紀前半に、中国・琉球を経て九州に伝わり、普及したそうです。

 大島の水はけの良い砂地は、サツマイモや落花生・ラッキョウの栽培に適しています。戦中・戦後の食糧難の時代に、サツマイモと魚だけしかなかったので、嫌いになったと云う人もいますし、今の品種は甘くて美味しくなって食べられると言う方もいますね。最近は、芋の皮が紅色のベニアズマ、ナルトキントキ、白っぽくて長期保存にむくコガネセンガン、皮も中身も紫色のムラサキイモなど、形も色も様々で楽しいです。

 春、苗場で芋の目出しを行い、苗を採るわけですが、冬の間は「室:むろ」に入れて芋を長期間保存します。近所のお爺さんに見せて頂くと、畑の脇の日の当たる斜面に穴を掘って、その中にひとかたまりにして入れ、埋めます。この時のポイントは、芋の周りに松葉をたっぷり入れることだそうです。野山にいるアカネズミは、松葉の匂いと尖った葉先が嫌いだそうで、お芋を食べずにいてくれます。長年の経験から生まれた智恵ですね。

 天然自然の話ではありませんが、畑や里山も楽しいことがいっぱいです。

(なるせ)
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