グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

油屋さん

2009年11月27日 | 植物
 つばきの花が道や地面に咲いています。木の枝には、もちろん、つぼみもたくさん付いて次々に咲きます。サザンカと花は似ていますが、花びらが1枚ずつハラハラ散らず、花弁とオシベが一体になったまま、ポトッと落ちて地面でもしばらく咲いています。
 それにしても、この時季から、このペースで咲いてしまって、真冬になっても咲いてくれるのでしょうか? 気候変動の影響がちょっと心配です!!

 8月4日に今年初めて椿の実を拾って日記に書き、油搾りをレポートする予告をしていました。
 大島は水田が出来ないので、お米(水稲)は自給できませんが、油は自給できます。ゴマ油や菜種油、それにオリーブ油にしても、作るのは大変に手間が掛かり、とてもぜいたくな物です。10月28日付当ブログ「集まりました」(byのり)にあるように、島民はツバキの実を集めて油にします。食用油として1年分使うだけの完全自給は、なかなか難しいとしても、時々自家用で使う程度の実を拾うのは子どもたちもしています。拾うばかりではなく、木から「さく果」のまま収穫して、天日に干し、厚い果皮が割れるのを待って種子(実)を取り出したりもします。

 

 椿の島だけあって、油屋さんは数軒あり、それぞれに搾り方などが異なるそうです。
 しばらく前までは、私の住む島の南部にも実を搾ってくれる「油屋:あぶらや」さんがありましたが、廃業されたので、最近は元町の高田(たかた)製油所さんにお世話になっています。
 製油所では、持ち込まれてくる椿の実を検品して、干しが甘いものは庭先に広げてよく乾燥させ、上の写真のような大きな袋で倉庫に保管し、翌秋まで1年かけて少しずつ搾ります。
 今年は、実がよくなった「なり年」でした。椿山を持っている農家では、1トン程も収量があったそうです。(すごい!!)




 油を搾るには、実を細かく砕いて少し蒸してアクを抜いてから、油圧式の圧搾機にかけます。玉じめという昔ながらの方法です。上の写真の手前にある厚くて丈夫な袋に、砕いて蒸した実を入れ、右側の機械のようにセットして、機械を作動させると下の台がせり上がって上に押し付けます。すると、じわ~と油が出てきます。(この時は圧搾機が稼動していませんでした、残念!)




 上の写真、搾り粕を砕いた山です。向こう側にタイヤを5段重ねたように見えるのが、砕く前の搾り粕です。圧縮されて土くれのように硬くなっています。
 搾り粕は、エキスを抽出して洗髪液を作ったり、田んぼに肥料として入れたり、塩炊き釜や薪ストーブの燃料などにも使われますが、最近は製薬会社に原料としても引き取られるそうです。




 ツバキの実を油屋さんに持ち込んで換金してもらう方もいます。我が家のように、油に交換してもらうこともできます。椿油は、お肌のお手入れに最適! 黒髪を維持する効果、酸化しにくくサビにくいので昔から刀剣・刃物の高級油としての使い方もあり、もちろん食用にも・・・。
 高田製油所さんでは、工場見学もでき、製品の小売もしてくれます。一度お訪ね下さい。

(なるせ)
コメント
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