グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

火を焚いて

2009年11月20日 | 歴史・文化
 このところ急にグッと寒くなったので驚き、冬の到来を実感してます。南米沖のエルニーニョ現象が冬まで残って、その影響で暖冬傾向との長期予報だったはず・・・。でも、今日は、また少し暖かさが戻ってくれました。今頃の雨を「山茶花梅雨(サザンカづゆ)」と言いますね。サザンカもあちこちで咲いていますが、元々は大島にはなく、人の手による移入種だそうです。

 もう、十日ほど前になります。ご近所のあの炭窯(10月30日、11月6日の日記参照)に炭木を詰めました。太いマテバシイの丸太を窯の奥から立てていきます。ある程度立てたら、天井との間に細い枝の「差し木」を隙間がないように入れます。これを繰り返して、窯の口までギッシリ詰めました。



 伊豆諸島は雨の日が続くとの週間天気予報でしたので、炭木を詰めて作業は中断してしまいました。窯の口で3日ほど火を焚き続けなければならないので、夜中にも火の具合を見る必要があるなど、雨の中の作業は大変だからです。
 それで、雨の上がった日曜日に火を焚きました。



 いろいろと教えて下さった、お師匠さんのM氏は、毎日、七輪で炭を熾(おこ)し、囲炉裏も使って生活されています。大島では風呂を薪(まき)で焚く家も、まだまだ案外残っていますよ。M氏宅も薪焚きのお風呂です。
 最近の都会的な生活では、火を焚くこともあまりないようですね。禁煙の傾向ですし、キャンドルやお香で、炎や煙を楽しむ程度でしょうか? システムキッチンでは、IH(でしたっけ?)電磁調理器が流行ってきているとか。煮炊きにガスの火も見られなくなりつつあるんですね。
 パチパチと薪の燃える音や煙の匂いは、とてもいいものです。



 炭小屋の奥に立っている煙突から出る煙は、冒頭の写真のようにずっと白や灰色をしていましたが、炭木に熱が移って炭化が始まると青白く変化するのだそうです。
 今まで書き忘れていました。今回炭木にしたマテバシイの木は、梅雨の前ごろに伐採したものだそうです。あまり乾燥させると燃えて灰になってしまうので、生の内に炭にします。伐採して、すぐでもいいそうです。クサヤの燻製も生干しの方が美味しいですね!(関係ないけど)。



 煙が限りなく透明に近くなり、すっぱい感じの匂いになったら、窯の口と煙突をふさぎます。密閉すると火が消え、炭化した状態で止まるわけですね。扉を閉めて、隙間を「目塗り:めぬり」するのは、灰を水で練って作ったパテです。乾くとカチカチになりました。これも先人の智恵ですね。捨てるものはありません。
 このまま2週間ほど置いて、完全に温度が下がってから開けてみるそうです。炭の出来具合も楽しみですね~!!

(なるせ)


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バットディテクターとライトトラップ

2009年11月19日 | 
昨日は、スタッフ勉強会の日でした。

勉強会のテーマはバッドディテクターの効果を確かめることと、晩秋のライトトラップです。
まず、店に虫を寄せるためのライトトラップを仕掛けてから、コウモリを探しに行くことにしました。

上の写真は完成したライトトラップです。
なんだか良い雰囲気で、ちょっと居酒屋風ではありませんか?

ところでバッドディテクターとはコウモリの超音波を人間の耳で聞ける音に変換してくれる機械です。
先日車で走りながらこれを試した天野によると、キクガシラコウモリの発する
ピロピロピロ~という可愛い音が何度も聞かれたというのです。

夜に飛び回って虫を探すコウモリは、スピードが早すぎて中々ゆっくり観察できません。
でも音を聞くことができれば来年のナイトツアーも盛り上がるに違いありません。
「是非どれくらい楽しいか試したい!」ということで、皆で夜の道へ繰り出しました。

しかし、残念なことに車で1時間以上走ってもピロピロピロ~という音を拾うことはできませんでした。
飛んでいる影を見たスタッフもいましたが、圧倒的に数が少ないようです。
気温は12度。ほとんどのコウモリは冬眠に入り、まだ食べ足りないものだけが飛んでいたのかもしれません。

「こうなったら、虫に期待しよう!」そんな話をしながら店に着いたのですが…。

シ~ン…。

店ではライトアップされたシーツが真っ白のままでハタハタと揺れていたのでした。
「きゃ~、虫もスカですか~!?」

皆で寂しく店でお茶を飲んでいたら誰かが叫びました。
「あ!来た来た!」

白いシーツをバックに小さな蛾がヒラヒラと飛んで来ました。

数センチの目立たない蛾だったのですが、心待ちにしていたので皆大喜びでした!
やってきたのはこの蛾です。タマナヤガという名前の蛾だそうです。よくぞ飛んできてくれました~!

その後は1匹、又1匹と順調に新しい客人(蛾?)が訪れました。

ボロボロのシロツバメエダシャク。鳥か何かに襲われたのでしょうか?


左前の足も折れているようです。


ナカウスエダシャク(たぶん)


そしてデッキの隙間に逃げ込んだシロツバメエダシャクを手乗りにしようと奮闘する鴻池です。


他にシロオビノメイガも現れて、昨日の成果は蛾が4匹。
数は少なかったですが、お茶を飲みながら待っていると、いろいろな蛾が順番に飛んでくるというシチュエーションは
とても楽しかったです。
白いシーツが映画のスクリーンみたいな感じがしました。

これからは室内勉強会の度に虫観察しながら話し合いをしようという企画を立てて解散しました。

虫を愛でつつ暖かい飲み物と会話を楽しむなんて、なかなか素敵な夜の過ごし方だと思うのですが、
皆さんどう思われますか~?(笑)

(カナ)
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秋の花

2009年11月18日 | 植物
みなさん、こんにちは。
ここ数日寒い日が続いていますね。

日没もすっかり早くなりました。5時には真っ暗ですものね。
日没が早くなったおかげで、夕焼けを見る機会が増えました。
4時半ころ海へ行くと、伊豆半島と富士山のシルエット、
真っ赤な空、美しい色合いの雲、そして海に沈む真っ赤な太陽が
見られます。
今がサンセットが一番美しい時期かも知れませんね。

今日の写真はイソギクです。
夕焼けを見に海に行ったときに、そろそろ咲きそうだなとチェックしてました。
今日昼間海沿いを通ったらきれいに咲いてました。

このイソギクとワダンの黄色の花が、秋の大島の海岸を彩ります。
イソギクの葉は白く縁取られていて、とても浮き立って見えます。
私はそれがとても好きです。

(のり)


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芋掘り体験

2009年11月17日 | 歴史・文化
 今日は真冬のような寒さです。北東の風がぴゅーぴゅー吹き、雨もたくさん降っています。

 今日はこの時期としては異例の寒さだそうですが、(12月上旬並み)もうちょっとで本格的な冬になりますね。

 さて、今頃の時期、島の人たちが楽しみにしている自然の恵みがあります。10月19日のブログで嶋田さんがもう書かれていますが、自然薯です。

 今回は、島出身の方からのありがたいお誘いを受けて自然薯堀りに連れて行っていただきました。山を歩くとあちこちに誰かが掘った自然薯堀りの穴を見ることがあるので、だいたいどれくらいの大きさの穴を掘るのかはなんとなく知っていましたが、大きいものでは人がすっぽりと入れるくらいの大穴です(^▽^;)

 後で知ったのですが、上手な人ほど小さな穴で自然薯をゲットできるみたいです。もちろんイモ掘り初体験の私たち夫婦は墓穴クラスのでかい穴を3つも掘ってしまいました(^▽^;)
(山芋堀りでは掘った後にきちんと穴を埋めるのがマナーです!)

 

初心者の私たちにはどこにイモがあるのかも見当つかないので、達人が場所を教えてくれたり至れり尽くせりで助けてくれます。しかしそれでも上手な人はあっという間に自然薯を掘り出しているのに対し、我々は二人がかりで1時間近くもかかってしまいました。

無心に地面を掘っていると、白いものが転がってきました。手を休めて見てみると、セミの幼虫です。

多分アブラゼミだと思うのですが…2齢か3齢くらいの幼虫ではないかと教えてもらいました。写真を撮り、そっと軟らかい土の上に置くとゆっくり潜っていきました。

 結局あまりにも掘るのが遅いので、他の人に手伝ってもらってようやっと掘り出すことができました!その自然薯がこれです。重い…(^▽^;)


 その後も3つも山芋を掘り、明日は100%筋肉痛確定です。(T_T)

もちろんすりおろして食べるのですが、その辺の画像などは10月19日の記事を見て頂くとしましょう。

 今回は地元の方が地主の方に許可をとって掘っていますが、自然薯がこれくらいの大きさに育つには5,6年かかるのだそうです。なので毎年同じ場所で掘ると自然薯がなくなってしまうので、毎年ローテーションでポイントを変えて掘っているのだそうです。なおかつ掘ったイモの根元部分を近くに植えておけば、数年後にまたそこからイモが収穫できるとのことで、昔ながらの知恵と、捕り尽くしてしまわない様な工夫に感心しました。

 また、よく似ている毒イモもあるそうなので知識が無くてはとても手を出す気にはなれません(^▽^;)今回お世話になった地元の方に感謝です!

 今回私たち夫婦が2人がかりで掘った自然薯です。
(ニンゲンは比較用です。)
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マテバシイの団栗

2009年11月16日 | 植物
これはマテバシイの団栗。大島の南部にはとにかくいっぱい見つかる!

マテバシイは、本州(関東地方より西の太平洋側)、四国、九州などに分布している常緑樹であちこちの学校や庭などに植えられているので、とてもよく目にする木です。6月ごろに花を咲かせ、その後、2~3㎝の長さの大きな団栗をつけます。面白いのはマテバシイの団栗は他の多くの団栗とは違って、帽子から離れて地面に落ちていることがほとんどです。
この団栗は、フライパンなどで煎るとおいしく食べられます。(他の物と間違えないように。生で食べてもおいしくないですよ)しかし、小型のスダジイの団栗は生で食べてもおいしいです。

人間だけでなく、動物たちも食料としています。(ネズミ類・リス類・熊・カケス他多数)

この団栗地面に落ちた後、新しい芽を出す為の大敵が乾燥だそうで、落ちたらすぐに土に埋めてやらないと発芽しないそうです。そこで疑問が、誰が埋めるの?今は、ネズミやリス達が冬の食料貯蔵であちらこちらに埋め、すべてを食べないで(埋めたところを忘れてしまうのか、節約して食べて居る内に春になり新しい食料があるのでもう古いのは用済みになってしまうのか)そこから発芽した。しかし、このシイの木の発生はねずみ・リスの発生よりもっと前になるので埋めてくれる動物はいなかったよ!  ???なぞ

その頃は 乾燥に強かった?(と 私は勝手に結論づけてしまおう)好奇心から団栗を植えてみよう。春になったらかわいい芽ぶきが見られますでしょうか?(春に続く かも)

食べるだけではなく、錐で孔をあけ中身を出して団栗笛なども作れる
でも近くにクヌギのまん丸な団栗が無いので憧れる(欲しいだけなのですが)

団栗を食べる方はあくまでも自己責任で!(私のお腹は大丈夫でしたが人によっては弱い方も居るかもしれませんから)

                   (しま)
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フシグロのその後

2009年11月15日 | 植物
先日日記で書かせていただいたフシグロの種が割れました!
割れた瞬間を押さえられたら良かったのですが・・
それはさすがに奇跡的なタイミングでしか出来ませんよね・・^^;
種の割れ方・・・


それはそれは潔く、ぱっくりと二つに割れていますね!
この感じから想像するに、種は相当な勢いで弾かれるというよりは、真上に飛ばされ、そのあたりにばらまかれる、というイメージでしょうかね。



中はすでにぐちゃっとしていて分かりづらいですが、種の付く軸になるようなものがあって、そこから種達ははがれて飛んでいったようです。
(写真も見づらくてごめんなさいっ・・

ところで先日の日記では「この辺りにしか咲かないらしい」という事を書きましたが、数日前にふとしたタイミングで、山とは全く離れた海岸の歩道でフシグロと思われる植物を発見しました!

山のテッペンのほうから、海岸まで・・です!
あまり飛ばないようなイメージのあの種で、少しずつ、少しずつ進出して、いつの間にやらあんなに距離を伸ばしたのでしょうか?
それとも、誰かが挿木でもしたのでしょうか??

その中間の地域にも見つかるかどうか、少し観察を続けてみたいと思います。
今の時期ですと、このかわいいベージュのカップが容易に目に飛び込んでくるかもしれません!
見つけた方はぜひご一報ください

(友)
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マガモ

2009年11月14日 | 
朝のうちはものすごい風と雨でした。
まるで小さな台風です。

こんなとき、鳥や虫たちはどうしているのでしょうか?
いつも気になります。



午前中雨がちょっと止んだ隙に、いつもの探鳥ポイントに行ってみました。

ここは溜め池のようになっていて、淡水域の極めて少ない大島での貴重な開けた水場です。
砂防ダム、と名が付いていますがいつもある程度水が溜まっています。
夏にはトンボ類がたくさんいるところです。

昨日一昨日と吹き荒れたナライ(北東風)に乗って、なにかカモの仲間が来ていないかと期待して行ってみると・・・果たしてそこには1羽のマガモの姿が!

疲れているのでしょうか?
水から上がって座り込んでいました。
写真はたぶん私に気付いて立ち上がったところです。
驚かさないように数カット撮影し、すぐにこの場を後にしました。








鳥に詳しい方はすぐにお分かりだと思いますが、このマガモはオスです。
しかし首に白い輪がありません。
私は家に帰ってきてそのことに気付き「これは本当にマガモのオスでいいんだろうか?」と疑問に思い、スタッフの天野に確認してもらいました。
結果はまだ換羽途中で輪がはっきりしていないとのことでした。

以前の記事にも何度も出てきていますがとにかく大島はカモ類が少ないのです。
大きな湖沼や河川がないのでそれはしょうがないのです。
どうしてもカモ類の識別が苦手になります(言い訳!?)




夕方鳥見仲間の方に出会ってこのマガモの話をすると、その方も朝同じ場所でこのマガモを見たそうです。
しかし私に会う前再びその場所を訪ねたとき、そこにはもうマガモの姿はなかったとのことでした。
きっと仲間を求めて飛び立ったのでしょう。

早くたくさんの仲間たちに会えますように。





さて。
本日のオマケの1枚です。





鳥見仲間の方々と鳥談義をしているときに沖を走っていった『ぱしふぃっくびいなす』
夕映えの富士山は山頂を雲に隠していましたが、それはそれでなかなかいいものです。



          がんま
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唐芋、甘藷、さつま芋

2009年11月13日 | 植物
 低気圧の通過と前線の影響で、ものすごい風の一日でした。海も大荒れで、夕方の東京行きジェット船は欠航、アタミ行きは2時間の繰り上げ出帆となりました。夜になった今も吹き続けています。

 20年程前、大島で暮らし始めた頃は、風が吹くのを心待ちにしていました。塩作りの研究施設で働いていたのですが、そこでは自然エネルギーを利用した製塩法の開発が急がれていて、何日も吹き続ける強力な季節風で、ヤグラに掛けたネットを流れ下る海水の濃縮装置の試運転段階でした。太陽光線の強い夏場よりも、風が吹き乾燥したこれからの季節の方が効率がいいのでした。

 さて、今日は、芋畑でチョット珍しい花を見つけました。アサガオを小さくしたようなラッパ型の花です。地域や人によって、この芋の名前は色々に呼ばれているようですね。大島や関東周辺では、「サツマイモ」が一般的ですが、沖縄では「唐芋:カライモ・トウイモ」、九州では「琉球芋:リュウキュウイモ、甘藷:カンショ」、他に「アメリカイモ」などと呼ぶ地方もあるようです。

 これからの季節、焼き芋にして食べるのが美味しいです(大島では芋焼酎も!)。ヒルガオ科の多年草で、暖地では、秋に淡紅色の花を付けることがあるそうです。中南米原産で、17世紀前半に、中国・琉球を経て九州に伝わり、普及したそうです。

 大島の水はけの良い砂地は、サツマイモや落花生・ラッキョウの栽培に適しています。戦中・戦後の食糧難の時代に、サツマイモと魚だけしかなかったので、嫌いになったと云う人もいますし、今の品種は甘くて美味しくなって食べられると言う方もいますね。最近は、芋の皮が紅色のベニアズマ、ナルトキントキ、白っぽくて長期保存にむくコガネセンガン、皮も中身も紫色のムラサキイモなど、形も色も様々で楽しいです。

 春、苗場で芋の目出しを行い、苗を採るわけですが、冬の間は「室:むろ」に入れて芋を長期間保存します。近所のお爺さんに見せて頂くと、畑の脇の日の当たる斜面に穴を掘って、その中にひとかたまりにして入れ、埋めます。この時のポイントは、芋の周りに松葉をたっぷり入れることだそうです。野山にいるアカネズミは、松葉の匂いと尖った葉先が嫌いだそうで、お芋を食べずにいてくれます。長年の経験から生まれた智恵ですね。

 天然自然の話ではありませんが、畑や里山も楽しいことがいっぱいです。

(なるせ)
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命のバトンタッチ(キイロスズメとヤドリバエ)

2009年11月12日 | 
数日前のある朝、グローバルでスタッフ全員が呆然となる事件が起きました。

事の発端は、海スタッフが拾ってきた上の写真の幼虫です。
薄緑の芋虫で「何だろうね?」と話しているうちに何だかあまり美しくない色に変身してしまいました。
変身後の写真がこれです。


いったい何の幼虫なのか、いくら調べてもさっぱりわからないので、
拾ってきたスタッフが幼虫図鑑というWEB上の図鑑に問い合わせをしてみました。すると
「キイロスズメの幼虫でしょう。でもこのような体色は初めて見るので幼虫図鑑に掲載できるのでは?」
というコメントが返ってきました。

「なるほど~珍しいんだ。地域変異かな?」
そんな話をしている間に幼虫はサナギになりました。
でも本来は土に潜ってサナギになるはずなのに、ちっとも潜らず土の上にドテーっと寝たままです。

さらにサナギはどんどん黒っぽくなっていきました。

「来年の春、無事に成虫になれるのかな?体調悪いんじゃないの?」
「いや~黒いサナギなんじゃないですか?」そんな会話を何度となく繰り返したある日の朝…。

スタッフの一人が叫びました。
「あ!サナギから虫が出て来てる!」
「エーッ?!!」
(虫の苦手な方は、この先は読まない方が良いかもしれません・笑)

ウジ虫のような白い虫がサナギの体の一部に穴を開け、次々に出てきてはすぐに土に潜っていきます。
キイロスズメの羽化を楽しみにしていただけに、あまりの惨状に朝の店内は大騒ぎとなりました。


よくよく見ると、白い虫には黒い眼らしきものがあって結構可愛いのですが、
場面全体が悲惨すぎて(スタッフ全員キイロスズメに情が移っているので)可愛さを観賞する余裕はありません。


ショックから少し回復して知的好奇心(?)にかられたスタッフから「中身がどうなっているのか調べよう。」
という声が上がり、解体してみることになりました。

その結果…。


サナギの中身はドロドロに溶け、その中にまだ白い虫が這っていたのでした…。

調べた結果、白い虫はヤドリバエの幼虫であることがわかりました。
日本には450種ものヤドリバエがいて、全ての種が他の昆虫の内部に寄生して過ごすのだそうです。

ヤドリバエは寄生する虫の体に直接卵を産みつけたり、ごく小さな卵を産んで葉ごと食べさせたり、
じっと待ち構えていて相手が通った時に体に取り付いたり、という様々な戦略を持っているようです。
すごいですね~。

キイロスズメはヤドリバエに寄生されていたから、元気がなく体色もおかしかったのですね。
食うか食われるかの世界って、本当に厳しいです…。

この報告を陸ガイドスタッフ間のMLにのせたところ、下記のコメントが届きました。

「ウジ虫はどこにでもいて驚かされますね。カメの産卵巣の孵化調査で、深い土の中で
死んだ子ガメから出てくることもあります。これも、生まれ変わりでしょうか。」

なるほど~、生まれ変わりですね!
ひとつの命が別の命を支えていくのですね。
確かに!

そう思ってみれば、今回の惨状も価値ある瞬間のように思えてきます。
命のバトンタッチの瞬間に出会えたのですから。

(カナ)
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磯の貝達16

2009年11月11日 | 植物
グローバルの日常は実に賑やかです。
特にネイチャーガイドを始めてからは特に賑やか
イモムシを拾ってきたり、植物の葉っぱを持ってニコニコしている人が居たり
鳥の羽を拾って、嬉しそうな人が居たり
変な物が(どんな物かは想像にお任せします)届いたりと
ま~ 本当に賑やかです。

お陰で、イモムシから蛹そして蝶や蛾へ変わる姿や
イモムシに纏わる凄い事件も起きたりします。
これが本当に凄い事件で、あ~~ 思い出しても凄かった~~

こんな事で、朝から大賑わいです。
それもこれも、大島の自然を肌で感じ、その結果皆様へのガイドに繋げて行こうという姿勢の表れなんだろうと
そ~っと見守っています。 (いや、ドップリですね。)

先日は、スタッフが拾って来たドングリを炒って食べました。
マテバシイという木のドングリです。
硬い殻を割って食べると中身はまるで栗にの様な味でした。

ドングリは別名シイノミとも言います。
実はこのシイノミという名を持つ貝が居るのをご存知でしょうか?
その名も「ハマシイノミガイ」と言います。
大きさは2cm以下の小さなサイズの浜のドングリです
形も良く似ているでしょう?
貝と言っても水中の貝と言うよりは、陸上の貝に近い種類です。
発見した時も、普通に陸上にくっ付いていました。
陸の貝と言えば、カタツムリ。
この触角を出している姿なんて、結構カタツムリに似ていると思います。

こう見ると、カタツムリやキセルガイ等の陸生貝と
潮上帯に住む近海産の貝の差が気になる所です。
今度調べておきます。

非常に小さな貝ですが、種類は結構います。
大島にもまだまだ数種生息していそうです。
次はどんな「海のドングリ」に出会えるでしょうね。
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