レンゲ畑があるのは、近くを流れる矢田川から数百メートル離れた場所で、車や人の通行が多い道路からは少し奥まっているとはいえ、直ぐ近くには何軒かの民家があるのに、レンゲ畑の反対側の草むらから、急に立派な雄のキジが現れた。ケリだけでなく、まさかキジにも遭遇するとは思わなかったので、こちらが驚いてしまった。キジは、植物の種や昆虫を食べるらしいから、河川敷あたりから、餌を探しに遠征してきたのであろう。
ケリは警戒心が強いので、車の中から暫く様子を眺めていたら、10mくらい先を1羽の親鳥が2羽の雛を連れて近づいてきた。“外敵”がもういなくなったと思ったのであろうが、まるで警戒している様子は見られなかった。レンゲ畑で最初にケリを見つけた時に、大きな鳴き声で威嚇していたのは、この雛を守るためだったようだ。
レンゲ畑の隣の田圃で、名前の由来になった“ケリケリッ”という甲高い大きな鳴き声をして、2羽のケリが飛び交いながら騒いでいた。ケリは、近畿地方以北の本州に分布し、田畑や河原などの草むらに棲息するチドリの仲間だそうだ。繁殖期には、縄張りに入ってきた外敵の周りを、甲高い鳴き声と共に低空で飛んで威嚇するという攻撃的な性質があるらしい。