浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

南シナ海の島々のこと

2014-05-08 23:47:33 | 社会
 サンフランシスコ平和条約第二条に、以下の条項がある。敗戦後の日本の領土に関するものだ。

第二条

 (a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

 (b) 日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

 (c) 日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

 (d) 日本国は、国際連盟の委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあつた太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす千九百四十七年四月二日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。

 (e) 日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。

 (f) 日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


 赤字にしたところ、ここは南シナ海にある島々だ。新南群島というのは、今の南沙諸島である。南沙諸島は、1938年から45年まで日本が支配していた。「新南群島」は、台湾の高雄市の一部であった。

 中国本土から遠いところにある南シナ海の島々。ベトナムやフィリピン、台湾、中国が領有権を主張しているところだ。それを中国がみずからの領土であることを主張する背景には、大日本帝国時代の痕跡がいまも残っているからである。

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大切にしたい企業

2014-05-08 20:04:27 | 社会
 まずは『中日新聞』記事。

「大切にしたい会社大賞」受賞 沢根スプリング

2014年5月3日

 ばね製造の沢根スプリング(浜松市南区)が、法政大などが主催する「第四回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で、中小企業部門の最高賞の中小企業庁長官賞を受賞した。創業以来、四十七年連続で黒字と好業績を確保しつつ、残業時間が少ないなど五十三人いる社員の幸せを最優先する経営が評価された。

 設立は一九六六(昭和四十一)年。約三十年前までは、自動車関連の下請けメーカーだった。脱下請けを目指し、八七年に国内で初めてばねの通信販売を始めた。九〇年に創業者の父の後を継いだ沢根孝佳社長(59)は「上から言われたことをやるだけで良かった右肩上がりの時代が終わり、会社永続のために差別化を積み重ねていくことが必要だと感じた」と振り返る。

 大口取引先の依存度を減らすため、小口の注文を集めた。最短二日で発送できる受注生産の取引先は約四百五十社。売上高に占める自動車関連の割合は三十年前の八割から四割に減らした。通信販売では約五千種類を即日発送しており、取引先は約一万八千社に上る。

 幅広い業種と取引するため、業績は景気に左右されにくく、創業以来の黒字を継続。好業績を支えているのが、社員第一の経営方針だ。「(社員の)人生を大切にする」などを掲げ、「80%主義」のゆとりある経営を進める。残業時間は平均月六時間以内、有給休暇の取得率は約八割という。

 年一回、社員全員が手記を寄せる文集「やらまいか」は今年で二十九年目。退職した社員には、過去に書いた文章を一冊にまとめて「自分史」として贈る。月一回、全社員が集まる懇談会は二十三年続いている。毎月の給料袋には、「社員の皆さん、ご家族の方々へ」と題した社長のメッセージを添える。

 沢根社長は「多品種少量生産の受注にきめ細かく対応するには、社員がやる気をもって仕事してもらうことが大切。業績と社員の幸せのバランスを取るのが経営だ」と持論を語る。

 同社について、審査委員長を務める法政大の坂本光司教授は「努力に努力を重ねて脱下請けを実現した。価値ある製品やサービスを生み出すのは社員。社員をとことん大切にした結果が好業績につながっている」と評価する。

 会社大賞は、過去五年以上にわたって人員整理や下請けへの一方的なコスト削減をせず、障害者雇用は法定雇用率以上など、厳しい応募条件がある。第四回は全国から二十八社が応募。大企業対象の経済産業大臣賞は該当がなく、同社など七社が入賞した。県内企業の受賞は初めて。



 ボクはこの会社を訪問したことがある。もうずっと前、10年以上前だ。もうそのときから、ここに記されているような会社だった。ボクは社長の話を聞いて感動した記憶がある。
 その頃は「ブラック企業」ということばもなかったが、社員を大切にする社風はこういう時代になっても全然変わっていなかった。

 しかし、新自由主義的な考え方が普及する以前は、あのアメリカの自動車会社・フォードだって、企業は利潤追求ではなく、生産されたものを購入する消費者、それをつくる労働者、そして生産現場の地域住民を大切にすることが重要であり、利潤追求はその結果としてある、という考え方であった。

 そういう健全な思考が消され、今は利潤追求のためには手段を選ばない野蛮な社会になってしまった。

 しかし沢根スプリングのような会社こそ生き残っていけるはずだ。企業訪問してからかなりの時間が経過したが、同社がこういうことで注目されることは、うれしい。


 
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ねつ造

2014-05-08 19:47:11 | 社会
 何でも利用できるものは利用しようという、日本の右翼。「翻訳者」の藤田某、どんな人かは知らないが、こういうねつ造を行う輩には倫理はない。対外的にも問題となるはずだ。

 下記は、おそらく共同配信記事。

南京虐殺否定を無断加筆 ベストセラーの翻訳者 

2014年5月8日 19時33分

 米ニューヨーク・タイムズ紙の元東京支局長が、ベストセラーの自著「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社新書)で、日本軍による「『南京大虐殺』はなかった」と主張した部分は、著者に無断で翻訳者が書き加えていたことが8日明らかになった。

 英国人の著者ヘンリー・ストークス氏は共同通信に「後から付け加えられた。修正する必要がある」と述べた。翻訳者の藤田裕行氏は加筆を認め「2人の間で解釈に違いがあると思う。誤解が生じたとすれば私に責任がある」と語った。

 同書はストークス氏が、第2次大戦はアジア諸国を欧米の植民地支配から解放する戦争だったと主張する内容。「歴史の事実として『南京大虐殺』は、なかった。それは、中華民国政府が捏造したプロパガンダだった」と記述している。

 だがストークス氏は「そうは言えない。(この文章は)私のものでない」と言明。「大虐殺」より「事件」という表現が的確とした上で「非常に恐ろしい事件が起きたかと問われればイエスだ」と述べた。

 藤田氏は「『南京大虐殺』とかぎ括弧付きで表記したのは、30万人が殺害され2万人がレイプされたという、いわゆる『大虐殺』はなかったという趣旨だ」と説明した。

 だが同書中にその説明はなく、ストークス氏は「わけの分からない釈明だ」と批判した。

 同書は昨年12月に発売、約10万部が売れた。ストークス氏単独の著書という体裁だが、大部分は同氏とのインタビューを基に藤田氏が日本語で書き下ろしたという。藤田氏は、日本の戦争責任を否定する立場。ストークス氏に同書の詳細な内容を説明しておらず、日本語を十分に読めないストークス氏は、取材を受けるまで問題の部分を承知していなかった。

 関係者によると、インタビューの録音テープを文書化したスタッフの1人は、南京大虐殺や従軍慰安婦に関するストークス氏の発言が「文脈と異なる形で引用され故意に無視された」として辞職した。(共同=ベン・ドゥーリー、木村一浩)


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