浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

日本社会の変容(1)

2014-05-28 07:20:25 | 社会
 いわゆる「戦後民主主義」のなかでつくられてきた制度の根本が崩されようとしている。労働基準法である。残念ながら、労働基準法という法律はあるのだが、実際はもう機能しなくなっている。働く人の労働は時間で測定され、賃金と労働時間は対応すべきであるにもかかわらず、第三次産業を中心に、労働時間の規制は有名無実化し、長時間の労働、低賃金が強制されている。

 その労働基準法から、労働の量を測定する労働時間の原則が消されようとしている。

 『毎日新聞』の記事から引用させてもらう。

厚生労働省は27日、「高度な専門職」で年収が数千万円以上の人を労働時間規制の対象外とし、仕事の「成果」だけに応じて賃金を払う新制度を導入する方針を固めた。
 
 なぜ一部分でも、労働時間の原則を崩そうとしているのか。それは産業競争力会議の議員が、もっと幅広く労働者の賃金を低下させようとしているからだ。

産業競争力会議の民間議員が28日に示す修正案の全容も判明した。当初、年収1000万円以上などで特定の業務従事者を対象とする案と、一般社員を対象に年収を問わず適用する案を提示していたが、28日は両案を一本化した修正案を出す。

 修正案では、年収要件を撤廃する。対象者に(1)企業の各部門で中核・専門的な人材(2)将来の管理職候補--を挙げ、具体的には全社的な事業計画を策定したり、海外プロジェクトを手がけたりするリーダー、金融ビジネス関連のコンサルタントや資産運用担当者などを例示した。副課長職以上を想定しているとみられる。


 労働を、時間ではなく、「成果」で測定するというのだ。いったい誰が測定するのか、その測定に客観性はあるのか・・・・そして「成果」で労働を測定するという新たな「原則」は際限なく広がる可能性はないのか。

 安倍政権が主張する、「世界で最も企業が活躍しやすい国にする」、というのは、いうまでもなく、「企業が世界で最も金もうけができる国」にするということであり、労働者の賃金が安い国であるということだ。そうした日本に未来はあるのか!
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【本】守屋英一『ネット護身術入門』(朝日新聞社新書)

2014-05-28 00:02:03 | 読書
 今日届けられた本であるが、数時間で読み終えることができる。

 第一章は、フェイスブックやツイッターなどいわゆるSNSに関する内容である。ボクは、SNSはまったくやっていないし、やろうとも思わない。というのも、今や友人たちや研究会の仲間などとの連絡のほとんどはネットによるメールであるし、情報を得たり、通販でたとえば本を購入したりするために、一日の一定の時間をコンピュータの前で過ごさざるをえない、もしSNSなんかに手を出したら、ネット関連で多大な時間を費やしてしまう。原稿を書いたいるする時間を除き、コンピュータに向かう時間はできるだけ少なくしたいと思っているからだ。したがって、第一章は、参考程度に読んだ。

 第二章は、まさに現代の「監視社会」化の実態の一部が記される。しかし「監視社会」については類書がでているし(そうした本は何冊か読んでいる)、とりたててこの本から新しく知ったことはない。

 第三章は、ボクもインターネットバンキングや通販などでお金の取引をしているが、それに関する犯罪の実態が示されている。くわばら、くわばら、である。

 第四章は、SNSに関わらないボクとしては直接関係ないが、ストーカー、ネットいじめなど、問題とされていることが説明されている。

 この章で学んだこと、1.インターネットバンキングをしている者は、頻繁に口座の状況を確認すべきこと、2.クレジットカードの利用明細をきちんと確かめること、である。

 第五章。自分に関する情報の漏洩、悪用をどう防ぐか。まずネットで自分の電話番号が分かるか確かめてみた。146頁にそのやりかたがあった。見事にでてきた。早速116番に電話して、ハローページへの記載を確かめた。以前、電話帳の記載をやめてほしいと注文したはずだが、ネットのは2007年。ボクのNTTへの注文は、その後だった。残念!そのほか、アマゾンの送り先をコンビニにするとか、いろいろな提案があったが、利便性から考えるとそれを実行することはおそらく無理だという結論となった。
 また159頁にあったGoogleアラートはやっておいた。

 第六章。ここの記述は大切だ。パスワードの作り方や、パスワードをコンピュータに保存するななど。その対策も記されていた。ありがたい。早速これらは実行したい。

 第七章は、まあまとめという感じ。

 いずれにしても、こうした本を読んでできるだけ「護身術」の知識を身につけるべきだと思った。

 怖い時代である。国家権力や企業によって、ネットを通じての行動が読み取られ、実際に情報やカネが盗まれ、プライバシーが侵害される。できうるかぎりの防護をすべきであるという教訓を学んだ。

 さてブログでこの本を購入したと記したら、著者から「購入してくれてありがとう」だって。だから早速紹介した。

 参考になる本でした。実行できることは実行して、「護身術」を身につけます。
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