心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

催眠状態

2011年08月03日 | 催眠療法


私が被験者を催眠に誘導する場合なんですが、
被験者が催眠状態に充分達しているかどうかを知るために、
また、被験者自身が催眠状態にあることを自覚してもらうためにも
次のような誘導を良くします。

「目を開けることが出来ない。」
「腕を曲げることが出来ない。」
「立ち上がることが出来ない。」
「名前が言えない。」

等々、その他にも色々とありますが、
本人が何々をしようとしても、それが出来ない。

被験者が催眠状態にある時、
催眠誘導者からのこのような働きかけに対して
反応するのが普通で、このような働きかけを誰が名付けたのか
拮抗暗示というようです。

広い意味での催眠として考えると、
「腕が軽くなって浮き上がっていく。」「身体が揺れ動く。」
とかの反応もまた催眠反応と言えるのですが、

私の場合は、このような反応を得られたとしても
被験者が催眠状態にあるとは判断せず、
拮抗暗示に反応が起きるレベルに達した時に、
催眠状態にあると判断するようにしています。


さて、催眠状態であるとか催眠トランス状態であるとか
言い方はいろいろあるかと思いますが、
そのような状態になった時の人の精神状態とは
どの様な状態であるのか。

これについては、
「全く意識が無くなっている。」とか、
「眠ってしまっている。」とか、
まだまだ、そのような印象を持っている方がいるようです。

しかし、実際に体験してみると
一体何が違っているのか全く分からないほど
拍子抜けするほど普段の意識レベルと同じで
本人には全く違いが分からなかったりします。

そして、さらに言うと
拮抗暗示に反応を起こしていたとしても、
それを実際に試してみなければ
今、自分がその反応を起こしていることを
気が付かないことも多くあります。

「目が開きそうな気がする。」
「腕が曲がりそうな気がする。」
「起き上がれそうな気がする。」

だから、眼が開いたら、腕が曲がったら、起き上がれたら、
誘導者に申し訳ないと遠慮してしまったり、
もし、眼が開いたら、腕が曲がったら、起き上がれてしまったら、
自分の催眠体験がおじゃんになってしまうのではと、
試すことに躊躇してしまう方もいるほどです。

ですが、被験者がそのように感じていたとしても
誘導者の言葉に反応をした身体は、実際にそれを試そうとした時、
1の力でそれをやろうとすると、
無意識は1以上の力で、それを阻もうとします。

5の力でそれをやろうとすると
無意識は5以上の力で、それを阻もうとします。

そのあたりで本気になった被験者が
10の力でそれをやろうとしても、
無意識が10以上の力で、それを阻んだとき、
初めて自分が催眠を体験していることに気が付いたりします。

ゆえに、決して少なくない例として、
長く慣れ親しんだ自分の名前を完全に思い出せなくなっている人に、

「今、あなたは催眠を体験していると思いますか。」
と質問した時に、

「いいえ。」と返事が返ってきたりします。

「自分の名前が思い出せない、それは間違いありませんね。」

「はい。」

「それでも催眠を体験していないと。」

「はい、だって意識がハッキリしていますから。」

これも催眠を初めて経験する方としては仕方ない反応なのですが、
被験者に迷いや疑問があるままでは、
催眠に深く没入することを邪魔することになったりして、
あまり宜しくありませんので、
それを取り除いておく必要があります。

「普段でも良く自分の名前を忘れることが有るのですか。」
と質問すると、当然、返って来る答えは、

「いいえ、そんなことは今までありません。」となり、

「では、自分の名前が思い出せないような普段とは違う
変な状態になっているのは分かりますか。」

「はい。」

「そのようなおかしな状態を催眠状態と言うのか、
言わないのかは重要ではありません。
大切なのは、そのようなおかしな自分の状態を安心して楽しんでもらうことです。
今の自分を楽しめそうですか。」

「はい。」

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計

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