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ある日、お母さんに連れられて当時小学2年生の男の子がやってきました。
「学校の方針で給食を残さずに食べなければならないんですが、
うちの子はピーマンが嫌いで、給食にピーマンが出てから、
今は、食べられるものも食べられなくなりつつあります。」
嫌いな食べ物を平気で食べられるようにするには、
一時的でもOKであるなら催眠に誘導出来さえすれば
全く問題なく可能なのですが、
一時的では意味が無く、さらに被験者が子供であるがゆえに
誘導が簡単に成功するか、全く駄目かの両極端な結果が出る可能性がありました。
催眠を誘導する前にあれこれと考えていても仕方が無いので、
まず、催眠誘導をしてみることにしました。
―あのさあ、○○君はTVゲームをしたことがある。
「うん。あるよ。」
―そうか、そしたら魔法使いが出てくるゲームがあるよね。
「うん。ある。」
―○○君は魔法使いっていると思う?
「分からないけど、いるかもしんない。」
―実は、私は少しだけ魔法を使えるんだよね。
「え~。」(ここで初めて笑顔を見せてくれる。)
―今からさあ、○○君にその魔法をかけたいと思っているんだけど、
良いかなあ。
「どんな魔法?」
―うん。○○君の右手が軽くなって勝手に上に浮きあがってしまう魔法だよ。
恐くない?
「大丈夫、面白そう。」
―それじゃ、最初に○○君の右手を下から少し持ち上げるよ。
こうしていると私の手のぬくもりを感じるでしょう。
「うん。」
―それじゃ、眼を閉じて、
魔法をかけると手がもっと温かくなって来るよ。
ほら温かくなってきたでしょう?
「うん。なってきた。」(笑っている。)
―次の魔法をかけると、ほら、右手が勝手に上の方に動き出すよ。
これ以降、良い流れで充分な催眠トランスへと導入することに成功しました。
後は、変化を一時的なものではなく継続的、恒久的なものにするための
一工夫となります。
以前の記事で紹介した
ネギ嫌いの克服の時と同じ手法は子供ですから使えませんので、
子供にとって無理のない自然な働きかけとなるよう別の一工夫を施しました。
これは初回面接での一コマで、
施療終了後、お母さんには1週間後の次の施療の予約をして頂きました。
数日後、お母さんから
「あれから次の日に学校とも相談して対応をしてくれることになったんですが、
本人が給食を食べているようなので、
次回の予約はキャンセルして様子を見ることにしようと思います。」
との電話を頂きました。
施療が功を奏したのか、学校が対策を考えるとしたことで本人が安心したのか、
両方の相乗効果なのか分かりませんが、
本人がある段階を乗り越えたのは間違いないようです。
その後、お母さんからの連絡はありませんが、
そのことが、変化が継続的なものとなっている証であると信じてはいるのですが、
ちょっとだけ心配なのは、
「私は子供の頃、本当の魔法使いに出会った。」なんて記憶してしまって
魔法使いを研究にのめり込む様な事になったりすること。
まさかねえ。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計