日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

3.11以降目立つ「企業広告」

2011-08-21 21:25:28 | CMウォッチ
お盆中、カゴメが全面広告を全国紙に掲載をしていた。
私が見たのは、お盆休み中実家で見たものと土曜日に掲載された2回、4種類の広告だった。

「カゴメのものづくり」

うろ覚えで申し訳ないのだが、「フクシマ原発事故」直後、カゴメは福島県下の農家からの野菜の購入をしばらく見合わせていたように記憶している。
もちろん、東北にある関連工場などが被災したというのが、大きな理由だったのだと思うのだが、このニュースを聞いた時、企業イメージが悪くなるのでは?という気がしたのだった。
むしろ、契約農家から野菜を買い上げる方が、色々な意味で良いのでは?と、考えたからだ。
そして、その回答が今回の広告のような気がしている。

ご存知のようにカゴメは、トマトジュースやケチャップなど「トマト」を使った食品を中心に、野菜を原料とした加工食品を作っている。
それだけではなく、「こくみトマト」というブランドで生のトマトも販売をしている。
おそらくこの分野では、国内トップシェアを誇っているのではないだろうか?
だからこそ「おいしいだけではなく、安全・安心を生活者に届ける必要がある」というコトを、この広告で訴えたかったのではないだろうか?

今回の「カゴメ」のような企業姿勢を強く打ち出した広告が、最近目立つようになってきている。
はっきり言えば、「東日本大震災」以降増えている、といったほうが良いだろう。
新製品の発売がなかなか出来ない、というコトもあると思うのだが、それだけでは無いと感じている。
その背景にあるのは何か?と考えると、今の日本が様々な意味で「岐路に立っている」というコトのような気がする。

特に企業の場合、これまでのような「利益追求型」では、企業そのものが社会の一員として認められない、という意識変化が起きはじめているような気がする。
企業が社会に果たす役割、企業が社会の一員としてあるべき姿、そういったモノを考え直すことで、企業のファンを創ろうとしているのに感じるのだ。

だからと言って、耳障りの良い言葉を並べ、キレイな写真でアピールするだけでは、今の生活者はファンにはなってはくれない。
誠実に、企業の姿をキチンと見せるコト。
「生活者と共に成長したい」というアプローチが、必要となっているのだ。

その視点で今回の「カゴメ」の広告をみてみると、「モノづくりは決して工業製品だけに当てはまるモノでは無いんだな・・・」と、思わせる内容になっている。
逆に言えば、「モノづくりの原点とは」というコトを感じさせる、地に足がついた内容だといえる。

震災で消費意欲が減退する中、「新製品を買ってください」ではなく「製品を通して企業を買ってください」というアプローチへと変わりつつあるような気がする。
そのために、企業自身が自分を見直し始めているのでは?
そんな気がしている。