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テレビ局も変革の時代?

2021-11-28 20:25:31 | ビジネス

例年に比べ、季節の移り変わりが「突然」やってきている気がする、今年の晩秋だ。
そのためか?風邪を引いたような倦怠感があり、お休みをさせて頂いた。

その間に、フジテレビが50代を対象とした、リストラを発表している。
MONEY VOICE:バブル入社組に希望退職を迫るフジテレビ。前回リストラ時には「退職金1億円」の報道もあり、就職難の世代にくわえ同世代からも同情の声は皆無か

見出しのタイトルが長いのだが、今回のフジテレビの「希望退職者」の対象となっているのは、1989年頃~1991年頃のバブル期に入社した世代が対象のようだ。
バブル期に新卒で入社していれば、年齢的には50代半ばということになるだろう。

ただ、この見出しを見て「バブル世代」のリストラに対する2つの世代の考えがある、ということを示している。
一つは「超氷河期」と呼ばれた、バブル経済が終わった頃から数年にわたっておこった「超氷河期」と呼ばれた就職難世代の感じ方だ。
「バブル期」の時の新卒者は、1人で内定通知を10社、20社ともらい、「選び放題」だった。
そのため、企業によっては「新卒研修」と称して、稀ではあるが、入社前に内定者をリゾートホテルに囲い込むということまでするという企業すらあった。

その後バブルが崩壊した途端、手のひらを返したような採用状況となり、内定率が急激に落ち込んだ。
「団塊の世代」の退職時期には、一時的に内定率が回復したが、バブル期のような「夢のような内定」が起きることは無かった。
結果として、フジテレビだけではなく「バブル期入社」の社員が数多くいるのに対し、「超氷河期世代」から下の世代の社員数は圧倒的に少ない、という状況になっている。
当然、企業内で用意される「ポスト」も数が限られている為、関連会社への出向などで対応していたはずだが、それでも用意できない50代半ばの社員が数多くいる、という状況なのだろう。

と同時に「同世代からも同情の声が無い」、という点も注目する必要がある。
「バブル期入社=仕事に難あり」ではない、ということなのだ。
フジテレビのようないわゆる「業界」と呼ばれる業種の就職には、一般採用試験で入社する人達とは別に「縁故入社」と呼ばれる人たちの数が圧倒的に多い。
大口スポンサー企業役員からの紹介ともなれば、カタチばかりの入社試験をして採用をする、というのはフジテレビだけではない。
そのような「縁故入社」組は、仕事よりもコネクションが重要ということになる。
とはいえ、50代半ばになれば、入社時の縁故もさほど意味がなくなってくる。
だからこそ、「希望退職者」の対象として、企業から退いてもらいたい、という意思があるのでは?ということなのだ。

このような事情を抱えているのは、フジテレビだけではない。
キー局と呼ばれるテレビ局は、大なり小なり同じような悩みを抱えているのでは?と、考えている。
何より、テレビ番組の視聴形態が様々になり、Tverのような「見逃し配信サイト」の登場によって、キー局で製作されていない、ローカル局の面白い番組が見られるようになってきた。
他にも、NetflixやDisneyplusのようなオリジナル番組や過去の名作映画などが、手軽にみられるようになってきた。
以前の様に「楽しくなければテレビじゃない(フジテレビのキャッチコピー)」という、時代ではなくなったのだ。

テレビ局自身が「テレビって何だろう?」というところから考え直さなくては、テレビ局そのものの存在意義が問われるようになってきている。
「希望退職者募集」というリストラによって、テレビ局が危機感を持ち変革の切っ掛けとなるのだろうか?