日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

コミュニケーションの難しさ

2024-10-20 21:45:57 | ビジネス

先日、エントリをした通り2か月余りの入院生活を余儀なくしていた。
入院中とはいえ、体そのものは元気であることには変わりなく、1日が「暇」ということになる。
そこで、読みたかった本をネット環境の問題もあり、紙の本をネットで購入し、読むコトにした。
注文をした本は「コミュニケーションの教科書」。

私がこの本を選んだのは、入院先の病院で「コミュニケーションの難しさ」を実感したからだ。
以前から感じていたことなのだが、特定の業種にいる人と話をするとき「理解しあえない」と、感じることはないだろうか?
特に専門職と呼ばれる人達と話す時、「もう少しわかりやすく話してほしい」と、感じる違和感といった方がわかりやすいかもしれない。
病院で展開されるのは、医師からいくら丁寧な説明を受けても「医学用語」を使われることで、患者側は「何を言っているのかわからない」という、状況に陥ってしまう。
以前のように、医師と患者の関係が「パターナリズム(=父権主義)」的であれば、患者は十分理解できなくても「お医者様が言っていることだから、従うべき」という感覚を持っていただろう。
しかし、現在のようにネットなどで情報を集めることが簡単にできるようになると、医師側も患者が納得できるような「言葉」を使い、コミュニケーションをとる必要が出てくる。
そのような感覚から、この本を読んでみようと思ったのだった。

元々この本は、ビジネス雑誌に掲載されていた米国で発表された論文を集めているので、日本に当てはまるのか?という疑問はあったのだが、意外にも共通点がある、ということに気が付いた。
その一つが「ガラスの天井」だ。

ご存じの方も多いと思うのだが「ガラスの天井」とは、女性が企業や政治の世界でトップに上り詰めようとするとき、性差によってその立場に行けないコトを指す。
しかし、「ガラスの天井」そのものは、故意的に行われている部分とそうではない部分があるようだ。
それは性差によるコミュニケーションの取り方の違いだ。
例えば、男性にありがちなことなのだが「相手が分かってくれるだろう」という思い込みから、伝えたい言葉を省略することがある。
これは「職務上分かっているだろう」という感覚もあるようだが、職務上であっても「何が必要なのか?どうする必要があるのか?」等、「必要とする情報」を相手に与えることが重要なのに、それを省略してしまう場合が案外多い気がしている。

「男性にありがち」という表現をしているのは、男性の方が上位者となっている場合が多いからだ。
この「男性の方が上位者となる傾向がある」というのは、実は日本社会に限ったことではない、ということも、この本を読むで知った重要な点でもあった。
性差というよりも、長い間の社会的環境によって女性は周囲との同調性を重視するのに対し、男性は自分の存在を積極的にアピールする傾向があるため、組織の中では目立ちやすい環境に置かれている、という考察だ。
日本の企業組織の場合、学閥や先輩後輩といった人脈という人間関係などが、それに加わるため、それらの関係社会から外れた人とのコミュニケーションは蔑ろにされやすい。
特に「父権的組織」の中では、その傾向は強くなり、「仲間内と外」の関係によって、排他的組織となりやすくなる。

ジェンダーギャップ指数順位が低迷している日本の要因なのでは?という気がしている。
もちろん、それだけではない。
先日大塚薬品が公開した「職場での世代間コミュニケーションのすれ違い」のような、ゼネレーションギャップのような言葉もある。
大塚製薬:社会人用語は突然に 

ここで取り上げられている「ことば」をみると、現在衆議院選挙で立候補している方々は、間違っても「一丁目一番地」等という言葉は使わないように、と教えたくなってしまう。
少なくとも、若い世代の投票率を上げるためには、ここに取り上げられているような言葉を使うことは、得策ではないだろう。
このような「時代の変化」と共に、使われなくなってしまう言葉や逆に新しく使われるようになる言葉による「コミュニケーションの難しさ」はもちろんあるのだが、上述したように「聞きなれない専門用語」や「伝えなくてはならない言葉の省略(=言わなくても察して欲しい)」という点での「コミュニケーションの難しさ」ということを感じるようになってきた、ということなのだ。

とはいえ、この拙文もまたわかりにくい内容だったかもしれない、と反省をしている。