◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「完走できずに泣いてしまいました」って?

2007-11-15 19:55:57 | 気になる言葉、具体例
                   隠したナッツが見付からなくて
 「この風味が何とも言えなく合いますね」「やむをえなくやりました」「ずっと水を飲まないでも平気です」「著者の許可を得ないでも可能で」、どうですか? おかしいと感じますか? 違和感のある「~ずに・・・」の背景に、このような若い人たちの子どもっぽい話し方があるのではないでしょうか。正しくは、「この風味が何とも言えず合いますね」「やむをえずやりました」「ずっと水を飲まなくても平気です」「著者の許可を得なくても可能で」ですね。
 変な「~ずに・・・」という言い方、「完走できずに泣いてしまいました」、正しくは「完走できず、泣いてしまいました」ですが、日常の話し言葉では「完走できなくて泣いてしまいました」となります。きちんと話せる大人は、ふだんでも決して「完走できないで泣いてしまいました」とは言いません。逆に、正しい「~ずに・・・」は、「読まずに捨てた」なら「読まないで捨てた」、「ゴミを分別せずに捨てた」なら「ゴミを分別しないで捨てた」と言います。
 「探したけれど見付からずにがっかりした」は間違いで、正しくは「探したけれど見付からず、がっかりした」です。これは、日常の話し言葉では「探したんだけど見付からなくてがっかりした」となるわけで、「見付からないでがっかりした」とは言いません。「お役に立てずに申し訳ない」は間違いで、正しくは「お役に立てず、申し訳ない」です。話し言葉では「お役に立てなくて申し訳ない」となるわけで、「お役に立てないで申し訳ない」とは言いません。
 どうですか? タイトルの例文と、冒頭に並べた四つの例文は、この辺がごちゃごちゃになっているような感じだと思いませんか? ベースに「完走できないで泣いてしまいました」という子どもっぽい言い方があって、これが「完走できずに泣いてしまいました」につながっているような気がしませんか? 大人なら、「完走できなくて泣いてしまいました」もしくは「完走できず、泣いてしまいました」、あるいは、「完走できずに終わってしまい、悔しくて泣いてしまいました」と言いましょう。
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「車輪が下りずに胴体着陸」って?

2007-11-14 19:35:30 | 気になる言葉、具体例
                     化粧も落とさずに・・・
 ニュースで、テロップは「車輪が下りず 胴体着陸」となっていたのですが、ナレーターは「車輪が下りずに胴体着陸」と言いました。これって、おかしくないですか? 2月19日に、とても違和感のある「~ずに・・・」について書いたのですが、このごろますますこういう表現が耳に入ってくるようになりました。「劣化せずに破れない」なんて、やはり変ですよ。
 「酔っ払って化粧も落とさずに寝てしまった」「ゴミを分別せずに捨てる」「手紙を読まずに捨てた」、これは、「○○すべきなのに○○しないで△△する」といった意味になりますね。化粧を落として顔を洗って寝なければいけないのに、そうしないで寝てしまった。ゴミを、ちゃんと分別しなければいけないのに、分別しないで捨てる。手紙を読まねばならなかったのに読まないで捨ててしまった。こういうイメージですよね。
 「劣化せずに破れない」は、劣化しない強い素材だから破れないんですよね、なのに「劣化せずに」は変です。同様に、アクシデントで車輪が下りなくなった、それでしかたなく胴体着陸したということを言うのに「車輪が下りずに」は変です。正しい言い方は、「劣化せず、破れない」「車輪が下りず、胴体着陸」です。機長が突然おかしくなって「車輪を下ろさずに胴体着陸!」ならありえる・・・かな? そういえば、昔、逆噴射というのがありましたねぇ。現代人はだれでも突然プッツンする可能性がゼロとは言えないようですから。
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これぞパーソナルコンピューター。

2007-11-13 19:33:44 | いろいろあれこれ
                    コンピューター型ハウス
 ずっと以前、Macintosh のことえりを使っていたとき、あまりにも日本語変換が稚拙で仕事にならず、Windows で Word や一太郎を使いたいがために新しいコンピューターを買いました。数年後、ISDNからADSLにするというとき、業者の度重なるミスで急きょ新しいコンピューターを購入せざるをえなくなり、しかたなく、今使っているノート型コンピューターを買いました。今はどうか知りませんが、10年ほど前は、一方は小学生、もう一方は大学生というくらい、日本語変換の効率に差がありましたね。
 日本語変換ソフトはそれぞれ長所・短所や癖があるようなのですが、ATOKは「はいる」が弱いですね、すんなり「入る」になったことがありません。IMEは「ひとは」が弱い。「知っている人は」のつもりで「しっているひとは」と入力して変換すると必ず「知っている日とは」になります。もう数え切れないほど「~ひとは」と入力して「日とは」を「人は」に変換し直してEnterしているのに、ずーっと第1候補は「日とは」で、絶対に「人は」になりません。なんでだろぉ~?
 最近、30秒以上続く停電が2回あったのですが、部屋が真っ暗になってノートパソコンのディスプレーだけが光っているという珍なる場面に出くわし、これはこれでいいなと実感しました。デスクトップパソコンを使っていたとき、突然の停電で10分ほどの作業分のデータがぶっ飛んだことがありますから(T‐T)。
 そのデスクトップパソコン、今でもたま~に使うのですが、電源を入れるのが難しく、電源ボタンのど真ん中に注意深く指を置き、「入ってくれ~」と祈りながら押さないと入らないのです。それでも1回めで入ることは少なく、2~3回やり直します。もう私以外だれも電源を入れることができない、これぞパーソナルコンピューター(?)です。
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珍しく変更された(?)セリフ。

2007-11-12 19:28:37 | 気になる言葉、具体例
                      極め付きハムやん
 6月25日に、あるCMの中の「いやあ、正直、煮詰まってるよ」というおかしなセリフを取り上げ、「煮詰まる」の意味について書きました。本来、「話が煮詰まる」というのは、議論を重ねて結論に近づくことを意味します。実際の会話では、「もう少し煮詰めてから」「この線で煮詰めていって」「小委員会で煮詰めて報告します」など、「煮詰まる」ではなく、「煮詰める」と言うことのほうがずっと多いわけで、これは決して悪い意味ではありません。ところが、その逆の、どうにも結論が見えないという意味、つまり、「行き詰まる」と同じイメージを持って「煮詰まる」と言う人が増えたというわけで、これは誤解を生むので非常に困ります。
 その困ったCMをあまり見なくなったなぁと思っていたら、最近、久しぶりに見ましたよ。でも、「いやあ、正直、煮詰まってるよ、棘のある意見を聞きたいね」だったセリフが、「私にどうしろっていうんだ、棘のある意見を聞きたいね」になっていました。あり~っ、どういうこと~? まぁ、私なんぞに真相は分かりませんが、間違いに気づいて変更なさったのだと思いたい・・・、1回ぐらいそういうことがあってもいいでしょう?
 そういえば、もう一つあるのですよ。「極め付き」と「極め付け」、辞書には両方とも載っていますが、本来の言い方はどっちか、ご存じですか? もともとは「極め付き」で、「極め書き付き」、保証書や鑑定書が付いているという意味なのですが、「極め付け」と言う人がほとんどという状況になっていましたね。ところが、このごろ、「極め付き」がちょっと盛り返してきたのです。そういえば、ずっと前にテレビで取り上げていたような気が・・・、はてさて、この勝負、どうなりますことやら。
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脳が既知の言葉に誘導する?!

2007-11-11 19:39:15 | 言葉についてあれこれ
                       ついてるし
 漢方薬や健康食品といった話の中でたまに出てくるウコン、実は、見た目がちょっとう○こっぽいのですが、ウコンの写真の下に「うこん」と書いてあるのを「う○こ」と読んでしまうのはなぜでしょうか。見た目のイメージに引っ張られてついつい「う○こ」と読んでしまい、あれ? そんなはずないなぁと考えてから文字をじーっと見ると、やはりちゃんと「うこん」と書いてあるのです。
 「ひつまぶし」と書いてあるのを「ひまつぶし」と読んでしまった私、文章を読んでいって間もなく、先ほど「ひまつぶし」と読んだ単語が「ひまつぶし」ではないことに気がつきました。ウナギご飯ですからね、あ~、そういえば聞いたことあるな~、何だっけ・・・、改めて1文字ずつ声に出してゆっくり読んでみました。ひ・つ・ま・ぶ・し、あれれ? 「ひつまぶし」だぁ。平仮名や片仮名が並んでいるのを見たとき、既知の言葉がぱっと浮かんできて、そう読んでしまうことってありますよね。人間の脳って、面白い。
 ところで、先日、辞書を読んでいて、「畑を耕したり地ならしをしたりするときに使う農具」と言ったとき、偶然、テレビから「地ならし」と聞こえてきて、テレビに向かって「ハッピーアイスクリーム」と言ってしまいました。いまだにやっているのは私だけ~(^^)?
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知らない言葉は聞き取れない。

2007-11-10 19:36:26 | 言葉についてあれこれ
                       命!!!
 これまで聞いたことのない新しい言葉や専門用語など、知らない言葉はいっぱいある、というより、知っている言葉なんて本当に少ないのですが、それが不完全な形で聞こえたら、脳が補える範囲を軽く超えてしまいます。「あいうえお」の「う」が聞こえなくても「う」だろうと推測できますが、「○×◇□△」の「◇」が聞こえなかったら、だれが「◇」だと分かるでしょうか。そんなの、だれも分かりません。
 新車のCMで聞こえてくるセリフ、「最近はまっているのは○×◇□△」、よろんちょ、ゆろんちゃ、うろんちゃ、よろーちゃ、よろおちゃ、よるおちゃ、ずーーーーーっと、一体何と言っているのか分かりませんでした。何回も何回も聞いて、「よるおちゃ」かな~と思いましたが、じゃぁ、「よるおちゃ」って何? という疑問は解けませんでした。「よるおちゃ」で検索しても何も出てきませんでしたし、若い人に聞いても「さぁ~?」でした。で、つい先日、ポータルサイトの広告で「夜お茶」という文字を見て、初めて「夜お茶、よるおちゃ」だと確認できました。車だから夜でもお茶なんですね、飲酒運転厳禁です。
 知らない言葉は聞き取れないのです。「リーチをかけてるんだから負けられない」と言っているのに「生死をかけてるんだから負けられない」と書いてあるのを見たことがあります。「おいおい、生死までかけちゃだめだろ、リーチだろ」と、まず突っ込んで、これを書いた人、マージャンのリーチを知らないんだろうな、「リーチをかける」という言葉を知らないんだろうな~と思いました。「○×◇をかける」と聞こえて、「かける」のは「生死」だ、それなら「負けられない」よね、というわけで、話が随分大げさになりました。でもね、「リーチ」だから、「生死」より「命」のほうが近くない( ̄・ ̄)ゞ?
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聞こえない音を脳が補っているらしい。

2007-11-09 20:08:18 | 言葉についてあれこれ
                    ○の部分を補ってください
 何かの番組で見たのですが、男性が、ビールのジョッキを片手に、こちらを向いて「枝豆下さい」と言って、このとき、雑音で「えだまめ」の「だ」が聞こえなくてもちゃんと「えだまめください」と聞こえる、これは、音が途切れる不快感を減らすため、脳が自動的に音を補っているということなのだそうです。でも、これ、映像を見ていれば、たとえ「えだまめください」が全く聞こえなくても、口の動きから「枝豆下さい」と言ってるんだろうなと想像できます。もっとも、ビールを飲みながら枝豆をつまむという経験がない、あるいは、そういう人を一度も見たことがないという人にも想像できるかどうか、それは知りませんが。
 その場面を目で見ているのなら、たとえ日本語がどんなにおかしくても、何十年も生きてきていろいろ経験して常識があれば、という条件付きですが、脳が一生懸命にあっちこっち補ってつないでくれるので、一応、こう言っているのだろう、こう言いたいのだろう、と推測することはできます。でも、連続ドラマの第5話をたまたま見て、ここまでの話の筋が分かっていないとか、出てくる単語をこれまでに一度も聞いたことがないとか、話を理解するのに必要な予備知識が全くないときは、脳がいろいろ補うにしてもやはり限界があります。
 そもそも、本人の脳の中に正しい日本語が形成されていないと、変な日本語を正しく補って意図を正確にくみ取っているかどうかも分かりませんよね。聞こえない音を聞き手本人の知識レベルで勝手に補って違う言葉になってしまうことは当然ありますから、これで誤解が生まれないわけがありません。これは、他人がテープ起こし作業をして作成した文書をたくさん読んで実感したことでもあります。実際、ひどいものですよぉぉぉ、皆さんは知らないだけ、なんですよぉぉぉ m( ̄д ̄)m。
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妙な方向へ進化(退化?)している「たり」。

2007-11-08 19:53:51 | 気になる言葉、具体例
                  ちょっかいかけたりかけられたり
 昨日、並列を示す接続助詞「たり」は「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものなのに、「けがをしたり病気になったら」というふうに1回きりになっているということを書きました。正しい表現は「けがをしたり病気になったりしたら」で、「けが」と「病気」を「たり」で並べ、その後に、苦しいとか、仕事に行けないとか、治療にお金がかかるとか、けがや病気によって陥る大変な状況を述べていくわけです。
 では、「病気やけがになったりする可能性が」というのはどうですか? 本人は「病気」と「けが」を並べているつもりですが、「けがになったり」という言い方を普通はしませんね、「けがをしたり」です。よって、「病気になったりけがをしたりする可能性が」と言わなければいけません。並べて述べるときは「~たり~たり」という基本を無視すると、やはりこういうことになるようです。
 「いいことを言ったり貢献すると」や「悩んだり辞めたいと思っている人が」はどうですか? 「いいことを言う」と「貢献する」は並列なのか、「いいことを言う」は「貢献する」に含まれるのか、いまいち分かりません。「悩む」と「辞めたいと思っている」は並列なのか、「悩んだ」結果、「辞めたいと思っている」という状況になったのか、いまいち分かりません。なーんか、すっきりしませんねぇ。並列でないのなら、「いいことを言ったりして貢献すると」「悩んだりして、辞めたいと思っている人が」というふうに言えばはっきりします。
 「集団で殴ったり蹴られたりの暴行を受け」なんていう妙な表現も聞きました。せっかく「~たり~たり」という基本にのっとっているのに、惜しい、実に惜しい! 「殴った」と「蹴られた」、主語が替わっています。正しくは「集団で殴ったり蹴ったりという暴行を受け」ですが、「集団で殴る蹴るの暴行を受け」というのがよく聞く普通の表現ですね。あ~、本当に惜しい。
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すっかり定着した1回きりの「たり」。

2007-11-07 20:03:28 | 気になる言葉、具体例
                     行ったり来たり忙しい
 6月7日に接続助詞「たり」について書きましたが、「けがをしたり病気になったら」というような1回きりの「たり」がすっかり定着したようです。若いアナウンサーのほとんどはこれがおかしいとは思っていないようですね。並べて述べるときは「~たり~たり」、何かを例として挙げるときは「~たり」なのですが、この区別をしていないのです。並列なのに、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」とか、「迷子になったり逆走してしまう危険性があります」とか、「捨てたり売却する前に」とか、変な言い方が毎日聞こえてきます。
 並列を示す接続助詞「たり」は、「行ったり来たりする」「売ったり買ったりする」「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものですから、「寝ている人を起こしたり邪魔したりしないように」が正しい言い方です。これ以外に考えられるのは、「寝ている人を起こしたりしないように」か、「寝ている人を起こしたりして邪魔することのないように」か、これだと、「~たり」は1回で、例を挙げる言い方になります。つまり、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」は、そのどちらでもない中途半端な言い方なのです。
 言いたいことは分かるからいいじゃないか、なんて思っていたら、「糸が絡まったり、下糸の調節は要りません」などというあほなことを言う人がもっと増えますよ。これは、「糸が絡まったりせず、下糸の調節も要りません」と言わなければならないところで、「~たり」のことを全く分かっていません。基本を無視しているとこうなるよぉ~(´д`)という実例です。それにしても、このセリフ、もう何年にもわたって聞かされていますねぇ。でも、ちっとも慣れませんよ。
 先日、NHKのニュースで久々に「ボートに乗ったり泳いだりして海を渡ってくる」「切ったり貼り合わせたりして形を作る」という正しい表現を聞きました。でも、NHKですら、「たり」の繰り返しが残っているのはほんの一部ですから、これも、もうあきらめるしかないかなぁ~?
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わりに、割りに、割に。

2007-11-06 20:07:52 | 言葉についてあれこれ
                    均等割・・・ではないね
 日本語の表記というのは、漢字、平仮名、片仮名、送り仮名、アルファベット、いろいろあってものすごく迷うことがあります。意味によって適切な漢字を選ばなければいけないのですが、辞書を2冊以上見るとそれぞれ意見が分かれているなんていう難しいものもあります。私自身、まだ結論を出せないでいるものもありますし、これまではA社の辞典を根拠に○○と書いていたけれど、どうも違和感があるからB社の表記に変えようということもあります。世の中の動きがこうだからとか、この表記は好きじゃないからとか、覚えにくいからとか、そういうことが変える理由になることもあります。
 ですから、ずっと以前に書いた文章と今の文章とを比べると、表記のしかたが違うということがたまにあります。また、書いている文書の性格によって違うこともあります。例えば、公用文では、公用文の表記というのが別にあるので、例えば、一般的には「売り上げ」でも、公用文では「売上げ」となるなど、一般の文書とは違う表記になる言葉がたくさんあります。なんでかな~?
 さて、今日のタイトルの「わりに」ですが、手元の表記辞典では「均等割、割りがいい、大きさの割りに高い、割と新しい、割に大きい」となっています。でも、「割りに高い」「割に大きい」がどうしても覚えられなくて、書くたびに辞典を見ていたのですが、このごろどうにも面倒くさくなり、大体、「割りに高い」と「割に大きい」がなぜ同じ表記じゃないんだという疑問がわき、さらに、国語辞典には「割がいい」と書いてあるし、納得できないから覚えられないんじゃないかということで、すべて「割」とすることにしました。率や度合いは「割」です。「水割り、部屋割り、月割り、割り勘、割り算」など、割るというときは「り」が入りますよ。
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「いまだ未解決のこの事件」って?

2007-11-05 19:29:53 | 気になる言葉、具体例
                      まだ未開封なり~
 世の中にあふれる重複表現、「こちら日光の紅葉は美しい紅葉になっております」だなんて、あほか! NHKですら「いちばん最初からいちばん最後まで」という言い方を平気でするようになりましたから、これはもうあきらめるしかないのかな~?
 さて、「まだ未解決のこの事件」「彼はまだ未婚なのだ」というのはどうですか? 「未」を頭に付けると「まだ・・・しない」という意味になるので、「まだ、まだ解決していない、この事件」「彼はまだ、まだ結婚していないのだ」となりますが、だからといって特別おかしいとは言えませんね、もうすっかり当たり前になっている言い方ですから。でも、このごろ、「いまだ未解決のこの事件」「彼はいまだ未婚なのだ」という、わざわざ重複にしたような言い方が聞こえてくるのです。さすがにこれにはむずむずしました。
 「いまだ」を漢字で書くと「未だ」です。「今だ」ではありませんよ。「未だ未解決のこの事件」「彼は未だ未婚なのだ」となりますが、どうですか、くどいでしょう? 「未だ解決していないこの事件」=「未解決のこの事件」、「彼は未だ結婚していないのだ」=「彼は未婚なのだ」、ですから、「未だ未解決」「未だ未婚」は重複ですね。
 「いちばん最初」にしても、「最初」の意味が「いちばんはじめ」だと分かっていたら、「いちばん最初」なんて言えないはずなんですけど・・・。
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VTR、マンション、プチセレブ、タレント。

2007-11-04 19:37:00 | 言葉についてあれこれ
                      セレブな感じぃ?
 VTRという言葉について、Video Tape Recorder の略なのに「VTRを見る」はおかしいのではないかというコメントを頂き、同じような例があることを思い出しました。どこのだれが最初に使ったのか、本来の意味とは違う意味ですっかり定着しているアルファベット略語やカタカナ語というのがありますね。「マンション」も、mansion は、豪壮な大邸宅という意味です。もっとも、辞書にはロンドンの分割住宅アパートという記述もありますから、最初にマンションと言った人はそちらをイメージしたのかもしれませんが、庭もプールもないのにマンション? と思う外国人は多いようです。でも、こんなこと今更言ってもしょうがないですよね。「マンション」は日本語です。
 面白いのは「プチセレブ」ですね。セレブリティー(celebrity)は英語で、名声、有名人、名士、プチ(petit)はフランス語で、小さい、小型、子ども、という意味です。これを無理やりくっつけてプチセレブ、ちょっとだけセレブという意味だとすると、「町内では有名で、知らない人はいませんよ」という人物、○○町内限定セレブか? なんてね、「ちょっとだけ上流っぽい」というような意味ですよね、だから、別に有名人でなくてもいいのです。何となくイメージは伝わるのですから、便利ですよね。日本語(外来語? 業界人の造語?)は自由だぁ~!
 知的なところが一切ないのが売りの無芸な「タレント」、意味が矛盾していますね。最近、増えてきていませんか? talent は、才能、特殊技能、才能のある人、人材、芸能人という意味ですからねぇ~。タレント事務所などに所属し、テレビに出てお金を稼ぐ人をタレントと呼ぶならば、無芸でもタレントと呼ぶのはしょうがないですね。ほかに適当な言葉も浮かばないので( ̄‐ ̄;)、タレントと呼ばれる本人がよければ、ま、いいでしょう。
 目新しいカタカナ語を業界の人が使いだし、もともとの意味を知らない一般人にも広がっていく、そして、もともとの意味はあっちに置いてすっかり定着してしまっているからしょうがない、それが分かっている人は、せめて外国人との会話には使わないように注意しよう、ということになるでしょうか。
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「体の底から温まらしていただきました」って?

2007-11-03 19:37:47 | 気になる言葉、具体例
                      アツアツはむ鍋
 今日の例文はとても面白いですね、「体の底から温まらしていただきました」、どうですか? どこがどうおかしいか分かりますか?
 「心の底」なら、「心底(しんそこ)」という単語があるのでいいですね、心の底からそう思う、普通にある言い方です。では、「体の底」って、どこ? 足? 足湯にでもつかったの? 本当は、体の真ん中、芯、「体の芯から」ですね。「芯」は常用漢字外ですが、「しん」では物足りない感じがしてぼやけるので、私は「芯」を使っています。「温まらしていただきました」も気になります。ここ数日、「~させていただく」について説明してきましたから、もうお分かりですね、「体の芯から温まりました」と言えばいいのです(^‐^)。
 ついでながら、漢字について一つ。「かじかんだ手を暖める」というのは間違いで、「温める」が正しいのですよ(^^)。「旧交」や「計画」も「温める」です。そして、「部屋を暖める」は「暖める」です。
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そんなことまで謙譲表現?

2007-11-02 19:45:12 | めちゃくちゃな敬語
                     うまい!感動した!
 「~させていただく」があまりにも使われすぎて、先日、本当に腹の立つシーンに出くわしました。行政の人が、不正を働いた業者の代表者に対して「営業禁止とさせていただきます」などと言っているのです。だらぶち!!! 役人は公僕ですが、悪人に対しては毅然とした態度でいてもらいたい! ぼそぼそと「営業禁止とさせていただきます」なんて言っているのを見ると、あれれ? ひょっとして、役所はとっくに知っていて、これまでずっと見て見ぬふりしてきたのかなぁ~なんて勘繰っちゃいますよぉ~。
 さらに、不正が発覚した企業の社長が、従業員から話を「お聞きしておりました」だなんて・・・、開いた口がふさがらない。「お聞きして」は、話をした人に対する謙譲表現ですから、社長が、ですよ、従業員から「お聞きしておりました」というのはおかしいでしょう? 正しくは「聞いておりました」です。「おりました」は、質問している記者たちに対して丁寧に言っているということになります。
 あるイベントでインタビューを受けた女性が「今も喜ばせていただいております」と言ったのですが、テロップは「今も喜んでいます」でした。さすがに「今も喜ばせていただいております」などとそのまま書くのは抵抗があったようです。この女性、一般の人なのですが、「今も喜んで」まで言って、そこで切り、わざわざ「今も喜ばせていただいております」と言い直したのですよ、そんな必要なんかないのに! この人、テレビの悪影響をもろに受けています。だって、「私も、見させていただいて、感動させていただきました」なんて言うタレントがちょいちょいいますからね。
 喜ぶ、感動する、そんなことまで「~させていただく」と表現する必要なんかありません。「喜んでいます」「感動しました」と、素直に表現すればいいのですよ。そうでしょう?
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言葉をどう認識するか、大きすぎるテレビの影響。

2007-11-01 19:35:42 | 電子書籍(でじたる書房)
                       ハムやーん
 単語や慣用句の意味、文法、決まった言い回し、それらを正しく認識するか間違って認識するかということには偶然の要素がかなり入るのではないでしょうか。家族構成とか、親の言葉遣いとか、テレビをよく見たとか見なかったとか、いろいろな偶然があります。もちろん、学校で習うようなものは偶然というより必然、ばらばらでは困りますが、それさえも、教科書に載っていることは全員が正しく認識しているかというと、現実は、そうではありませんよね。病気やけがで長期間休んだから習っていないとか、教室にいても授業は聞いていないとか、正しく認識する機会を逃してしまったということはみんなあるはずですし、何かの拍子で間違って認識してそのまま覚えてしまったということもあります。
 いろいろ間違って覚えているということに気づく機会があって、直そうと真剣に思い、自分で確認して正しいものを覚える、これができれば幸いです。そうしないと、またどこかで恥をかきますからね。直せば一時の恥、知らずに過ごして直さなければ一生の恥。恥をかいて、その後どうするかというのは大事なことですが、まず、知る機会があるかないか、これもやはり偶然なのでしょうね。このブログを読んでいる皆さんも、なぜ読んでいるかというと、偶然ですよね(^0^)/ ヤッホー。
 以上、8月1日に書いた文章なのですが、先日、あるテレビ番組で、「どうか息子をお殺しにならないで」「今もあなたをお愛ししている私のために」というセリフを聞き、偶然なんて言っていていいのだろうかと疑問に思いました。影響力の大きさを考えない放送業界のひどい日本語は毎日毎日人々の耳に入っているのですから、おまけに、一般人よりもしっかり日本語教育を受けているはずの職業の人たちもろくな日本語をしゃべっていないのですから、自然な変化の域を超えて日本語がどんどんおかしくなっていくのは当然の結果です。
 それにしても、この変なセリフはおふざけ? 日本語としておかしいということが分かる人、感じる人はいいのですが、そうでない人、敬語が分かっていない人、若い人、何も考えずにこれらのおかしな日本語を脳みそに刻み込んでいる人たち・・・、これを偶然と言うのはちょっと・・・気の毒すぎます。環境が悪すぎますよぉ~<( ̄д ̄)>。
 でじたる書房は http://www.digbook.jp です。
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