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神社での勧請縄は、参道や境内の端に吊るしますが、鳥居に注連縄のようにして掛ける場合も多々あります。
「注連縄」は神社や巨樹や巨石や瀧など神の降臨する場所の結界、「勧請縄」は村に魔が侵入することを防いで村内安全・五穀豊穣を祈念するものになります。
勧請縄は魔除けの意味合いが強いですから、中央にトリクグラズという呪物や祈祷札、時には鬼や牛の角や弓や五芒星を模したものを付けることが多い。
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北脇集落の勧請縄は、村の外れにある細い道に道切りの形で吊るされる。
魔の通り道を切るために吊るされていますので、くぐり抜けるのには少々勇気がいるような場所です。
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この場所は北脇集落の野神さんにあたる場所となっており、すぐ横にかつて野神さんとして信仰されたと思われる巨樹の切り株が残されています。
野神祭は8月に行われるそうですが、勧請縄は正月に吊るされて前の年のものは横に置かれている。
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野神さんの切り株の横には、新しい野神さんの木でしょうか。
男女を模したと思われる木札が注連縄で巻かれており、この場所には道切りの勧請縄と野神さんの依代が共存しているようです。
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同じ北脇集落の「諸木神社」には、鳥居を抜けた参道に勧請縄が掛けられています。
「諸木神社」は北脇集落の氏神で、御祭神に句句廼馳命 金山彦命 罔象女命 迦具土命 埴安彦命など多くの神が祀られている神社です。
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「諸木神社」の勧請縄は、鳥居を抜けた参道にある枯れ木に吊るされてています。
勧請縄の主縄は北脇の野神さんと同様に、頭の部分と尾の部分がはっきりしており、小縄は下げられていない。
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トリクグラズは丸に十の形をしており、シキミの枝葉を立てるように付けています。
「諸木神社」は国道307号線に面していて勧請縄も道路から見える場所にあります。
307号線では東近江市の岡田町や甲良町の池寺の勧請縄も道路から見える場所にあったが、今は見ることがなくなりました。
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さて、日野町ではありませんが、移動中に近江八幡市の旧永源寺町にある石谷町の「白鳥神社」の前を通ったので立ち寄りました。
旧永源寺町の勧請縄は、トリクグラズは集落ごとに違いはあるものの、主縄の頭の部分が非常に大きく作られます。
ただし「白鳥神社」の勧請縄だけは、主縄の両端ともに頭になっているようです。
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東近江の「白鳥神社には興味深い話が合って、滋賀県の永源寺側の最奥にある甲津畑から西北に向かって、石谷の「白鳥神社」まで1本の線で結ぶことが出来ます。
「白鳥と古代史(芦野泉)」という本では、古代の初期農耕では高地湿地で白鳥の糞が肥料として効果が高かったとされます。
「甲」は白鳥の鳴き声「コウ」に文字を当てはめたことが由来になっているといい、滋賀の最奥の集落には甲津畑・甲津原などがあります。
この場合の「白鳥(シラトリ)」は、ハクチョウ・コウノトリ・ツル、シラサギを含めた総称とされ、各「白鳥神社」は白鳥の渡りのルート上にあるとされます。
旧永源寺町には白鳥若宮神社・若宮白鳥神社を含めて6社の神社が固まっているのが現在も確認でき、滋賀県には他の場所で白鳥神社は確認出来ません。
岐阜県の揖斐郡や安八郡や瑞穂市にも白鳥神社が集中しているラインがありますが、現地は未確認です。
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石谷の白鳥神社の主縄の頭は、かなり大きくて両端が頭になっているが、これは如来の白鳥若宮神社・市原野の白鳥神社と同じ。
頭が片方だけにあるのは池之脇町の白鳥神社・上二俣町の白鳥若宮神社・高木町の白鳥神社で種町の白鳥神社では確認できなかった。(一式町は未確認)
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トリクグラズは丸型に枝葉が下げられ、小幣が3本挿されていて小縄はない。
石谷の勧請縄は年初に下げられ年の途中で取り外されるそうですが、以前10月頃に訪れた時には既に取り外されていました。
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「勧請縄-個性豊かな村境の魔よけ-(西村泰郎著)」を参考にして勧請縄を捜し歩いており、本が出版された2013年には161の勧請縄が確認されています。
この4年程、1~2月に勧請縄を探していますが、既には廃止されてしまって見ることが出来なかった勧請縄、4年の間に廃止されてしまった勧請縄があります。
滋賀県にはいろいろな民俗行事が残っていて、ひとつ知ればもうひとつ知りたくなるような不思議な魅力があります。
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