歳苗神社の勧請縄と巨樹
東近江市の高田神社に参拝した折、このあたりに勧請縄を吊るしている場所はないですか?と聞いてみました。
以前は隣村でも吊るしていたが今はもうやっていない。あるとしたら「歳苗神社」へ行ってみたらどうかと教えていただき愛知川に面した「歳苗神社」へ参拝いたしました。
「歳苗神社(としなえ)」は、滋賀報知新聞の記事によると
貞観年中(八五九~八七七)、惟喬親王は「帝位に望みなし」と出家され、愛智の深山に入ろうと御巡輦(ごじゅんれん=各地を巡られること)された。
その節、当地に休憩所を設け、川辺に斎殿(いわいどの=神をお祀りする建物)を置き五穀豊穣を祈願され、天児屋根命(あめのこやねのみこと)をはじめ三柱の神をお祀りされた。土地の人々がこれを産土(うぶすな)の神としたことが歳苗神社の始めとしている。とあります。
一之鳥居から離れたところに朱色の鳥居があり、そこからが社のある境内になりますが、石造りの鳥居と朱色の鳥居の配置はこの地方独特のものなのでしょうか。
まず驚くのは鳥居の横に立つスギの巨樹です。また、この辺りには石垣で囲まれている建物が多いことにも驚きます。
解説板はなかったが、環境省の巨樹・巨木林データベースにある幹周5m・樹高27m・樹齢300年以上と記載されているスギはこの樹かもしれない。
限られたスペースに目いっぱい根を張って、幹の下部は圧倒されるほど太い。
本殿には「天児屋根命」「経津主命」「武甕槌命」の3柱を御祭神として祀り、配祀神として「大山咋神」「市寸島姫命」「菅原道真公」を祀るとされます。
本殿には社の梁のところに勧請縄というより注連縄の様式の〆の子を吊るした注連縄が張られています。
5本の〆の子が吊るされていますが下部まで藁になっているものと、金色・銀色のものがあるのが不思議です。
これまで〆の子を気にして見てきていませんので詳しくは分かりませんが、少し変わった形になってるのかと思います。
本殿の裏側横には真っすぐに伸びた御神木のスギが祀られており、御神木にも本殿と同じ様式の注連縄が巻かれています。
朱の鳥居のところにあった巨樹スギとは太さとしては及ばないものの、凛として立つその姿には神々しいものがあります。
さて、境内で不思議な石を見つけました。
2つの岩があり、その奥には注連縄で結界を張られた場所にまん丸い石が祀られています。
これは神社の磐座として祀られているのか、何らかの神として祀られているのか、菩提なのか、よくは分かりませんでしたが、神の依り代であることには違いはないようです。
注連縄が巻かれた丸い石の後方には、上に乗せるためと思われる石が数個ありましたが、乗せ換えることがあるのでしょうか。
「歳苗神社」は愛知川の西の田園地帯に位置する農村で、南東には一部鈴鹿山系の山を含み、その位置関係から山上町というのかと思います。
目の前を流れる愛知川にはなぜか石が並べられています。
この辺りは愛知川が湾曲して曲がっている場所でもあり、水位が高くなった時に水の勢いを緩和させるためかとも思われますが、不思議な光景ではあります。
東近江市岡田町の勧請縄
勧請縄やトリクグラズは東近江市に多いとされているのを実感したのは、国道307号線を走行していた時に勧請縄が目に入ってきたことです。
東近江市岡田町は町内に工場やスーパーがあるとはいえ、大部分は田園地帯で集落は一角に集中している典型的な農村です。
村の外れの境界線に八幡神社があり、鳥居の外に勧請縄が吊るされていました。
かつては道を横切って吊るされていたのかと思われますが、今は電柱と勧請杭に吊るされています。
勧請縄は大繩に小勧請縄が吊るされ、上部には御幣の付いた矢が3本。
中央部には護符の木札が吊るされています。
勧請縄は、集落に邪悪なものが入って来ないよう安全祈願のため、集落の出入り口に張り渡したものとされていますが、この勧請縄はまさに集落の出入口に張った結界といえます。
山上町は農村ですから五穀豊穣を祈願するためのものでもあるのでしょう。
木札に書かれた意味を調べてみると...
「福寿海無量」: 観世音菩薩の福徳が広大無量であることを、海にたとえた語
「鬼子母神」:安産、子育ての守り神であるとともに、釈迦が鬼子母神に渡したざくろには豊穣や魔除けのちからがあるとされます。
「十羅刹女」:鬼子母神らとともに仏の説法に接し、法華行者を守る神女。
「諸縁吉祥」:色々なかかわりあいが幸せにつながるよりよい縁となるように願う意味があるという。
読めない漢字もあって解釈を間違えているかもしれませんが...。
参拝した「八幡神社」は小さな森の中にある祠で村の鎮守の神様という感じです。
滋賀県の古い集落には必ずと言っていいほど、村の神社があります。
勧請縄は湖東地方・湖南地方独特の民俗行事になり、山の神信仰・野神信仰と融合しながらも独自の形を維持しているようです。
いくつかの勧請縄を見ただけですが、みな違った個性があり見る者の興味は尽きません。
見て回る間に、勧請縄を取り止めてしまわれたことを確認できた集落が何ヶ所かあったことはやむを得ない事情があるとはいえ残念なことです。
東近江市の高田神社に参拝した折、このあたりに勧請縄を吊るしている場所はないですか?と聞いてみました。
以前は隣村でも吊るしていたが今はもうやっていない。あるとしたら「歳苗神社」へ行ってみたらどうかと教えていただき愛知川に面した「歳苗神社」へ参拝いたしました。
「歳苗神社(としなえ)」は、滋賀報知新聞の記事によると
貞観年中(八五九~八七七)、惟喬親王は「帝位に望みなし」と出家され、愛智の深山に入ろうと御巡輦(ごじゅんれん=各地を巡られること)された。
その節、当地に休憩所を設け、川辺に斎殿(いわいどの=神をお祀りする建物)を置き五穀豊穣を祈願され、天児屋根命(あめのこやねのみこと)をはじめ三柱の神をお祀りされた。土地の人々がこれを産土(うぶすな)の神としたことが歳苗神社の始めとしている。とあります。
一之鳥居から離れたところに朱色の鳥居があり、そこからが社のある境内になりますが、石造りの鳥居と朱色の鳥居の配置はこの地方独特のものなのでしょうか。
まず驚くのは鳥居の横に立つスギの巨樹です。また、この辺りには石垣で囲まれている建物が多いことにも驚きます。
解説板はなかったが、環境省の巨樹・巨木林データベースにある幹周5m・樹高27m・樹齢300年以上と記載されているスギはこの樹かもしれない。
限られたスペースに目いっぱい根を張って、幹の下部は圧倒されるほど太い。
本殿には「天児屋根命」「経津主命」「武甕槌命」の3柱を御祭神として祀り、配祀神として「大山咋神」「市寸島姫命」「菅原道真公」を祀るとされます。
本殿には社の梁のところに勧請縄というより注連縄の様式の〆の子を吊るした注連縄が張られています。
5本の〆の子が吊るされていますが下部まで藁になっているものと、金色・銀色のものがあるのが不思議です。
これまで〆の子を気にして見てきていませんので詳しくは分かりませんが、少し変わった形になってるのかと思います。
本殿の裏側横には真っすぐに伸びた御神木のスギが祀られており、御神木にも本殿と同じ様式の注連縄が巻かれています。
朱の鳥居のところにあった巨樹スギとは太さとしては及ばないものの、凛として立つその姿には神々しいものがあります。
さて、境内で不思議な石を見つけました。
2つの岩があり、その奥には注連縄で結界を張られた場所にまん丸い石が祀られています。
これは神社の磐座として祀られているのか、何らかの神として祀られているのか、菩提なのか、よくは分かりませんでしたが、神の依り代であることには違いはないようです。
注連縄が巻かれた丸い石の後方には、上に乗せるためと思われる石が数個ありましたが、乗せ換えることがあるのでしょうか。
「歳苗神社」は愛知川の西の田園地帯に位置する農村で、南東には一部鈴鹿山系の山を含み、その位置関係から山上町というのかと思います。
目の前を流れる愛知川にはなぜか石が並べられています。
この辺りは愛知川が湾曲して曲がっている場所でもあり、水位が高くなった時に水の勢いを緩和させるためかとも思われますが、不思議な光景ではあります。
東近江市岡田町の勧請縄
勧請縄やトリクグラズは東近江市に多いとされているのを実感したのは、国道307号線を走行していた時に勧請縄が目に入ってきたことです。
東近江市岡田町は町内に工場やスーパーがあるとはいえ、大部分は田園地帯で集落は一角に集中している典型的な農村です。
村の外れの境界線に八幡神社があり、鳥居の外に勧請縄が吊るされていました。
かつては道を横切って吊るされていたのかと思われますが、今は電柱と勧請杭に吊るされています。
勧請縄は大繩に小勧請縄が吊るされ、上部には御幣の付いた矢が3本。
中央部には護符の木札が吊るされています。
勧請縄は、集落に邪悪なものが入って来ないよう安全祈願のため、集落の出入り口に張り渡したものとされていますが、この勧請縄はまさに集落の出入口に張った結界といえます。
山上町は農村ですから五穀豊穣を祈願するためのものでもあるのでしょう。
木札に書かれた意味を調べてみると...
「福寿海無量」: 観世音菩薩の福徳が広大無量であることを、海にたとえた語
「鬼子母神」:安産、子育ての守り神であるとともに、釈迦が鬼子母神に渡したざくろには豊穣や魔除けのちからがあるとされます。
「十羅刹女」:鬼子母神らとともに仏の説法に接し、法華行者を守る神女。
「諸縁吉祥」:色々なかかわりあいが幸せにつながるよりよい縁となるように願う意味があるという。
読めない漢字もあって解釈を間違えているかもしれませんが...。
参拝した「八幡神社」は小さな森の中にある祠で村の鎮守の神様という感じです。
滋賀県の古い集落には必ずと言っていいほど、村の神社があります。
勧請縄は湖東地方・湖南地方独特の民俗行事になり、山の神信仰・野神信仰と融合しながらも独自の形を維持しているようです。
いくつかの勧請縄を見ただけですが、みな違った個性があり見る者の興味は尽きません。
見て回る間に、勧請縄を取り止めてしまわれたことを確認できた集落が何ヶ所かあったことはやむを得ない事情があるとはいえ残念なことです。
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