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“男のためのガーデニング”改め

野洲市の勧請縄~須原・堤・六条・吉川~

2024-02-29 07:17:17 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 勧請縄は村に悪霊や疫病が入って来ないように村境に吊るして結界を張ったことが始まりとされており、滋賀県では湖東・湖南地方に集中しています。
年頭に五穀豊穣や村内安全を祈る祭りとしては、「湖北のオコナイ」と「湖東・湖南の勧請縄」がありますが、祈りの根源は同じようなものかもしれません。

勧請縄は東近江市や近江八幡市に特に多くみられ、日野市・竜王町・湖南市・甲賀市・野洲市・守山市・栗東市・大津市に集中しています。
稀なものとして高島市や長浜市にも例外的にみられるものの、大半は滋賀県を四等分にすれば右下の地域に固まっています。



今回は野洲市の勧請縄でまだ見たことのない勧請縄を巡ることになり、最初に須原集落の苗田神社を訪れました。
野洲市には「兵主大社」という大きな神社があり、苗田神社は兵主二十一社の内の一社になり、御祭神には稲田の神とされる稲田姫命を祀る。



勧請縄は鳥居の横の道路に面した場所に下げられている。
かつては竹を横に通してそこに主縄が付けられていたようですが、現在は化学繊維の主縄に変わっていました。



小縄は細縄を束ねて榊の葉と白幣を付けたものを左右3本づつ下げており、中央にトリクグラズが下げられています。
トリクグラズは丸型の円盤状に3本格子を入れて、杉の葉を沿わせたものとなっている。



榊の葉を結んだ小縄は境内の祠や石塔など各箇所に下げられていて、本殿や境内社の祠にも下げられています。
境内社は本殿の左に稲荷社、右に日出神社と写真にはないが愛宕大神がお祀りされています。



本殿の板囲いの前には見るからに古そうな七重石塔(仁王塔)が祀られており、こちらにも小縄が下げられている。
七重石塔は鎌倉時代の作とされていて、花崗岩の劣化は目立つが四方仏坐像などははっきりと読み取れる。





次に訪れたのは堤集落に狩上神社の勧請縄でした。
狩上神社も兵主二十一社の1社にあたり、兵主神社の北方守護神としてお祀りされているという。
この辺りは勧請縄を下げる習慣のある集落が隣接しているので、次の勧請縄のある場所への移動は少ない。



狩上神社の御祭神に事代主神をお祀りし、狩上とは開田の意とするといいます。
堤集落の勧請縄は主縄がなくトリクグラズだけが本殿の板囲いに掛けられてありました。



トリクグラズは丸十型でスギの枝葉が束ねられている。
ユズリハと紙垂が付けられた小縄が一組だけ束ねられて下げられています。
須原と堤は隣接した集落のため、勧請縄の傾向が多少似ている部分もあるにはあるが、集落独自の個性の違いは大きい。



須原・堤に隣接する東方向の五条集落に兵主大社の広い境内地があり、兵主大社に隣接する六条集落の村外れの三ノ宮神社に勧請縄があります。
三ノ宮神社の勧請縄は、鳥居をくぐった参道の両脇にある木に吊るされてる。



勧請縄は左はスギの木にくくられ、もう一方は枯れ木にくくらている。
小縄は左右3本づつ下げられており、特徴的なのは主縄の中央部に別の太い縄を付けていること。



太く短い主縄の下にトリクグラズが下げられていて、この形式の勧請縄は他では見たことのない形となっています。
これは、集落ごとに違いがあり、2つとして同じものはないという勧請縄ゆえということになります。



トリクグラズは、丸型の中に縦横6本の格子が入り、交点に結び目がある。
結び目は「目」として悪いものが入ってくるのを防ぐためといわれる。



三ノ宮神社は、兵主神社二十一社の1社にあたり、この地方における兵主大社のかつての規模の大きさが伺われます。
御祭神は高光照姫命で、 一般的には縁結びの神の御利益がある女神とされています。



野洲市には「行事神社」「新川神社」「屯倉神社」にかなり個性的な勧請縄があるが、今回はまだ見てない勧請縄ということでパスします。
野洲市で最後に訪れたのは吉川集落にある「矢放神社」でした。



しかし残念ながら矢放神社の勧請縄は確認出来ずでした。
五芒星を形どったトリクグラズということでしたが、ここでは短い期間で取り外されて燃やされてしまわれるようです。
勧請縄は年頭に新しいものに取り換える集落があれば、切れるまで下げておく集落もありますが、短期間で取り外される集落も幾つかあるようです。



野洲市の神社で気になったのは境内に「神武天皇遥拝所」の石碑がある神社が多かったことでしょうか。
これらの碑は1940年の神武天皇即位2600年目の「皇紀2600年」に作られたともいわれていますが、それがは太平洋戦争前年のことでもありました。



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