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“男のためのガーデニング”改め

津田山の空奏テラスと長命寺太郎坊大権現~滋賀県近江八幡市~

2022-03-26 07:03:03 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 長命寺山から津田山(姨綺耶山)を縦走して「天照大神の石座」「天之御中主神の磐座」の2つの磐座を見て下山途中に「空奏テラス」という琵琶湖を望める大岩があると聞き立ち寄りました。
道は登山ルートから外れてすぐの場所にありましたが、どうやらそこは人気のスポットらしく到着した時には大岩の上には2組の男女がおられました。

2組の方は完全な登山ルックをされており、内1組はお湯を沸かしてコーヒーをいれたり、料理を温めたりと山を満喫されています。
山登りをするとキャンプのようにして楽しまれている方を見かけることがあり、山ひとつとっても楽しみ方は人それぞれなんだなぁと感じます。
むしろ磐座を求めて山登りしている当方の方が異質なのかもと思ったりもします。



「空奏テラス」は大岩の上のことをいうようですが、登るのも大変そうな大きな岩で、岩上は下が見えないような絶壁。
さぞや岩上は見晴らしがいいだろうと登ってみることにします。



これだけの大岩で琵琶湖が見渡せるような場所にありますので、かつては信仰の対象だったのではないかと思いつつも、もし磐座だったとしても今は信仰の場所から憩いの場所に変わっているのだろう。
岩の上側には登れるような足場があるので困難さはなく、最上部には座って景色を眺めたり、何か食べたりするには充分なスペースがある。



大岩の琵琶湖側は絶壁となっていることもあり、風が強く寒く感じる。
岩の先まで行ってみたいが足が竦みそうなので、空いている場所にバンダナをひいて座り、琵琶湖の風景を眺める。



北側に見えるのは有人島の沖島。半島のように見えますが、舟でないと行けない島です。
霞んでしまって見えないが、対岸には白髭神社があると思われます。



見る場所を変えると、対岸に上部だけ冠雪した比良山系が見えるが、雲がかかってしまっていて冠雪は垣間見えるだけ。
この「空奏テラス」は人気があるらしく、しばらく休んでいると次のグループが来られたので、交替して岩から降ります。



登山口まで戻ってくると、方向を変えて長命寺へ参拝します。
長命寺の山号は「姨綺耶山」。姨綺耶山は先ほど登ってきた津田山の別称ですので神奈備の山に仏教の融合した場所といえそうです。

西国三十三所巡礼の第31番札所の長命寺は、第12代景行天皇の時代、武内宿禰が柳の木に「寿命長遠諸願成就」と彫り祈願したところ、宿禰は300歳の長命を保ったという伝承があるという。
その後、聖徳太子がこの地に赴き開基したといい、宿禰は紀氏・巨勢氏・平群氏・葛城氏・蘇我氏などの古代豪族の祖ともいわれます。
長命寺のある山は日本海~琵琶湖~飛鳥を結ぶ道ですので、渡来系豪族と縁のあった地かと思います。



「長命寺」は西国三十三所札所の中でも巨岩の多い寺院で、重要文化財に指定されている堂塔にも圧倒されますが巨岩の迫力にも魅了されます。
まず本堂にお参りさせていただきましたが、巡礼の方・個人の参拝者・ツアーの団体客など続々と参拝に来られていて、人が動き出してきていることを実感します。



外陣からお参りをしましたが、やはり西国巡礼の札所寺院には独特の雰囲気があって好きですね。
西国三十三所巡礼はこれまで32寺と番外札所2寺へ参拝して、あと1寺を残すのみまできてコロナ渦で中断していましたので、機会を見つけて満願したいと思います。



長命寺は巨石信仰が色濃い寺院ですが、本堂の裏側には「六処権現影向石」という磐座があり、武内宿禰がこの岩に長寿を祈願したところ、300年以上生き5代もの天皇に仕えたという伝承のある磐座。
「六処権現影向石」は“天地四方を照らす岩”とされており、古代には琵琶湖からこの巨石が見えたのかもしれないと考えてみるのも面白い。





武内宿禰を祀る「護法権現社」の裏山には「修多羅岩」という巨石があり、宿禰の御神体だという。
津田山(姨綺耶山)は巨石が多く、複数の場所に磐座が祀られていたが、長命寺はまさしく神奈備の山に根付いた密教寺院といえそうです。





長命寺の境内の最奥には「太郎坊大権現社」という神社があり、神社の拝所には覆いかぶさるような巨石「飛来石」が祀られています。
御祭神である大天狗・太郎坊は普門坊という修行僧で、比叡山延暦寺で修行した結果、超人的な能力を会得して大天狗になったとされています。



太郎坊は京都の愛宕山に移り住むと、長命寺を懐かしく思い長命寺に向かって大岩を投げ飛ばすと長命寺の境内に突き刺さり、「飛来石」と呼ばれるようになったという。
天狗は霊山と呼ばれる山に伝説が多く残り、山神として畏れられ信仰されてきたとされ、滋賀県では阿賀神社(太郎坊宮)の太郎坊や比良山の次郎坊などに伝説が残ります。



「飛来石」を別角度から見ると、如何にも不安定な立ち方をしていますが、倒れることなく安定している。
巨石を見に行くと、不安定そうな立ち方をしている巨石を見ることが多いのですが、倒れそうで倒れない姿もまた人の信仰を集めるのかもしれません。



石段の上には「太郎坊大権現社」が祀られる。
阿賀神社(太郎坊宮)もそうですが、巨石の多い山には霊的なもの(天狗)が棲むと感じざるを得ない不可思議なことも多かったのかもしれないと思う。



祠の裏側に回り込んでみると、ここにも写真には納まりきらないきらないような巨石がある。
単純に考えると「太郎坊大権現社」の磐座と言えそうです。



拝所からは琵琶湖の風景が見えるが、残念ながら曇ってきた。
琵琶湖の淵に張り付くような山は岡山か?遠くには三上山の山容が見えますね。



ということで磐座を巡る登山は終わり、麓へと帰ってくる。
国民休暇村側の登山道にあるという「天之御中主尊」を見逃してしまったのでもう一度登ることになるのでしょう。





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