hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

町田康「きれぎれ」を読む

2008年09月10日 | 読書2

町田康(まちだこう)「きれぎれ」2004年4月発行、文春文庫 を読んだ。

この本には、2000年に芥川賞を受賞した「きれぎれ」と、同様な話の「人生の聖」が入っている。

BOOKデータベース
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絵描きの「俺」の趣味はランパブ通い。高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。金に困り、自分より劣る絵なのに認められ成功し、自分が好きな女と結婚している吉原に借りにいってしまうが…。現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描く。
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主人公は社会の底辺をさまよい、やることがいいかげんで、かつ欲望だけは一人前のダメ人間の一典型だ。このあたりで、もうついていけない人も多いだろう。さらに妄想と現実が混じりあい、その文章は、ふざけて、はじけるのだから、真面目な人は受け付けないだろう。
一方では、負け組で屈折し、失敗を繰り返しながら、くじけないところもあり、とにかく生きるためいろいろやらかす主人公に、私は自分の影を見るところもある。



町田康の小説は、ふざけた言葉の羅列に、以前途中で投げ出したことがあった。しかし、「町田康「破滅の石だたみ」を読む」に、「多少ふざけた文章が苦手の人にはお勧めできないが、パンク歌手の名に恥じる(??)根は真面目な人のようで、本も良く読んでいるし、他人と違ったことをやろうとリスクをとる考え方も気に入った。」と書いたように、ともかくこの本を読み続けてみた。途中から、テンポよい文章、話の運びにだんだん調子が出て、独特の文章にもなれ、けっこう面白く読み終えてしまった。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
前衛度が評価されるという芥川賞の受賞作品で、受賞にあたっても賛否両論があってようだ。好みの分かれる小説ではあるが、ともかく読んでみれば、意外と面白くなる人も多いだろう。






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