東野圭吾著『夜明けの街で』(角川文庫 ひ16-8、2010年7月25日発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる――。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか? 渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた・・・・・・。
建設会社に勤務し、妻と娘と幸せな家庭を持つ40代の渡部。会社に派遣されてきた秋葉を見ても当初はなんとも思わなかった。大学時代の友人と飲み会の後、訪れたバッティングセンターで、ひとり歯を食いしばってバットを振る秋葉に出会う。カラオケに誘い、飲みすぎて潰れた秋葉を、渡部は彼女の家まで送って行くが、途中でゲロを吐きかけられ背広を汚された。秋葉は「ごめんなさい」となかなか言うことができないと告げる。その後、何度か食事する仲になるが、とくに進展はしない。
食事帰りに秋葉の実家(お屋敷)に立ち寄り、玄関先で出ようとする彼女の父親と出会う。いつもそこで別れるのに、なぜか秋葉は、父親に「お茶でもお出ししようと思ってるの、いいでしょう?」と言い出し、父親に別れを告げ、二人で家に入る。そして二人は・・・。
本書は2007年6月角川書店より単行本として刊行。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
男が謎のある跳ね返りの若い女性にどんどん惹かれていくところは上手く書かれている。離婚経験のある東野さんの体験が活かされているのか?? しかし、不倫小説などどこにでも転がっている。心理分析、とくに女性心理は東野さんの最も不得意とするところだろう。
ミステリー性もぱっとしない。大騒ぎして、結局〇〇だなんて、バカバカしくなってしまう。
★(一つ星:無駄)は、いろいろな分野に挑戦する東野さんの応援団としては付けられないので、★★(二つ星:読めば)にした。