hiyamizu's blog

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東野圭吾『白夜行』を読む

2018年01月04日 | 読書2

 

 東野圭吾著『白夜行』(集英社文庫ひ15-5、2002年5月25日)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。

 

 

 題名の直接の由来は、来年の抱負を聞かれた桐原が、「昼間に歩きたい」と答え、「桐原さん、そんなに不規則な生活をしているの?」と聞かれ、

「俺の人生は、白夜の中を歩いているようなものやからな」

と答えたことによる。(p436)

 

 この作品は1999年8月集英社より単行本として刊行。雑誌連載時は連作短編。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 あまりにも長く(p854)、途中で飽きがくるが、なんとか読ませてしまう東野魔術。小中高から大学、会社、結婚・同棲と、極悪人の人生行路を描き切っている。

 じゃまな人物を追い落とすための同じ悪事のパターンが繰り返すので、行動の途中で読めてしまって、しらける。

 

 登場人物が30名以上というのは、年寄りには辛すぎる。時々、パソコンに以下のようにメモしながら読んだが、大分進んでから、ずっと前の人物が突然登場するのには困った。

 

 雪穂と亮司という悪が主人公だが、ふたりの内面は全く描写されず、動機も記述されない。さらになんらかの共同歩調を取っているのに、二人の直接交流はまったく描かれない。それでも、二人の残忍な行為に嫌悪を覚えても、かれらの冷静な目の中に、子供のときの凄惨な環境が思い出され、哀れさが漂う。

 亮司が汚れ役を引き受け、悪事にも迷いが感じられるので、可愛そうな気持にもなるが、雪穂は、経営手腕はあるのだが、陰険でのうのうとセレブな生活を送っていて、しゃくにさわる。でも、軟弱な私など、実際にあの目で覗き込まれると、フニャフニャになりそうな気がする。

 

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

 

 

登場人物

 

桐原洋介:被害者、質屋「きりはら」の店主

桐原弥生子(やえこ)洋介の妻。洋介の死後、質屋と喫茶店経営に失敗し、スナックを開く。

桐原亮司:洋介、弥生子の息子。大江中学から集修館高校へ。「無限企画」を設立。

松浦勇:質屋「きりはら」の店長

 

西本文代:うどん屋「菊や」で働く。夫を7年前に亡くす。美人。吉田ハイツに住む。ガス中毒で死亡。

西本雪穂:文代の娘。美貌。母の死後、唐沢礼子の養女で唐沢雪穂となる。清華女子学園、清華女子大。やがて、ブティック「R&Y」を手広く経営。

寺崎忠夫:化粧品等の卸売り。西本文代と付き合う。後、交通事故で死亡。

田川敏夫:吉田ハイツを扱う不動産屋

 

唐沢礼子:雪穂を引き取り、作法を厳しく教える。

川島江利子:清華女子学園中等部3年。中学からの雪穂の友人。大学で事件に巻き込まれる。後、手塚姓に。

藤村都子:清華女子学園中等部3年。雪穂と対立する人気者だったが、事件に巻き込まれる。

 

秋吉雄一:大江中学生。清華女子学園を盗撮。後に、メモリックスの主任開発部員として登場。

菊池文彦:大江中学生。雄一の友人。母子家庭。

牟田俊之:大江中学生。

園村友彦:集修館高校から信和大学工学部。美男子。売春パーティー後のトラブルを亮司に助けられて仲間に。

中嶋弘恵:友彦と同棲。亮司の会社に昼勤め、夜は専門学校へ。

 

西口奈美江:大都銀行昭和支店勤務。亮司の偽ソフト会社「無限企画」の経理担当。やくざのエノモトに貢ぐ。

花岡夕子:売春パーティーに参加。ポニーテール。友彦の相手。

花岡郁雄:夕子の夫。

 

中道正晴:沢雪穂の数学の家庭教師。大学院生の美濃部とゲームソフト「サブマリン」を自作。

 

篠塚一成:大手製薬会社の社長の甥。永明大のソシアルダンス部長。江利子に好意を持つ。

篠塚康晴:製薬会社常務。社長の息子。前妻を事故で亡くし、雪穂に夢中になる。

篠原美佳:康晴の前妻の娘。雪穂を嫌う。優大(まさひろ)は小5の弟。

葛西妙子:篠塚康晴の家の家政婦。

 

倉橋香苗:ソシアルダンス部で一成の恋人。

高宮誠:永明大ソシアルダンス副部長で雪穂と知り合い結婚したが、後離婚。東西電装特許ライセンス部勤務。

三沢千都留:電気部品会社の派遣社員。誠にあこがれる。後に高宮誠に妻に。

 

今枝直己:探偵事務所経営。一成の依頼で雪穂の調査をする。

菅原絵里:今枝の事務所のアルバイト。専門学校生。

栗原典子:薬剤師。ソフト会社勤務の秋吉雄一と同棲。

 

金城:いかがわしい話を亮司の会社へ持ち込む。骸骨じみた風貌。

 

笹垣潤三:府警捜査一課時代から桐原亮司と雪穂を追及し続ける。元西布施警察署に勤務。

古賀:府警本部刑事からエリートコースを歩み、大阪府警捜査一課長。笹垣の妻・克子の姪・織江と結婚。

中塚:西布施警察署刑事。班長。

金村:刑事

松野秀臣(ひでおみ)近畿医科大教授。大阪府監察医。

 

 

ちょっとした言葉

 

「選ばれた人間がソシアルダンスを習うんじゃない。いざという時にダンスの一つぐらい踊れるような人間が選ばれていくんだ」

コメント
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