hiyamizu's blog

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東野圭吾『片想い』を読む

2018年01月21日 | 読書2

 

 東野圭吾著『片想い』(文春文庫ひ13-4、2004年8月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー。 解説・吉野仁

 

 帝都大のアメリカンフットボール(アメフト)部の仲間の同窓会で始まる。

 QB(クォーターバック)だった西脇哲朗はマネージャーの理沙子(旧姓高倉)と結婚していたが、二人は最近しっくりこなくなっていた。帰り道、哲朗と須貝はもう一人のマネージャーだった日浦美月を見かける。驚いたことに、LGBTの美月は現在は男として生きていると告げる。さらに「人を殺したんだ」と告白する。バーテンとして働いていたバーのホステスの執拗なストーカーを殺してしまったという。哲朗と理沙子は美月を警察に行かせないと決意する。翌日、須貝は去り、美月と付き合っていたアメフト部の中尾功輔が哲朗を訪ねてくる。

 LGBTの問題が壁を作る中で、事件の真相を求めてもがく哲朗。30代半ばを過ぎ、多くの問題を抱えながらかっての仲間は哲朗と再びフォーメーションを組む。

 美月、哲朗、理沙子、中尾はどう決断したのか。背景にある片想いとは。

 

 吉野仁氏の解説によれば、東野氏に「青春の残像を残した三十代半ばの男女をストーリーの主役にしよう」と本作の構想がひらめいたのはSMAPの「夜空ノムコウ」を聞いたときだという。

 すぐに「元アメフト部」が浮かび、LGBTはその先だろうという。

 

 初出は「週刊文春」1999年8月26日号~2001年3月30日号。単行本は2001年3月文藝春秋より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 謎解きとしてはそれほどのことはないが、LGBTの問題と、かってのアメフト部の仲間の動きを絡ませて語っていき、大部な本をどんどん読み進めさせる力がある。

 

 2000年当時にLGBTの問題を、真正面から取り上げたのは先見性があったと思う。LGBTで各人の秘密が深くなり、話が複雑となる。とくにトランスジェンダーの〇〇は誰が好きなのか訳が分からない。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

 

登場人物(ネタバレにつながります)

 

西脇哲朗:帝都大アメフト部のQB。

西脇理沙子:哲朗の妻。カメラマン。帝都大アメフト部のマネージャー。

日浦美月:帝都大アメフト部のマネージャー。神崎ミツル名で「猫目」のバーテンをしていた。

早田幸広:昭和新聞社のフリーランス記者。帝都大アメフト部の名タイトエンド。

須貝:損保勤務。帝都大アメフト部のエース・キッカー。

高城功輔:旧姓中尾。かって美月と付き合っていた。帝都大アメフト部の俊足ランニングバック。

高城律子:功輔の妻。

安西:帝都大アメフト部

松崎:帝都大アメフト部

 

佐伯香里::通称カオリ、「猫目」のホステス。本名は佐伯カオルor立石卓(すぐる)

野末真希子:バー「猫目」のママ

向井宏美:バー「猫目」のホステス

戸倉明雄:カオリのストーカー。美月に殺害される。門松鉄工所専務。

戸倉泰子:戸倉明雄の妻だが別居。息子は将太。

戸倉佳枝:戸倉明雄の母。

 

有坂文雄:陸上部コーチ。

中原:陸上部チームドクター。大学助教授。

末永睦美:第一高校の陸上選手。戸籍上は女性。真性半陰陽。

 

広川幸夫:日浦美月の別居している夫。地元信用金庫の支店長代理。息子は悠里。

 

相川冬紀:その種の店「BLOO」(ブルー)の経営者?

嵯峨正道:劇団「金童」主宰

 

 

望月:警視庁の刑事

 

 

 

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