hiyamizu's blog

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山崎ナオコーラ『母ではなくて、親になる』を読む

2018年01月12日 | 読書2

 

 

山崎ナオコーラ著『母ではなくて、親になる』(2017年6月30日河出書房新社発行)を読んだ。

 

2012年に書店員男性と結婚し、2016年に37歳で第一子を出産したナオコーラさんの1年間の育児エッセイ。

本書発行時のインタビューでナオコーラさんはこう語っている。

「『素敵な母親イメージ』に向かって努力することでキラキラできる人と、そのイメージを負担に感じてしまう人と、両方いると思うんです。キラキラできる人は、母親イメージを大事にする方が絶対に良いと思うんですが、暗い気持ちになる人は、いったん『母親』という言葉を忘れて、『ただの親でいい。愛情と責任があれば十分』と考えてみるのもオススメです」(「ハピママ」)

 

 

表紙や目次などに挿入されているヨシタケシンスケ氏のイラストがカワユイ。

 

新生児:生まれてから一ヶ月までの赤ん坊

乳児:満一歳に満たない赤ん坊、 幼児:満一歳から小学校就学まで(児童福祉法)

 

「私のところにいる赤ん坊」という表現をしている。「私の赤ん坊」とか「うちの赤ん坊」とは書かない。これも赤ん坊を親の所有物としてではなく、一個の人間として見るというこの作家の表明だろう。

 

 

初出:Web河出(2016年6月~2017年3月)、その他9篇は書下ろし

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 育児エッセイだが、著者の強いこだわり故に明快な主張がある。著者は、男女平等と考え、父親と母親の役割も社会的な常識を乗り越えようと行動している。ただ、そのこだわりが強く、主張が多少キツイので、「ウ?」となるところがある。

 

 なんどもなんども「夫は経済力も判断力もないが・・・」と繰り返すのが、気になる。著者は夫を対等に見ていることははっきり理解できるのだが、もうわかっているのに、たびたび繰り返し過ぎる。

 

 

山崎ナオコーラ
1978年9月15日福岡県北九州市生まれ、埼玉県育ち、東京都在住。本名山崎直子。
國學院大學文学部日本文学科卒業後、会社員。
2004年「人のセックスを笑うな」でデビューし、文藝賞を受賞、芥川賞候補。
2006年『浮世でランチ』で野間文芸新人賞候補
2008年『カツラ美容室別室』で芥川賞候補、『論理と感性は相反しない』で野間文芸新人賞候補
2009年「手」で芥川賞候補、『男と点と線』で野間文芸新人賞候補
2010年『この世は二人組ではできあがらない』で三島由紀夫賞候補

2011年『ニキの屈辱』で芥川賞候補

2013年『昼田とハッコウ』で野間文芸新人賞候補

2016年『美しい距離』で芥川賞候補、2017年島清恋愛文学賞受賞

その他、対談集『男友達を作ろう』、エッセイ集『指先からソーダ』『かわいい夫』

目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。

モットーは、「フェミニンな男性を肯定したい」。

 

 

 

コメント
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