原田ひ香著『老人ホテル』(2022年10月30日光文社発行)を読んだ。
埼玉県の大家族で育った日村天使(えんじぇる)は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子と知り合った。数年後、訳あり老人が長逗留する古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。天使は、投資家だという光子の指南で、生きるノウハウを学ぶことになるが……。
日村天使(えんじぇる)は、母・由子と父・正隆の7番目の末っ子だった。両親は30年以上生活保護の不正受給だけで暮らしていた。一家はTVの番組で紹介されて一時人気番組になる。
天使は高校を中退して大宮の「マヤカシ」というキャパクラで働いていた時、客として来ていたお婆さん・綾小路光子がこのビルの持ち主だと知った。彼女は「ここにいる若い子だって金持ちになれる。その方法を知っている」と言った。
天使は町で見かけた光子の後をつけ、古いビジネスホテルに入ったことを確認し、金持ちになる方法を聞き出そうとホテル・フロンの清掃係のバイトに応募する。
光子は部屋の掃除をすぐ上の先輩清掃係りの山田だけにやらせていて、山田が休みのときでも掃除は不要と天使は断られてしまい、天使はなかなか光子に近づけない。
ホテルの1階は老人の長期滞在者が宿泊。
104号室は大木利春、73歳。株式トレーダー。
105号室は今野寿文、80代。身体が自由にならない。
106号室は田原浩三、78歳。光子昔、競売物件を買って居住者を無理やり追い出したりぎりぎりの商売をしていて、お金のこととなると人が変わるという。
107号室は阿部幸子、84歳。いい家の出身で、元ライター。天使に取材して本を出そうとする。
108号室が綾小路光子、78歳。
本書は書下ろし。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
前半は、天使の一家のめちゃくちゃな生活ぶりで読ませ、中ほどは光子おばあさんの謎で引っ張る。後半は、光子が天使にひと財産作るための節約、貯蓄の方法をレクチャーする。
後半の話は当たり前と言えばその通りな、王道の話で、とくに感心する点はなかった。