一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大内九段の新橋解説会(第29期竜王戦第3局)(前編)

2016-11-09 23:39:12 | 将棋イベント
昨日8日は、東京・新橋で大内延介九段による竜王戦解説会があった。
私は若干仕事が立て込んでいたのだが、2~3時間残業をしたところで大勢に影響がないことが分かった。となれば、新橋に行く一手である。なにしろ、大内九段による穴熊戦の解説を拝聴するチャンスは、これが最初で最後なのだ。
私は5時に仕事を終えると、若干気が引けたが、新橋に向かったのだった。

今日はふつうに山手線に乗り、新橋に着いたのは5時48分だった。解説会は6時からだが、早めの夕食を摂るべきか、とも考え改札を抜けると、またも数々のブースが軒を連ねていた。また物産展をやってるのか!?
よく見たら古本市だった。これはいい。先日、ひょんなことから神田神保町の古本市に出くわしたが、じっくり見る時間がなかった。今日はその分も見て回りたい。
ブースはSL広場を埋め尽くしている。ニュー新橋ビルの前にも浸食していて、かなりの規模である。
私の目当ては将棋本、鉄道本、古典マンガ、アイドル写真集などである。が、帯に短しタスキに長しで、これといったものがない。マドンナメイト写真集があったが、小林ひとみのそれに1,000円の値札が付いていた。むかしは古本屋の店頭に3冊200円で売られていたものだ。こんなヴィンテージ価格を付けられたって困るわけで、見送るしかない。
解説場が見えるが、大内九段ら棋士の姿はなく、大盤の駒は初形のままだ。
鉄道ピクトリアルなど、鉄道雑誌のバックナバーがある。70年代モノなど垂涎だが、300円の値札はやはり高い。250円でどうかというところで、この辺り私はシビアである。
別のブースでは鉄道車窓の写真集があった。これは新古本で、定価1,500円+税が税込750円で売られていた。これはかなりお買い得だが、もう一声安くならないか?
もう6時を過ぎている。別のブースではペーパーバックのマンガがあった。石ノ森章太郎の女忍者マンガが100円で売られていたので、これは意を決して買った。対局は7時ごろに終わるだろうからその後でじっくり見ればいいが、これは今買っても損はないとフンだ。

解説場…前回と同じLA PiSTA新橋・会員制場外車券売場前に向かうと、大内九段、聞き手の藤森奈津子女流四段、駒操作の梶浦宏孝四段がすでに現れ、初手から並べているところだった。私は新橋解説を最初から見たことはなかったが、いきなり現局面を並べるものと思っていた。
大内九段は盤面右手で腰掛ける。「渡辺竜王の振り飛車は珍しいですね」
藤森女流四段「タイトル戦で相穴熊も珍しいですね」
大内九段「居飛車党が多いからかな?」
まずはみなが抱く感想である。続けて「6時から夕食休憩で…」と大内九段は言ったが、竜王戦は2日目の夕食休憩はなかった気がする。
大盤前は20人足らずの見物者か。前回よりは傘がない分見やすいが、意外に見物者は多くない。最前列の左と中央に女性がいる。ただの見物客とは思えぬが、名の通った棋客だろうか。
現在は丸山忠久九段が▲5五歩と突いたところまで(第1図)。この時点で丸山九段の残り時間は4分。これで終局まで乗りきれというのか。

大内九段は△4三銀を推奨する。いったん屈するが、△5二銀のあと△4六飛を狙う。△6五銀もなくはないが▲7七角でせっかくの馬を消される。ケンカになれば、先手は持ち時間の乏しさは関係なくなるので、じっくり指して先手に時間を使わせるのがよい、と大内九段の解説だ。
が、渡辺明竜王は△6五銀と出た。大内九段が怪訝な声をあげる。これは▲7七角△同馬▲同桂△5六銀▲6六飛△4六飛▲6五桂△7二金引▲5三桂成で、後手がおもしろくないと見られていた。
藤森女流四段「穴熊は先手が4枚、後手が3枚ですが、先手の方が固いですか?」
大内九段「同じようなものじゃないでしょうか」
しばらくして「でも、居飛車の人が振り飛車やるとぎこちないよね」
と言った。
そんなやりとりの間に、実戦は▲5三桂成までと進んだ。「これはけっこう相当ですよ」
こんな急所に成駒ができては、先手がおもしろく見える。とはいえ渡辺竜王もこの局面は想定内のはずで、それでも後手が指せると見ているのだろう。
指し手が入ってくる。「手がいっぱい入ってきて、見てる方は楽しいですね」と大内九段。
△5七角▲6九飛△4八飛成。
「渡辺さんの攻め方が納得しかねる」
と大内九段は首を傾げる。
藤森女流四段「穴熊の攻略法はどういうのがいいでしょうか」
大内九段「穴熊にはと金攻めですね」
これはいいことを聞いた。
局面。「こうなっちゃうと、丸山九段は時間はいらないかもしれない」
▲6四歩△同歩▲6三歩(第2図)。ついに▲6三歩が入った。

大内九段「仮に△1八竜だと、▲6二歩成△6五香。これを取っちゃう手もあります。▲6五同飛△同歩▲7二と△同金▲6四角(参考1図)。これはやられちゃうだろう。穴熊ペースだね。…両方穴熊だけれども」

解説場は明らかに先手持ちだ。「やっぱり△4三銀から△5二銀でよかった。…この将棋を渡辺さんが負けると、バカだなオレは。何で△4三銀と引かなかったんだろう、って後悔すると思いますよ」
解説場では、後手の指し手が出なかった。
(つづく)
コメント (2)
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