
第6図以下の指し手。▲6七銀△6九角▲7八香(第7図)
ここで渡辺明竜王は▲6七銀とと金を外した。対して丸山忠久九段の指し手がまたむずかしい。
大内延介九段「△3三角は▲5五桂と止められる。(渡辺竜王の)ハジがシロイ(広い)ですね」
本局は端が渡辺竜王の味方をしている。
丸山九段は△6九角と打った。渡辺竜王は▲7八香と打つ。貴重な持ち駒を一枚使うのも痛い。形勢は私も先手がいいと思うが、よく分からなかった。

第7図以下の指し手。△6六金▲2四桂△同歩▲6六銀(投了図)
まで、渡辺竜王の勝ち。
丸山九段△6六金。
「ロクロクキン?」
大内九段が怪訝な声をあげる。「一目取るね…。これはなんだろ。形作り?…のような手だねえ」
大内九段、妙な金の真意を図りかねているふうだ。「暴挙に出たねえ。……しかし▲6六同銀は△6七角が面倒か?」
調べてみると、けっこうむずかしい。こんな金にも狙いがあるから、プロの将棋は恐ろしいのだ。「なるほど▲同銀と取ると△6七角がうるさいか」
大内九段がハッキリと結論づけた。
ただ、△6六金は詰めろではない。ここで丸山陣に迫ればよい。
「これは渡辺竜王、逃さないでしょう」
大内九段は▲2四歩△同歩▲2三歩を推奨している。歩を渡すだけだから問題ないというわけだ。残り時間は渡辺竜王8分、丸山九段1分。
渡辺竜王は▲2四桂と放った。桂を渡すだけに大内九段も首を傾げたが、本譜は△同歩▲6六銀と進んで、これが詰めろだ。
大内九段「しかし…」
藤森奈津子女流四段「投了されました」
「あ、投了した」
大盤ではまだ一山ありそうな雰囲気だっただけに、急転直下の感さえあった。しかし冷静に見れば、先手必勝は疑いない。
「まあ寄せ方の問題ですね」
渡辺竜王は歩より桂を渡す方が、危険が少ないと判断したのだ。

「これで2勝2敗、七番勝負が三番勝負になりました」
と大内九段。
どっちが竜王を獲っても味がわるい七番勝負だが、外野の思惑に関係なく内容は白熱しており、将棋ファンには堪えられない展開だ。残り3局から目が離せない。
今日もとても勉強になった。大内九段、藤森女流四段、梶浦宏孝四段、スタッフの皆様に御礼を申し上げます。
前方を見ると、観客の後ろ姿に見覚えがある。…やはりOk氏だった。
観客は数百十人しかいないのに、知り合いが3人…。まったく…将棋バカとしか言いようがない
Kaz氏だけだったら彼を無視して帰宅するところだが、3人揃うとそうもいかない。どこか寄りましょうか、という話になった。
一刻も早く飲みたいのはOk氏だが、Kaz氏は将棋が指したいらしい。私はとりあえず食事がしたい。
だがKaz氏のオススメで、近くに将棋が指せる食事処があるとのこと。それで、そこに向かうことにした。