「▲2八玉では▲2七玉がいいでしょう」
とここは私が教え、これで私の勝ちが遠のいた。
大野八一雄七段が戻ってきて、私たちがまだ指していることに驚く。
「なんでこんな展開になっちゃったんです?」
「桂捨てから迫って…。いろいろ手はあるんです」
しかしこの局面はもうダメで、私がウンウン考えていると、「そこまで粘ることはないでしょう、と苦笑された。
最後は詰まされて私の負け。とはいえ大野七段は懐疑的で、こんな展開になるはずがない、といぶかしむ。大野七段を交えて初手から感想戦が始まったが、私が右金を繰りだして力強い受けをするものだから、大野七段も「おかしいなあ…」とつぶやき手を止める。もはや一公VS大野戦だ。
ややあって大野七段が▲7五歩~▲2六飛と左翼に転回する手を見せ、私が△8五歩とそれを避けると、▲1六飛と虎の子の歩を取ってしまった。これで上手がダメである。
ただしこの手順を女性が習得したかどうかは疑問で、このぶんなら、まだ五枚落ちで誤魔化せそうだ。
4局目はOg氏に教えていただく。私の先手で、▲7六歩△3四歩▲9六歩。これにOg氏は深読みして△4四歩だが、私の▲2六歩に頓狂な声を挙げた。「相振り飛車を予想していたのに…」。
私は対抗形が指したくて、上手の態度を聞いていたのだ。
ともあれOg氏の四間飛車に、私の居飛車に落ち着いた。私は急戦を採る。Og氏の左金が決まってから▲4六歩か▲4六銀か決めようとしたのだが、うっかり▲4六銀と出てしまう。対してOg氏は大山流の△3二金。この守りが少しく厄介で、私は▲4六銀を後悔した。
そしてこの動揺が後の疑問手を引き起こす。第1図から▲3五歩△4五歩▲3三角成△同桂▲5七銀引としたが、これが大悪手。Og氏に△4四角▲6六歩△3五角(第2図)と歩得され、大きく形勢を損ねた。
△4四角では△3五歩と読み、それは▲5三角で下手よし、と考えていたのだから話にならない。
Og氏は「持ち角と歩得か」と冑の緒を締めていたが、私としては、もうダメである。私の▲5七銀では当然▲3四歩△同銀の交換を入れるべきだった。
その後私は屈伏に屈伏を重ねたのだが、中盤、Og氏は△1六歩▲同歩△1八歩(第3図)。
これを▲同香は△1七歩▲同香△同角成▲同桂△3七飛成で下手崩壊。よって▲3五歩と打ったのだがこれが大失着。以下△3五同角▲3六歩△6八角成▲同金△1九歩成と二枚換えされ、大勢決した。
この△1九とは△2九と▲同飛となり、数手後△4五桂~△3七桂打から、この飛車も取られてしまった。
最後は形も作れず負け。私は感想戦で真っ先に、△1八歩に▲同飛を挙げた。以下△2五桂は▲4八銀。もうここまでくれば屈伏ついでで、これでまた来る春を楽しみにするのだった。
最近はOg氏に緩めてもらっていたが、本局は本気を出された。
Kaz氏が「負けました」と言った。Hon戦が終わったようで、Kaz氏の投了。これは番狂わせが起こった。いやHon氏も強く、私も1日に三番、棒に負かされたことがあるのだが、腰の思いKaz氏には相性がわるいと思っていたのだ。
投了図を見ると、Kaz氏が見落としをしたふうでもない。ふつうに負けた感じで、これはHon氏、殊勲の銀星だ。
ちょろっと終盤の感想戦を見たが、Kaz氏が金と銀を取り合ったのがマズかったらしい。Hon氏の金を取りながらの△3六歩、が大きく、後に△3七歩成の踏み込みが利いた。
Kaz氏は相当落胆したが、将棋の勝ち負けはそれほど重要なことではない。Kaz氏は立派な職に就いているし、嘆くことはないのである。
和室では、大野七段が「すごいねえ」を連発している。女性が、宿題に出した「プロの記譜を丸暗記」してきたらしい。
今日はこれにて終わり。食事は近くの定食屋に行った。ではここで、席の配置を記しておこう。
S Hon Og Kaz
□ □ 壁
女性 大野 W 一公
私は鉄火丼と天ぷらのセット。美味しくいただき、おしゃべり。支部対抗戦はチーム編成の変更があり、私はKaz氏と同じチームとなった。
場所を移してゆんたくとなるが、ここでHon氏は帳簿付けがあるとかで、S君とともにお別れ。働く男は輝いている。
モスバーガーに入り、他愛もない話が続く。小一時間おしゃべりしたが、ここで女性が退席。しかし私たちはまだ残り、「▲5八金、▲6九金」の形で、6九の金が6八に上がった時、どう表記するか、と議論を始めた。私は「▲6八金直」もしくは「▲6八金上」と主張したが、「▲6八金左」なる意見も出てきて、結論は出なかった。
私は4日現在、面接待ちが2社あるのだが、ともに望み薄っぽい。聞くところによると、知己の棋友?が私との仕事を望んでいるらしく、それはとてもありがたいのだが、私はここまできたらもう少し、やりたい仕事を探してみたい。
とここは私が教え、これで私の勝ちが遠のいた。
大野八一雄七段が戻ってきて、私たちがまだ指していることに驚く。
「なんでこんな展開になっちゃったんです?」
「桂捨てから迫って…。いろいろ手はあるんです」
しかしこの局面はもうダメで、私がウンウン考えていると、「そこまで粘ることはないでしょう、と苦笑された。
最後は詰まされて私の負け。とはいえ大野七段は懐疑的で、こんな展開になるはずがない、といぶかしむ。大野七段を交えて初手から感想戦が始まったが、私が右金を繰りだして力強い受けをするものだから、大野七段も「おかしいなあ…」とつぶやき手を止める。もはや一公VS大野戦だ。
ややあって大野七段が▲7五歩~▲2六飛と左翼に転回する手を見せ、私が△8五歩とそれを避けると、▲1六飛と虎の子の歩を取ってしまった。これで上手がダメである。
ただしこの手順を女性が習得したかどうかは疑問で、このぶんなら、まだ五枚落ちで誤魔化せそうだ。
4局目はOg氏に教えていただく。私の先手で、▲7六歩△3四歩▲9六歩。これにOg氏は深読みして△4四歩だが、私の▲2六歩に頓狂な声を挙げた。「相振り飛車を予想していたのに…」。
私は対抗形が指したくて、上手の態度を聞いていたのだ。
ともあれOg氏の四間飛車に、私の居飛車に落ち着いた。私は急戦を採る。Og氏の左金が決まってから▲4六歩か▲4六銀か決めようとしたのだが、うっかり▲4六銀と出てしまう。対してOg氏は大山流の△3二金。この守りが少しく厄介で、私は▲4六銀を後悔した。
そしてこの動揺が後の疑問手を引き起こす。第1図から▲3五歩△4五歩▲3三角成△同桂▲5七銀引としたが、これが大悪手。Og氏に△4四角▲6六歩△3五角(第2図)と歩得され、大きく形勢を損ねた。
△4四角では△3五歩と読み、それは▲5三角で下手よし、と考えていたのだから話にならない。
Og氏は「持ち角と歩得か」と冑の緒を締めていたが、私としては、もうダメである。私の▲5七銀では当然▲3四歩△同銀の交換を入れるべきだった。
その後私は屈伏に屈伏を重ねたのだが、中盤、Og氏は△1六歩▲同歩△1八歩(第3図)。
これを▲同香は△1七歩▲同香△同角成▲同桂△3七飛成で下手崩壊。よって▲3五歩と打ったのだがこれが大失着。以下△3五同角▲3六歩△6八角成▲同金△1九歩成と二枚換えされ、大勢決した。
この△1九とは△2九と▲同飛となり、数手後△4五桂~△3七桂打から、この飛車も取られてしまった。
最後は形も作れず負け。私は感想戦で真っ先に、△1八歩に▲同飛を挙げた。以下△2五桂は▲4八銀。もうここまでくれば屈伏ついでで、これでまた来る春を楽しみにするのだった。
最近はOg氏に緩めてもらっていたが、本局は本気を出された。
Kaz氏が「負けました」と言った。Hon戦が終わったようで、Kaz氏の投了。これは番狂わせが起こった。いやHon氏も強く、私も1日に三番、棒に負かされたことがあるのだが、腰の思いKaz氏には相性がわるいと思っていたのだ。
投了図を見ると、Kaz氏が見落としをしたふうでもない。ふつうに負けた感じで、これはHon氏、殊勲の銀星だ。
ちょろっと終盤の感想戦を見たが、Kaz氏が金と銀を取り合ったのがマズかったらしい。Hon氏の金を取りながらの△3六歩、が大きく、後に△3七歩成の踏み込みが利いた。
Kaz氏は相当落胆したが、将棋の勝ち負けはそれほど重要なことではない。Kaz氏は立派な職に就いているし、嘆くことはないのである。
和室では、大野七段が「すごいねえ」を連発している。女性が、宿題に出した「プロの記譜を丸暗記」してきたらしい。
今日はこれにて終わり。食事は近くの定食屋に行った。ではここで、席の配置を記しておこう。
S Hon Og Kaz
□ □ 壁
女性 大野 W 一公
私は鉄火丼と天ぷらのセット。美味しくいただき、おしゃべり。支部対抗戦はチーム編成の変更があり、私はKaz氏と同じチームとなった。
場所を移してゆんたくとなるが、ここでHon氏は帳簿付けがあるとかで、S君とともにお別れ。働く男は輝いている。
モスバーガーに入り、他愛もない話が続く。小一時間おしゃべりしたが、ここで女性が退席。しかし私たちはまだ残り、「▲5八金、▲6九金」の形で、6九の金が6八に上がった時、どう表記するか、と議論を始めた。私は「▲6八金直」もしくは「▲6八金上」と主張したが、「▲6八金左」なる意見も出てきて、結論は出なかった。
私は4日現在、面接待ちが2社あるのだが、ともに望み薄っぽい。聞くところによると、知己の棋友?が私との仕事を望んでいるらしく、それはとてもありがたいのだが、私はここまできたらもう少し、やりたい仕事を探してみたい。