ボックス型の座席は通常4人掛けだが、これは車両の片方が、向かい合わせ2人掛けのハーフサイズだった。
これは乗車人数を増やすためままあるレイアウトだが、札沼線では初見である。
私は2人掛けの席に座り、とりあえず席を確保した。
もう3連休に入っているがボックス席はすべて埋まらず、次の石狩当別止まりの列車が到着しても、2つ3つ空きが出た。
乗客のほとんどはどう見ても鉄道ファンで、この札沼線の乗車が目的なのは明らかだ。
07時45分、発車。札沼線は右に国道275線が並走し、車窓からの眺めはおもしろくない。しかし路線が存続していることだけでも、感謝しなければならない。
私の前にはおっちゃんが座っているが、忙しなく席を離れ、車窓の撮影に忙しい。札沼線にはつきものの、コアな鉄道ファンだ。
08時17分、石狩月形着。ここで23分の待ち合わせ。昨年は雪が少なかったが、今年は多い。
しばし車両を撮って、運転士さんに今年の雪の状況を聞くと、「私はこの路線に初めて配属されたので、(例年との比較は)分かりません」とのことだった。
▲2016年
▲2017年
▲2018年
上り列車が入線し、08時40分、発車。
次の駅は豊ヶ岡。ここは昨年11月17日のテレビ東京「所さんのそこんトコロ!」の1コーナー「あなたはナゼこの秘境駅に来たんですか?」で、安田大サーカスの安田団長が、駅の利用者を探していた。
09時06分、浦臼着。ここまでは1日に往復6本あるが、ここから先、終着までは1日に1本という、浮世離れしたダイヤとなる。
札沼線は広い大地を淡々と走る。とくにスピードを出すわけでもなく、悟りの境地のような走りだ。
終点新十津川は昨年、近所のちびっこ諸君がお手製のポストカードをくれたが、今年はどんな歓迎をしてくれるだろう。
09時28分、新十津川着。列車から降りると、駅舎は雪に覆われて大変なことになっていた。
それと、今年はちびっこの歓迎がなかった。
代わりに地元のおっちゃんが、帽子をかぶった柴犬を抱えていた。いまよくある、動物の駅長さんというやつか。
▲2016年
▲2017年
▲2018年
駅舎に入ると、沿線の写真やら記事やらがいろいろ貼られ、また一段と賑やかになっていた。
私が札沼線に乗り始めたころは、駅舎は何の装飾もない殺風景なものだったから、感慨を覚える。ちなみに駅長さんの名前は「LALA」というらしい。末永く活動してほしい。
始発にして最終の上り列車を見送り、私は滝川行きのバス停に向かう。駅舎での案内は、例年のコンビニ前からの発車に加え、新十津川役場内からのバス路線も追加されていた。こちらが前者より6分早く出るので、当然こちらを利用する。
札沼線の数人もこのバスに乗り、09時50分発車。
ところがこのバスは滝川にまっすぐ向かわず、あちこちの団地を経由する。
結局時間を食ってしまい、終点滝川バスターミナルには、10時10分過ぎに着いた。
次に向かうは深川で、私は例年バスを利用しているのだが、今年はどうするか。
深川までのバス代は660円かかるのだが、JRならば450円で済む。ところがこの時間は特急しか走っておらず、別に自由席特急券310円が要る。この出費が我慢ならず私はバスを利用していたのだが、特急なら10数分で深川に着き、この高速性も魅力だ。
私は瀕死のJR北海道を応援しているので、今回は列車利用とした。
10時22分の特急「スーパーカムイ9号」に乗る。デッキに立っていると車掌が通ったが、検札はなかった。むろん私は特急券を買っているが、もし買っていなかったらどうなるのだろう。
10時35分、深川着。さすがに特急は早かった。
次に乗るべきは11時35分のJRバス深名線である。説明するまでもないが、1995年に廃止されたJR深名線の、代替バスである。今年は朱鞠内あたりにドカ雪が降ったそうで、雪景色が楽しみである。
その待ち時間に地元の雪まつりを見たいが、深川のそれは先週終わってしまった。ちなみに滝川のそれは、17日からの開催だった。
私は近くの喫茶店に入った。深川での待ち時間に時々利用するところだ。
店内は、ドア近くのテーブルが撤去され、本棚が置かれていた。
店は実年夫婦が経営していたが、今日は若い女性が務めていた。私が、レイアウトが変わったことを言うと、女性は意外そうに「はい」と言った。
「どちらからいらしたんですか?」
「東京です。冬の北海道には毎年来てまして、この店にも何度かお邪魔しています」
「ああ!」
この展開になればこっちのものである。口下手な私だけど、いろいろしゃべってしまった。
コーヒーは香り高く、美味かった。
喫茶店の2つ隣りは「Tanta Anna」というベーカリーで、見た記憶がない。つい入店して、菓子パンを3つ買ってしまった。
菓子パンとくれば牛乳である。深川駅に物産館があり、そこに入ったが牛乳はなし。代わりにそば粉を買ってしまった。どうもこのあたり、財布のヒモが緩んでいる。
バスは数名の乗車だった。乗車時、私の前の女性が回数券を買う。私は2冊買った(2,000円)。これは今日中に使い切るので、単純に200円の得となる。
観光客は私ひとりで、前日の函館山の人混みがウソのようだ。しかし北海道の冬、雪景色を堪能するなら、こうした秘境路線がいちばんである。
中型バスは街中から山道に入り、辺りは雪一色になった。私は例によってうつらうつらする。
途中でひとり降りたが、乗車はいない。私はまたうとうとし、目を覚ますと、バスはトンネルに入っていた。すぐ前にオレンジ色のクルマ?が走っている。しかしバスはスピードを落とさない。
「ああああ!!!!!」
私は叫んだ。
(22日につづく)
これは乗車人数を増やすためままあるレイアウトだが、札沼線では初見である。
私は2人掛けの席に座り、とりあえず席を確保した。
もう3連休に入っているがボックス席はすべて埋まらず、次の石狩当別止まりの列車が到着しても、2つ3つ空きが出た。
乗客のほとんどはどう見ても鉄道ファンで、この札沼線の乗車が目的なのは明らかだ。
07時45分、発車。札沼線は右に国道275線が並走し、車窓からの眺めはおもしろくない。しかし路線が存続していることだけでも、感謝しなければならない。
私の前にはおっちゃんが座っているが、忙しなく席を離れ、車窓の撮影に忙しい。札沼線にはつきものの、コアな鉄道ファンだ。
08時17分、石狩月形着。ここで23分の待ち合わせ。昨年は雪が少なかったが、今年は多い。
しばし車両を撮って、運転士さんに今年の雪の状況を聞くと、「私はこの路線に初めて配属されたので、(例年との比較は)分かりません」とのことだった。
▲2016年
▲2017年
▲2018年
上り列車が入線し、08時40分、発車。
次の駅は豊ヶ岡。ここは昨年11月17日のテレビ東京「所さんのそこんトコロ!」の1コーナー「あなたはナゼこの秘境駅に来たんですか?」で、安田大サーカスの安田団長が、駅の利用者を探していた。
09時06分、浦臼着。ここまでは1日に往復6本あるが、ここから先、終着までは1日に1本という、浮世離れしたダイヤとなる。
札沼線は広い大地を淡々と走る。とくにスピードを出すわけでもなく、悟りの境地のような走りだ。
終点新十津川は昨年、近所のちびっこ諸君がお手製のポストカードをくれたが、今年はどんな歓迎をしてくれるだろう。
09時28分、新十津川着。列車から降りると、駅舎は雪に覆われて大変なことになっていた。
それと、今年はちびっこの歓迎がなかった。
代わりに地元のおっちゃんが、帽子をかぶった柴犬を抱えていた。いまよくある、動物の駅長さんというやつか。
▲2016年
▲2017年
▲2018年
駅舎に入ると、沿線の写真やら記事やらがいろいろ貼られ、また一段と賑やかになっていた。
私が札沼線に乗り始めたころは、駅舎は何の装飾もない殺風景なものだったから、感慨を覚える。ちなみに駅長さんの名前は「LALA」というらしい。末永く活動してほしい。
始発にして最終の上り列車を見送り、私は滝川行きのバス停に向かう。駅舎での案内は、例年のコンビニ前からの発車に加え、新十津川役場内からのバス路線も追加されていた。こちらが前者より6分早く出るので、当然こちらを利用する。
札沼線の数人もこのバスに乗り、09時50分発車。
ところがこのバスは滝川にまっすぐ向かわず、あちこちの団地を経由する。
結局時間を食ってしまい、終点滝川バスターミナルには、10時10分過ぎに着いた。
次に向かうは深川で、私は例年バスを利用しているのだが、今年はどうするか。
深川までのバス代は660円かかるのだが、JRならば450円で済む。ところがこの時間は特急しか走っておらず、別に自由席特急券310円が要る。この出費が我慢ならず私はバスを利用していたのだが、特急なら10数分で深川に着き、この高速性も魅力だ。
私は瀕死のJR北海道を応援しているので、今回は列車利用とした。
10時22分の特急「スーパーカムイ9号」に乗る。デッキに立っていると車掌が通ったが、検札はなかった。むろん私は特急券を買っているが、もし買っていなかったらどうなるのだろう。
10時35分、深川着。さすがに特急は早かった。
次に乗るべきは11時35分のJRバス深名線である。説明するまでもないが、1995年に廃止されたJR深名線の、代替バスである。今年は朱鞠内あたりにドカ雪が降ったそうで、雪景色が楽しみである。
その待ち時間に地元の雪まつりを見たいが、深川のそれは先週終わってしまった。ちなみに滝川のそれは、17日からの開催だった。
私は近くの喫茶店に入った。深川での待ち時間に時々利用するところだ。
店内は、ドア近くのテーブルが撤去され、本棚が置かれていた。
店は実年夫婦が経営していたが、今日は若い女性が務めていた。私が、レイアウトが変わったことを言うと、女性は意外そうに「はい」と言った。
「どちらからいらしたんですか?」
「東京です。冬の北海道には毎年来てまして、この店にも何度かお邪魔しています」
「ああ!」
この展開になればこっちのものである。口下手な私だけど、いろいろしゃべってしまった。
コーヒーは香り高く、美味かった。
喫茶店の2つ隣りは「Tanta Anna」というベーカリーで、見た記憶がない。つい入店して、菓子パンを3つ買ってしまった。
菓子パンとくれば牛乳である。深川駅に物産館があり、そこに入ったが牛乳はなし。代わりにそば粉を買ってしまった。どうもこのあたり、財布のヒモが緩んでいる。
バスは数名の乗車だった。乗車時、私の前の女性が回数券を買う。私は2冊買った(2,000円)。これは今日中に使い切るので、単純に200円の得となる。
観光客は私ひとりで、前日の函館山の人混みがウソのようだ。しかし北海道の冬、雪景色を堪能するなら、こうした秘境路線がいちばんである。
中型バスは街中から山道に入り、辺りは雪一色になった。私は例によってうつらうつらする。
途中でひとり降りたが、乗車はいない。私はまたうとうとし、目を覚ますと、バスはトンネルに入っていた。すぐ前にオレンジ色のクルマ?が走っている。しかしバスはスピードを落とさない。
「ああああ!!!!!」
私は叫んだ。
(22日につづく)