今年度、渡部愛女流王位は里見香奈女流五冠から女流王位を奪取。その特典として男性棋戦にも出場し、好成績を収めている。しかし肝心の女流棋戦のほうがパッとしない。13日の女流名人戦リーグ最終戦は、勝てば残留だったが敗れ、まさかの陥落となってしまった。
ではここで、渡部女流王位の今年度の成績を記してみよう。なお勝敗の○●は、渡部女流王位から見たもの。カッコ内は持ち時間である。
■女流棋戦
4月6日 第26期倉敷藤花戦1回戦 ○中澤沙耶女流初段(2時間)
4月18日 第45期女流名人戦リーグ1回戦 ○甲斐智美女流五段(2時間)
5月2日 第45期女流名人戦リーグ2回戦 ●伊藤沙恵女流二段(2時間)
5月9日 第29期女流王位戦第1局 ○里見香奈女流王位(4時間)
5月12日 第8期女流王座戦一次予選決勝 ●伊奈川愛菓女流初段(40分)
5月15日 第26期倉敷藤花戦2回戦 ●藤井奈々女流3級(2時間)
5月22日 第29期女流王位戦第2局 ●里見香奈女流王位(4時間)
5月30日 第29期女流王位戦第3局 ○里見香奈女流王位(4時間)
6月7日 第45期女流名人戦リーグ4回戦 ●上田初美女流四段(2時間)
6月13日 第29期女流王位戦第4局 ○里見香奈女流王位(4時間)
7月4日 第45期女流名人戦リーグ3回戦 ●山根ことみ女流初段(2時間)
7月7日 第12期マイナビ女子オープン予選2回戦 ●里見咲紀女流初段(30分)
8月8日 第45期女流名人戦リーグ5回戦 ●香川愛生女流三段(2時間)
9月12日 第45期女流名人戦リーグ6回戦 ○相川晴香女流初段(2時間)
10月18日 第45期女流名人戦リーグ7回戦 ○中村真梨花女流三段(2時間)
11月2日 第45期女流名人戦リーグ8回戦 ●武富礼衣女流初段(2時間)
11月13日 第45期女流名人戦リーグ9回戦 ●谷口由紀女流二段(2時間)
(7勝10敗)
■男性棋戦
7月11日 第12回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ●石川陽生七段(40分)
8月24日 第67期王座戦一次予選1回戦 ○木下浩一七段(5時間)
9月7日 第27期銀河戦本戦1回戦 ●島本亮五段(15分)
9月25日 第60期王位戦予選1回戦 ○川上猛七段(4時間)
10月4日 第67期王座戦一次予選2回戦 ○泉正樹八段(5時間)
11月6日 第60期王位戦予選2回戦 ●近藤正和六段(4時間)
11月30日 第67期王座戦一次予選3回戦 門倉啓太五段(5時間)
(3勝3敗)
女流棋戦は7勝10敗。新年度のスタートはよかったが、5月12日に伊奈川女流初段に負けて、私たちは「アレッ?」となった。その後里見女流五冠との女流王位戦五番勝負を3勝1敗としたから、ほかの棋戦には若干関心が薄れたのだが、そちらは結局4勝9敗となった。しかも女流初段以下とは2勝5敗なのがマズイ。倉敷藤花戦は2局目、女流王座戦とマイナビ女子オープンは出ると負けで、夏以降は女流名人戦リーグしか残らなかった。奨励会三段格とは互角以上の成績を収めたのに、これじゃあべこべである。
なお、マイナビ女子オープンでもし里見女流初段に勝っていたら、次の決勝の相手は、礒谷真帆アマ(当時)だった。そして2人が対局して渡部女流王位が勝っていたら礒谷女流初段のプロデビューはなかったわけで、そう考えると感慨深いものがある。
いっぽう男性棋戦のほうは3勝3敗と健闘している。この理由を考えてみて、棋戦の持ち時間に思い当たった。
すなわち男女混合で持ち時間が2時間以下の場合は4勝11敗、4時間以上の場合は6勝2敗となり、長時間になるほど勝率が高いのだ。
これは長時間になるほど読みの量が蓄積され、ミスが少なくなるからだと思う。だがそうは言っても現実的に男性棋士は強いから、簡単に勝てるものではない。またタイトルホルダーとして、同じ女流棋士に簡単に負けてもいけない。
というわけでやっぱり、渡部女流王位のこの星が、いまひとつ理解できない。もうひとつ思うに、渡部女流王位は、相手の棋力のレベルに合わせてしまうのだろう。となると、渡部女流王位が私との指導対局で時々足をすくわれるのも、分かる気がするのだ。
ということなら、いつも男性棋士と戦うような特別な緊張感を持って臨めば、すべての棋戦でいい数字が残せると思うのだが、まあそれができれば苦労はないわけで、難しいところだ。
ではここで、渡部女流王位の今年度の成績を記してみよう。なお勝敗の○●は、渡部女流王位から見たもの。カッコ内は持ち時間である。
■女流棋戦
4月6日 第26期倉敷藤花戦1回戦 ○中澤沙耶女流初段(2時間)
4月18日 第45期女流名人戦リーグ1回戦 ○甲斐智美女流五段(2時間)
5月2日 第45期女流名人戦リーグ2回戦 ●伊藤沙恵女流二段(2時間)
5月9日 第29期女流王位戦第1局 ○里見香奈女流王位(4時間)
5月12日 第8期女流王座戦一次予選決勝 ●伊奈川愛菓女流初段(40分)
5月15日 第26期倉敷藤花戦2回戦 ●藤井奈々女流3級(2時間)
5月22日 第29期女流王位戦第2局 ●里見香奈女流王位(4時間)
5月30日 第29期女流王位戦第3局 ○里見香奈女流王位(4時間)
6月7日 第45期女流名人戦リーグ4回戦 ●上田初美女流四段(2時間)
6月13日 第29期女流王位戦第4局 ○里見香奈女流王位(4時間)
7月4日 第45期女流名人戦リーグ3回戦 ●山根ことみ女流初段(2時間)
7月7日 第12期マイナビ女子オープン予選2回戦 ●里見咲紀女流初段(30分)
8月8日 第45期女流名人戦リーグ5回戦 ●香川愛生女流三段(2時間)
9月12日 第45期女流名人戦リーグ6回戦 ○相川晴香女流初段(2時間)
10月18日 第45期女流名人戦リーグ7回戦 ○中村真梨花女流三段(2時間)
11月2日 第45期女流名人戦リーグ8回戦 ●武富礼衣女流初段(2時間)
11月13日 第45期女流名人戦リーグ9回戦 ●谷口由紀女流二段(2時間)
(7勝10敗)
■男性棋戦
7月11日 第12回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ●石川陽生七段(40分)
8月24日 第67期王座戦一次予選1回戦 ○木下浩一七段(5時間)
9月7日 第27期銀河戦本戦1回戦 ●島本亮五段(15分)
9月25日 第60期王位戦予選1回戦 ○川上猛七段(4時間)
10月4日 第67期王座戦一次予選2回戦 ○泉正樹八段(5時間)
11月6日 第60期王位戦予選2回戦 ●近藤正和六段(4時間)
11月30日 第67期王座戦一次予選3回戦 門倉啓太五段(5時間)
(3勝3敗)
女流棋戦は7勝10敗。新年度のスタートはよかったが、5月12日に伊奈川女流初段に負けて、私たちは「アレッ?」となった。その後里見女流五冠との女流王位戦五番勝負を3勝1敗としたから、ほかの棋戦には若干関心が薄れたのだが、そちらは結局4勝9敗となった。しかも女流初段以下とは2勝5敗なのがマズイ。倉敷藤花戦は2局目、女流王座戦とマイナビ女子オープンは出ると負けで、夏以降は女流名人戦リーグしか残らなかった。奨励会三段格とは互角以上の成績を収めたのに、これじゃあべこべである。
なお、マイナビ女子オープンでもし里見女流初段に勝っていたら、次の決勝の相手は、礒谷真帆アマ(当時)だった。そして2人が対局して渡部女流王位が勝っていたら礒谷女流初段のプロデビューはなかったわけで、そう考えると感慨深いものがある。
いっぽう男性棋戦のほうは3勝3敗と健闘している。この理由を考えてみて、棋戦の持ち時間に思い当たった。
すなわち男女混合で持ち時間が2時間以下の場合は4勝11敗、4時間以上の場合は6勝2敗となり、長時間になるほど勝率が高いのだ。
これは長時間になるほど読みの量が蓄積され、ミスが少なくなるからだと思う。だがそうは言っても現実的に男性棋士は強いから、簡単に勝てるものではない。またタイトルホルダーとして、同じ女流棋士に簡単に負けてもいけない。
というわけでやっぱり、渡部女流王位のこの星が、いまひとつ理解できない。もうひとつ思うに、渡部女流王位は、相手の棋力のレベルに合わせてしまうのだろう。となると、渡部女流王位が私との指導対局で時々足をすくわれるのも、分かる気がするのだ。
ということなら、いつも男性棋士と戦うような特別な緊張感を持って臨めば、すべての棋戦でいい数字が残せると思うのだが、まあそれができれば苦労はないわけで、難しいところだ。