一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

早い投了

2018-11-28 00:08:08 | 男性棋士
21日のA級順位戦・▲羽生善治竜王と△阿久津主税八段の一戦は、羽生竜王が2,000局目の公式戦対局だったという。史上7人目、もちろん最速で、32年11ヶ月での達成だった。この間の勝率は.709。勝率6割を越えれば一流と言われる世界で、この数字は驚異的である。これなら獲得タイトルも99期になるわけで、もう、並の棋士とは頭の構造が違うのだろう。
そんなわけかどうか、本局はニコ生とAbemaTVで中継があった。
羽生竜王はここまで3勝1敗と堅調だが、阿久津八段は0勝4敗。阿久津八段は4年前にA級昇級したが、その時は9戦全敗で降級している。すなわち現在A級13連敗で、A級の連敗記録を更新中である。だがこれでは、A級棋士でありながらA級棋士でない、不本意な立ち位置になってしまう。とにかく片目を開けたいところだが、対羽生竜王戦もここまで10戦全敗で、外野からはどこからどう見ても勝つ要素がないのであった。
私はチラチラAbemaTVを見ていたが、本局は阿久津八段もよく戦っていると思われた。
ところが夜戦に入り、羽生竜王が金得し、▲3四桂から▲1五歩と突いたところで、対局室の空気が弛緩した。すなわち阿久津八段が投了してしまったのである。

この時AbemaTVでは高見泰地叡王と佐々木大地四段が解説していたが、どうも要領を得ない。投了後の、後手玉への明確な寄せが見つからないのである。
NHK杯では、視聴者サービスで棋士が分かりやすい局面まで持っていって投了するが、なるほど通常の対局ではこんな感じなのか……とも思ったが、いやそれにしたって早すぎるだろこれ、という感じである。
この将棋、いつから均衡が崩れたのかは知らないが、長時間劣勢の局面を考えさせられて、しかも相手はヘビならぬハブである。どうせ本局も負けるのだろう、なんて考えがよぎったとしたら、投げたくなっても不思議ではない。
しかも聞くところによると、阿久津八段は投げっぷりのいい棋士らしい。その癖が順位戦でも出てしまったようだ。
そうはいっても投了の局面、もう一手△3九馬、くらいは指してもよかったのではないか?
その局面、私たちレベル同士の戦いなら、後手にも勝機は十分ある。羽生竜王も最後の寄せを考える時間を取り上げられ、クサッタかもしれない。
でも、相手が投了しちゃったんじゃしょうがない。閉店ガラガラである。
これで阿久津八段は今期も降級濃厚となったが、幸いまだ、1勝者が3名いる。そのうち2棋士とは直接対決があり、残留には一縷の望みがある。そもそも前期は6勝4敗で昇級したんだし、「今期はボーナスのA級」くらいに思えば、気分も軽くなるというものだ。初勝利もすぐ転がり込むに違いない。
コメント
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