一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

鈴木九段の新橋解説会(第31期竜王戦第3局)・1

2018-11-09 00:41:13 | 将棋イベント
1日と2日は、茨城県鹿嶋市「鹿島神宮」で第31期竜王戦第3局があった。現在羽生善治竜王の2勝0敗で、広瀬章人八段には背水の陣の一局である。
本局は2日目に東京・新橋で無料の解説会があった。私も向かう予定だったが、本局は前2局に比べ若干進行が早い。解説会は18時からだが、それまでに決着がついてしまったら味がわるい。だが杞憂に終わり、私は味良く新橋に向かうことができた。
新橋に着いたのは17時51分。腹ごしらえのため、駅前の「小諸そば」に入った。前回の疑惑のもりに閉口し、もう小諸そばはコリゴリだったのだが、早くも前言撤回である。
中はほぼ満席だったが、仕方ない。前回と同じ二枚もりを頼む。そして今回のもりはしっかり二枚分あった。これで当然という思いと、じゃあ前回のもりは何だったんだという思いが交錯したがそこはそれ、ちょうど席も空き、美味しくいただいた。
SL広場前に戻ると、SLの汽笛が鳴って、ちょうど18時。同時にスタッフが、解説会開会の宣言をした。今回の解説は鈴木大介九段と梶浦宏孝四段、聞き手は藤森奈津子女流四段だった。鈴木九段と梶浦四段は師弟関係にある。
「今日は大ニュースがあってビックリしました。羽生さんが紫綬褒章を受章されたんですね。昨年は佐藤(康光)会長と森内(俊之)専務が受賞されましたが、めでたいことです。でも対局中なのにインタビューを受けてましたね」
と鈴木九段。「雑談もいいんですが、現在局面が逼迫しているので、早速並べましょう」

▲竜王 羽生善治
△八段 広瀬章人

初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲7六歩△3二金▲7八金△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲3八銀△6二銀▲4六歩△4二玉▲4七銀△7四歩▲3六歩△3三銀(第1図)

本日の客の入りはまずまずである。私は立ち見の前から2~3列目に位置し、観戦するにはちょうどよかった。
羽生竜王の初手は▲2六歩。相掛かりに進むかと思いきや、広瀬八段は4手目△3二金。
「最近横歩取りの将棋が減っている気がします」
と鈴木九段が解説する。
△7七角成。「これで3局目の角換わりですか? ……お互い、金の位置をどこにやるかがポイントだと思います」
局面はどんどん進む。

第1図以下の指し手。▲6六歩△6四歩▲5八金△6三銀▲6八玉△7三桂▲5六銀△8一飛▲7九玉△6二金▲9六歩△8四歩▲1六歩△1四歩▲3七桂△5四銀▲4七金△3一玉▲4五歩△6五歩(第2図)

鈴木九段「(▲6六歩が)珍しい手でした。(△6四歩に▲5八金は)イメージ的には変化球ですね」
最近は▲4八金型をよく見るので、いまや▲5八金型が新鮮に見える。
31手目に▲9六歩と突いた。「端歩はふだんの対局より遅いかな。……先手が▲2五歩を早く突くのは雁木を警戒している場合があるんですが、本局は保留しています。
ところで梶浦君は角換わりの将棋はどのくらい指してるの?」
「公式戦では10何局です」
そんなものかと思うが、梶浦四段はデビューが2015年4月。まあいい数字であろう。
▲4七金~▲4五歩。「この形は珍しいと思います」と梶浦四段が続けた。
鈴木九段「△4四歩型なら▲4五歩に△同歩▲3五歩△4四銀という進行になりますが、広瀬さんは△6五歩。これも立派な手です」
対して次の手が思い切った手だった。

第2図以下の指し手。▲2五桂△2二銀▲6五歩△2四歩▲6四歩△2五歩▲同歩△7二桂▲3七角△8六歩▲同歩(第3図)

羽生竜王は▲2五桂と跳ねた。▲2五歩を保留した時からの狙い筋だが、歩の餌食になる可能性もある。△2二銀▲6五歩に、果たして広瀬八段は△2四歩。この桂を取られる間に、先手は一仕事しなければならない。
△7二桂には、「部分的にはある定跡です」と鈴木九段。鈴木九段は振り飛車のスペシャリストだが、さすがにプロで、どの戦型にも精通している。
「ここで▲3七角と打ったんですね。形は▲4六角と打ちたいんですよ。だけど5五で駒の交換になった時、アタリになるのを避けましたね。
そして△8六歩が封じ手でしたか?」
鈴木九段が藤森女流四段に確認し、続ける。「△8六歩では△9五歩を入れる手もあったと思います。だけどこれが封じ手の微妙なところで、それだと▲9五同歩以外の手も考えなくちゃならない。△8六歩なら先手の応手を▲8六同歩に限定できるので、1日考えられる、ということだと思います」
ここで次の一手が、鈴木九段には不評だった。

(つづく)
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