10月28日、社団戦最終日がやってきた。朝は8時過ぎに起き、手早く朝食を済ませ、出発。駅前からバスに乗った。
が、Suicaをタッチしても、リーダーが反応しない。運転手さんが「カードが違いますよ」と言う。私のそれはANAクレジットカードと併用なのでカードは合っているのだが、おかしい。でも、おととい和光市に行った際は、ちゃんと使えていた。
とりあえず後続の人に順番を譲り、最後にタッチしたが、やはりダメ。仕方ないから現金で払ったが、4円を損した上、席にも座れなかった。それはいいとしても、もしこのカードが何かのアクシデントで死んでいた場合、厄介なことになる。それでなくたって、これまでにもこのカードは何回も紛失して、いらぬ手数料を払っているのだ。どうも、クレジットカードと使用頻度の高いSuicaを併用するのに無理があるのかもしれない。
09時07分にバスを降りると、目の前が東京都立産業貿易センター台東館だ。しかし7階に行くと、フロアはまだ閑散としていた。
Kan氏がいたので、挨拶する。Kan氏は社団戦の事務も行っているので、忙しい。開始時間を聞くと、9時45分とのことだった。朝の貴重な時間に、早起きし過ぎたのは痛かった。
「今日は木村(晋介)会長は休み。(将棋古書店店主の)星野さんもいなかったね」
とKan氏。
木村会長、平日の落語会に何度も出席しているのに、休日の将棋大会に出られないとはどういうことだろう。
Taga氏がいたので、挨拶する。Taga氏は他チームの7部で戦っているが、昇級の目はないようだ。7部とはいえ、そこそこレベルは高いのだ。
Hon氏がいたので、挨拶する。Hon氏は今年も、監督業に専念したらしい。
近くにミスター中飛車氏の姿もあった。来るべき人が来ている感じだ。
Wパパにも会う。Wパパは今をときめく和田あき女流初段のご尊父である。和田女流初段の妹・Hanaちゃんも女流棋士になる可能性が高いが、それについては和田女流初段が、いいアドバイスを贈ったようだ。
Shin氏にも会う。Shin氏は社団戦の厳しさを体感しているようだ。
In氏とAkuさんの姿を見つけた。Akuさんは我がメンバーで、ちょっとホッとする。
気が付けば会場は選手でいっぱいになった。しかしメンバーはまだ揃っていない。というか、私がメンバーの顔を認識していない。
将棋ペンクラブの名前が放送され、私が対戦表を取りに行った。しかしゼッケンはどうなっているのか。
やがて見知ったメンバーが続々と揃った。その中にA氏の奥さんがいた。お会いするのは久しぶりだ。
「最近すっかりハゲが進行しちゃいまして」
「でも私は(そのハゲ、)キライじゃないですよ」
「……」
最近は私のハゲを否定する人がいなくなった。
まだA氏の姿がないが、何とA氏はゼッケンを洗濯せんがため、自宅に持ち帰っていたらしい。そのA氏は遅れて来るそうで、私たちはゼッケンなしで戦う羽目になった。しかし、それなら奥さんが持ってきてもよかったのではないか? この辺の事情はよく分からない。
「これじゃ星を失くしたドロンパだぜ」
この意味がAkuさんに分かったのか、彼女がクスッと笑った。
Kan氏が合流し、何とか7人揃った。もし私が休んでいたら、どうなっていたのだろう。
ともあれ対局である。将棋ペンクラブはここまで2勝10敗の15位。今日の3戦を全勝しても調整入りは確定していて、来年7部のリーグが増えれば、そちらに落ちる。
本日1回戦の相手は「楽将会21」。ゼッケンのないことを詫びると、相手が将棋ペンクラブの横顔を聞いてきた。それで私は活動内容を説明するが、あまりピンと来ていない。将棋ペンクラブ設立30年。一般の将棋ファンの認識はこの程度かと、悲しくなった。
もう10時も7分を過ぎているので、対局を始めることにする。私は大将である。以下、山本氏、阿部氏、藤宮氏、山野氏、Kan氏、Akuさん。振ってもらって、将棋ペンクラブの奇数先となった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀。
ウソ矢倉か雁木かよ……と、ここで私は▲5八金右と警戒する。だが△4三銀▲6八玉に、△3二飛と振られてアテが外れた。
その作戦なら私は相手に石田流を促し、▲4七銀~▲3八金~▲5六銀左とするのが得意形なのだが、すでにできない。これは困ったことになった。
と、ここで棋士の誰かがスピーチに立った。
「……あー、もう対局を始められたところもあるみたいですね」
こっちはもう、それどころではない。
私は二枚銀の形を組んだが、どう囲っていいものか、方針が見えない。相手は石田流から穴熊に組み、作戦にブレはないようだ。私は▲4八金と寄ったが、手損だ。
第1図以下の指し手。▲5五歩△4三銀▲5六銀直△7一金▲5七金右△6二金左▲6五歩△1二香▲6六角△5二銀▲8六歩△2五桂▲同飛△2四飛(第2図)
なお今回も、第1日目の時と同じ、LPSAの扇子を持ってきている。というか、あの時からセカンドバッグに入れっ放しだったのだ。
隣の将棋は、格調高い相矢倉。その向こうまで見る余裕はない。
思い切って▲5五歩と突いてみた。△同銀なら▲6五歩△5四歩▲5五角△同歩▲4三銀。そして△5二角▲3四銀成△同角の王手にどう受けるか。
……などと考えていると、楽将会氏は△4三銀と辛抱したので、私は▲5六銀直~▲5七金右。これは景色が変わったと思った。
私のほうは指したい手がいっぱいある。楽将会氏は怒って?△2五桂と跳ねてきた。自陣は堅陣の四枚穴熊。ケンカになればこっちのものということか。
私は▲同飛とありがたくいただき、△2四飛にも条件反射でこの飛車を触ったが、考え直した。
(つづく)
が、Suicaをタッチしても、リーダーが反応しない。運転手さんが「カードが違いますよ」と言う。私のそれはANAクレジットカードと併用なのでカードは合っているのだが、おかしい。でも、おととい和光市に行った際は、ちゃんと使えていた。
とりあえず後続の人に順番を譲り、最後にタッチしたが、やはりダメ。仕方ないから現金で払ったが、4円を損した上、席にも座れなかった。それはいいとしても、もしこのカードが何かのアクシデントで死んでいた場合、厄介なことになる。それでなくたって、これまでにもこのカードは何回も紛失して、いらぬ手数料を払っているのだ。どうも、クレジットカードと使用頻度の高いSuicaを併用するのに無理があるのかもしれない。
09時07分にバスを降りると、目の前が東京都立産業貿易センター台東館だ。しかし7階に行くと、フロアはまだ閑散としていた。
Kan氏がいたので、挨拶する。Kan氏は社団戦の事務も行っているので、忙しい。開始時間を聞くと、9時45分とのことだった。朝の貴重な時間に、早起きし過ぎたのは痛かった。
「今日は木村(晋介)会長は休み。(将棋古書店店主の)星野さんもいなかったね」
とKan氏。
木村会長、平日の落語会に何度も出席しているのに、休日の将棋大会に出られないとはどういうことだろう。
Taga氏がいたので、挨拶する。Taga氏は他チームの7部で戦っているが、昇級の目はないようだ。7部とはいえ、そこそこレベルは高いのだ。
Hon氏がいたので、挨拶する。Hon氏は今年も、監督業に専念したらしい。
近くにミスター中飛車氏の姿もあった。来るべき人が来ている感じだ。
Wパパにも会う。Wパパは今をときめく和田あき女流初段のご尊父である。和田女流初段の妹・Hanaちゃんも女流棋士になる可能性が高いが、それについては和田女流初段が、いいアドバイスを贈ったようだ。
Shin氏にも会う。Shin氏は社団戦の厳しさを体感しているようだ。
In氏とAkuさんの姿を見つけた。Akuさんは我がメンバーで、ちょっとホッとする。
気が付けば会場は選手でいっぱいになった。しかしメンバーはまだ揃っていない。というか、私がメンバーの顔を認識していない。
将棋ペンクラブの名前が放送され、私が対戦表を取りに行った。しかしゼッケンはどうなっているのか。
やがて見知ったメンバーが続々と揃った。その中にA氏の奥さんがいた。お会いするのは久しぶりだ。
「最近すっかりハゲが進行しちゃいまして」
「でも私は(そのハゲ、)キライじゃないですよ」
「……」
最近は私のハゲを否定する人がいなくなった。
まだA氏の姿がないが、何とA氏はゼッケンを洗濯せんがため、自宅に持ち帰っていたらしい。そのA氏は遅れて来るそうで、私たちはゼッケンなしで戦う羽目になった。しかし、それなら奥さんが持ってきてもよかったのではないか? この辺の事情はよく分からない。
「これじゃ星を失くしたドロンパだぜ」
この意味がAkuさんに分かったのか、彼女がクスッと笑った。
Kan氏が合流し、何とか7人揃った。もし私が休んでいたら、どうなっていたのだろう。
ともあれ対局である。将棋ペンクラブはここまで2勝10敗の15位。今日の3戦を全勝しても調整入りは確定していて、来年7部のリーグが増えれば、そちらに落ちる。
本日1回戦の相手は「楽将会21」。ゼッケンのないことを詫びると、相手が将棋ペンクラブの横顔を聞いてきた。それで私は活動内容を説明するが、あまりピンと来ていない。将棋ペンクラブ設立30年。一般の将棋ファンの認識はこの程度かと、悲しくなった。
もう10時も7分を過ぎているので、対局を始めることにする。私は大将である。以下、山本氏、阿部氏、藤宮氏、山野氏、Kan氏、Akuさん。振ってもらって、将棋ペンクラブの奇数先となった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀。
ウソ矢倉か雁木かよ……と、ここで私は▲5八金右と警戒する。だが△4三銀▲6八玉に、△3二飛と振られてアテが外れた。
その作戦なら私は相手に石田流を促し、▲4七銀~▲3八金~▲5六銀左とするのが得意形なのだが、すでにできない。これは困ったことになった。
と、ここで棋士の誰かがスピーチに立った。
「……あー、もう対局を始められたところもあるみたいですね」
こっちはもう、それどころではない。
私は二枚銀の形を組んだが、どう囲っていいものか、方針が見えない。相手は石田流から穴熊に組み、作戦にブレはないようだ。私は▲4八金と寄ったが、手損だ。
第1図以下の指し手。▲5五歩△4三銀▲5六銀直△7一金▲5七金右△6二金左▲6五歩△1二香▲6六角△5二銀▲8六歩△2五桂▲同飛△2四飛(第2図)
なお今回も、第1日目の時と同じ、LPSAの扇子を持ってきている。というか、あの時からセカンドバッグに入れっ放しだったのだ。
隣の将棋は、格調高い相矢倉。その向こうまで見る余裕はない。
思い切って▲5五歩と突いてみた。△同銀なら▲6五歩△5四歩▲5五角△同歩▲4三銀。そして△5二角▲3四銀成△同角の王手にどう受けるか。
……などと考えていると、楽将会氏は△4三銀と辛抱したので、私は▲5六銀直~▲5七金右。これは景色が変わったと思った。
私のほうは指したい手がいっぱいある。楽将会氏は怒って?△2五桂と跳ねてきた。自陣は堅陣の四枚穴熊。ケンカになればこっちのものということか。
私は▲同飛とありがたくいただき、△2四飛にも条件反射でこの飛車を触ったが、考え直した。
(つづく)