一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第8期叡王戦第3局

2023-05-06 23:42:49 | 男性棋戦
6日、第8期叡王戦第3局が行われた。ここまで藤井聡太叡王、菅井竜也八段とも1勝1敗。藤井叡王はともかく、菅井八段は絶対に負けられない一戦である。
将棋は菅井八段の後手番で、三間飛車に振った。藤井叡王は角をひとつ上がり、穴熊を匂わせる。しかし香はまだ上がらない。菅井八段も美濃か穴熊かはっきりしない。
先に香を上がったのは菅井八段。それに呼応するように、藤井叡王も香を上がった。前局に続いての相穴熊である。私は穴熊が嫌いだが、本局に関してはちょっとうれしくなった。
なぜなら、固さよりバランスを重視する藤井叡王は、急戦を志向してもいいはずだ。
しかし本局は前局の雪辱を果たすべく、あえて同じ囲いにしたわけだ。むかしのタイトル戦は、たとえば相矢倉なら、その中でも同じ攻め方ばかりを指していた。繰り返すが、今回藤井竜王は「AI・藤井聡太」を封印し、「人間・藤井聡太」として、意地の穴熊を採用したわけだ。やはり勝負事はこうでなくては面白くない。
しかしこうなれば昭和・平成の将棋で、菅井八段に一日の長がある。事実角金交換の駒得を果たし、その角を使って香得もした。相手が藤井叡王でなかったら、たぶん菅井八段が勝つ。
だが相手は藤井叡王で、一筋縄でいかない。
藤井叡王も敵陣深くに角を打つ。この角の利きがなかなかで、菅井八段も容易ではない。
やがて藤井叡王が1分将棋になった。だが前局ほど持ち時間が離れておらず、それほどの不利感はない。
菅井八段はガリガリ攻めるが、ちょっと強引っぽい。
藤井叡王は攻められながらも敵陣にイヤミをつける。自陣も攻められているが、角の利きが通っているのが強みだ。
藤井叡王の手が敵陣に伸びる。清算したあと、歩の王手が一歩千金で、藤井叡王の勝ちが決まった。藤井叡王の寄せはいつもながら芸術的だ。
以下、163手まで藤井叡王の勝ちとなった。
藤井叡王は「一局を通して非常に難しい将棋」と振り返った。快勝しても謙虚な受け答えは藤井叡王の専売特許だが、本局はこれが本音だったと思う。
いっぽうの菅井八段は、「千日手の順を考えるべきだった」と述べた。
ここは難しいところで、相手が格下だと思えば、千日手にしたかもしれない。しかし相手が藤井叡王では指し直し局も難しい将棋になるのは必定で、それなら、勝ちがあるかもしれない現局面で雌雄を決したい、と考えたくなるのが人情だった。
さて、3局終わってカド番に追い込まれた菅井八段はもちろん苦しい。しかし2連勝なら
できないことはなさそうである。
第4局は28日、岩手県で行われる。
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