一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

渡部女流三段は、中井女流六段になぜ勝てない

2022-06-20 23:20:31 | 将棋雑記
17日に行われた第2期女流順位戦A級8回戦・中井広恵女流六段VS渡部愛女流三段戦は、中井女流六段の勝ち。中井女流六段は4勝4敗の五分に戻し、渡部女流三段は3勝5敗で、今期負け越しが決まった。
渡部女流三段は、中井女流六段には5月の倉敷藤花戦に続き、痛い敗戦となってしまった。
ここで両者の対戦成績を確認すると、日本将棋連盟の公式戦は2014年1月10日が初対局で、中井女流六段の勝ち。以下中井、中井、中井、渡部、中井、渡部、中井、中井で、中井女流六段7勝、渡部女流三段2勝である。渡部女流三段の初勝利は第29期女流王位戦リーグで、渡部女流三段はこの期に女流王位に就いたから価値があったのだが、それにしても負け過ぎだ。
たとえば渡部女流三段の対里見香奈女流四冠線は、女流王位戦での奪取を含む6勝9敗である。実力四段の里見女流四冠に勝率.400は誇っていい数字だろう。それでどうして中井女流六段に勝てないのか。
もともと渡部女流三段はアマチュア時代、振り飛車党だった。ところが、当時の師匠格だった中井女流六段(と植山悦行七段)に居飛車を勧められ、居飛車に転向した経緯がある。
これに対し私などは「渡部振り飛車」のほうに賛成で、のびのびと振り飛車を指してもらいたいと思っていた。
ふたりの対局で印象に残っているのは、2010年12月23日に指された、LPSA・1dayトーナメント「フランボワーズカップ」で、ここで渡部ツアー女子プロ(当時)は、中井女流六段を破って優勝した(このときの模様は、当ブログ2010年12月25日~27日の記事に詳しい)。
このときの渡部女流三段は「△8五飛戦法」で、これで渡部女流三段は女流棋界に入ってもやっていける、と私は確信したものだ。
渡部女流三段はその後正式に女流棋士と認められタイトルを獲ったから、居飛車転向は成功の部類に入る。しかし里見女流四冠が振り飛車で頑張っているのを見ると、渡部女流三段の振り飛車も見たかった気がするのである。
話を戻し、渡部女流三段が中井女流六段と対局すると、修業時代を思い出し、何となく指し手が委縮してしまうのではないか。また、中井女流六段が渡部女流三段の将棋を知り尽くしている、ということもあると思う。
渡部女流三段にいまさら振り飛車は勧めないが、渡部女流三段は相手が誰であっても考えすぎないで、リラックスして指すのがいいのではないか。
その方法だが、渡部女流三段が対局前日に、W氏や私と談笑するのが、最高のリラックス法になるのではないかと、本気で思っている。
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千倉真理さん、還暦おめでとう!!

2022-06-19 23:32:08 | プライベート
きょう6月19日は、文化放送「ミスDJリクエストパレード360」のパーソナリティ・千倉真理さんの還暦のお誕生日である。おめでとうございます!
真理さんは、1981年に始まった「ミスDJリクエストパレード」のDJのひとり。当時は女子大生ブームで、真理さんももちろん女子大生だった。
私は高校2年生のころから聴き始めた。当時はミスDJを聴きながら勉強するのがマイブームで、これで勉強した気になったものだ。だが、いつしか主客が転倒し、ミスDJを聴くために夜更かしした。成績は全然上がらなかった。
当時の放送は1985年に終了したが、2016年に復活。真理さんもDJとして復活し、現在に至る。現在はRadikoという便利なツールがあり、放送3回目から1回も欠かさず聴いている。
先日、番組で当時のミスDJの音源が再生されたのだが、真理さんの声がぶりっ子ぶりっ子していて、微苦笑を禁じ得なかった。
それに比べると、現在の真理さんの声はちょうどいい塩梅である。
むかしある女性が私に、「男性は歳を取っても魅力が増すけど、女性は容姿が衰えるだけ」と嘆いたことがある。しかし真理さんを見ていると(声を聴いていると)、そんな不安も雲散霧消する。女性だって、素的に歳を重ねることができるのだ。女流棋界でいえば、蛸島彰子女流六段などはその筆頭だろう。若いころより、現在のほうがはるかに魅力的である。
それにしても、女子大生だった真理さんが還暦とは……。これじゃあ私も歳を取るわけである。
ともあれ、人生の先輩に真理さんがいるのは頼もしい。これからの放送も楽しみにしています。
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第2期女流順位戦A級・B級8回戦の結果

2022-06-18 22:28:03 | 女流棋戦
17日は第2期順位戦A級・B級の8回戦が行われた。では、結果を記しておこう。
なお()内は8回戦の勝敗と最終9回戦の相手、<>は、最終可能順位である。

【A級】
◎優勝者は白玲に挑戦、降級2名
■7勝1敗
②里見香奈女流四冠(○鈴木→石本)<挑戦~2位>
■6勝2敗
④伊藤沙恵女流名人(○山根→加藤圭)<挑戦~2位>
■5勝3敗
⑥加藤桃子清麗(○甲斐→渡部)<3位~4位>
■4勝4敗
③加藤圭女流二段(●石本→伊藤)<3位~7位>
⑦中井広恵女流六段*(○渡部→鈴木)<4位~7位>
⑨甲斐智美女流五段(●加藤桃→山根)<4位~7位>
■3勝5敗
①渡部愛女流三段※(●中井→加藤桃)<4位~8位>
⑩山根ことみ女流二段(●伊藤→甲斐)<7位~10位>
■2勝6敗
⑤石本さくら女流二段(○加藤圭→里見)<8位~10位>
⑧鈴木環那女流三段(●里見→中井)<8位~10位>

里見女流四冠が鈴木女流三段に勝ち、最低でもプレーオフ進出になった。
伊藤女流名人も勝ち、白玲挑戦はこの2名に絞られた。
降級争いは、石本女流二段が加藤圭女流二段に勝ち、降級者は決まらなかった。
降級の可能性があるのは、鈴木女流三段、石本女流二段、山根女流二段。
最終戦は7月13日。

【B級】
◎昇級△2名、降級▲3名
■6勝2敗
②△中村真梨花女流三段(○香川→岩根)<1位~2位>
⑤△上田初美女流四段(○岩根→千葉)<1位~2位>
■5勝3敗
⑦北村桂香女流初段(○小高→武富)<3位~7位>
⑧塚田恵梨花女流初段(●武富→小高)<3位~7位>
■4勝4敗
①千葉涼子女流四段(○伊奈川→上田)<3位~7位>
④香川愛生女流四段(●中村→伊奈川)<3位~7位>
⑥岩根忍女流三段(●上田→中村)<3位~7位>
■3勝5敗
⑨▲武富礼衣女流初段(○塚田→北村)<8位~9位>
■2勝6敗
③▲伊奈川愛菓女流二段(●千葉→香川)<8位~9位>
■1勝7敗
⑩▲小高佐季子女流初段(●北村→塚田)<10位>

B級は、ラス前で昇降級者がすべて決まってしまった。
中村女流三段と上田女流四段が6勝目を挙げ、5勝者2名が上田女流四段より順位が下位のため、中村女流三段と上田女流四段のA級昇級が決まった。実力者のふたりが上がった感じだ。
降級者も、小高女流初段以下3名が決まってしまった。
武富女流初段は3勝を挙げているが、最終戦に勝って4勝としても、順位が悪く逆転できない。ここが順位戦の恐ろしいところである。
最終戦は文字通り順位戦となるが、勝つと負けるとでは順位が大きく変わるケースもあり、無駄な対局はない。「米長哲学」のようなケースは、ほとんどないのである。
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羽生九段、1500勝達成

2022-06-17 21:09:03 | 男性棋士
16日は第81期B級1組順位戦・羽生善治九段VS山崎隆之八段戦が行われ、羽生九段が勝ち、公式戦通算1500勝を達成した。羽生先生、おめでとうございます。
羽生九段の1500勝については、一部の将棋ファンがいまかいまかと待っていたが、ついにそのときが来たわけだ。
しかし羽生九段、この前まで1498勝だったはずだがそこはそれ、未放送分の勝利がひとつあったというわけだ。年度末の勝率や連勝など、某棋戦の未放送分(未公表分)には困惑させられる。
順位戦第81期は盤のマス目、B1も81に見えるが、羽生九段が達成するにふさわしい棋戦だったといえる。
ところで羽生九段はこの記録により、「特別将棋栄誉敢闘賞」という長ったらしい名前の賞を受賞することになった。この制定は2022年4月。要するに、羽生九段の記録達成に備え、日本将棋連盟が用意したというわけだ。
このルーツは「600勝達成」時に受賞する「将棋栄誉賞」である。
これは1984年に制定されたもので、日本将棋連盟の創立が1924年9月8日なのだが、創立60年記念行事の一環だったとされる。600勝とは、60年に10を掛けたもので、だから500勝ではなく600勝という、やや半端な数字なのだ。
ここまで公式戦で600勝を達成したのは、男性棋士54名、女流棋士2名である。
だが日本将棋連盟が公表している将棋栄誉賞受賞者は、57名である。これは、対局数が少なかった木村義雄十四世名人と、593勝で没した花村元司九段に贈呈したのと、中井広恵女流六段がフリーだったため、連盟の記録に載らなかったためである。つまり、56+2-1で、57名になるのだ。
ただ、2007年11月24日に通算598勝で亡くなった真部一男九段には贈呈されなかったので、現在は数字に厳しくなっている。
先ごろ引退した桐山清澄九段も1000勝まで「あと4」だったが、おまけはしないのである。でも、だからこそ尊いのだと思う(もっとも花村九段の時代は記録の不備があったので、7勝分は見込みとして加算したのかもしれない)。
このあとは800勝、1000勝、1200勝と表彰対象になるのだが、下記の通り、だんだん該当者が少なくなってくる。

600勝……将棋栄誉賞(57名)
800勝……将棋栄誉敢闘賞(25名)
1000勝……特別将棋栄誉賞(9名)
1200勝……将棋特別栄誉賞(5名)
1500勝……特別将棋栄誉敢闘賞(1名)

1200勝のあとは1400勝ではなく、1500勝が表彰対象なのだ。
さて、ここから羽生九段が何勝上乗せできるかだ。大山康晴十五世名人は1977年に54歳で1000勝を達成したあと、15年で433勝を上乗せした。
その伝でいくと羽生九段の2000勝達成も夢ではないが、ああそんな先のこと、考えるだけで頭がおかしくなる。羽生九段には1つでも多くの勝ちを上乗せしてもらいたい。
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藤井竜王と対局するには

2022-06-16 23:01:37 | 将棋雑記
現在産経新聞では、第93期棋聖戦決勝トーナメント1回戦・森内俊之九段VS山崎隆之八段戦が掲載中だ。今日は第3譜で、森内九段の「藤井棋聖と大きな舞台で戦いたい」という談話が紹介されている。
だが観戦記者の君島俊介氏は「相手が五冠なのでなかなか難しい」と結論づけた。
では、藤井竜王と対局するためには、どのくらい勝てばいいのだろうか。以前「羽生善治九段編」を書いた記憶があるので、今回はざっくり書いてみよう(非公式戦は除く)。

竜王戦……挑戦
A級順位戦……A級に昇級する
王位戦……挑戦
王座戦……一次予選(4~5勝)、二次予選(2~3勝)を抜け、運が良ければ挑戦者決定トーナメント1回戦で当たる。悪ければ挑戦者決定戦まで勝たなければならない。
棋王戦……予選で4~5勝し、挑戦者決定トーナメントに進出。運が良ければ1回戦で当たる。悪ければ4勝して、勝者組決勝で当たる。
叡王戦……挑戦
王将戦……挑戦
棋聖戦……挑戦
朝日杯将棋オープン戦……一次予選で3~4勝し、二次予選で2勝し、決勝トーナメントに進出。運が良ければ1回戦で当たる。悪ければ3勝して決勝戦で当たる。
銀河戦…予選を勝ち、8ブロックある本戦トーナメントに藤井竜王がいれば、決勝で当たる。そこで当たらなかったら、決勝トーナメントの1回戦~決勝戦で当たる。
NHK杯戦……予選で2~3連勝し、運が良ければ本戦トーナメントの2回戦で当たる。悪ければ決勝戦で当たる。
将棋日本シリーズ……タイトル保持者になるか、獲得賞金ランキング上位に入り、参加権を獲得する。運がよければ2回戦で当たる。

上位棋士ならトーナメント表ができた途端に藤井竜王と当たる可能性もあるが、下位棋士だと予選を勝ち抜いて本戦を勝ち抜いて……となかなか厳しい。しかも、当人が勝ち抜いても、藤井竜王が負ける可能性もある。
いずれにしても、いまや藤井竜王と対局することは、名誉なことなのだろう。
今期のA級棋士は、どんな思いで藤井竜王との対局に臨むのだろう。
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