一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

フリークラス棋士の残り時間

2023-02-23 23:37:27 | 将棋雑記
きのう、石川陽生七段の戦績を調べていてビックリしたのだが、フリークラスは10年間あると思っていたが、60歳の定年が先になる場合もあるのだった。
そこで、現在のフリークラス棋士の、「残された時間」を調べてみた。
なお、今回の対象は「C級2組から陥落した棋士」「編入試験棋士」であり、「転出」は含んでいない。

石川陽生七段(59)2015年4月1日→2023年3月31日
川上猛七段(50)2013年4月1日→2023年3月31日
上野裕和六段(45)2013年4月1日→2023年3月31日
伊奈祐介七段(47)2014年4月1日→2024年3月31日
増田裕司六段(52)2015年4月1日→2025年3月31日
藤原直哉七段(57)2017年4月1日→2026年3月31日
小倉久史八段(54)2017年4月1日→2027年3月31日
中田功八段(55)2022年4月1日→2028年3月31日
岡崎洋七段(55)2018年4月1日→2028年3月31日
渡辺正和五段(37)2019年4月1日→2029年3月31日
中座真七段(53)2021年4月1日→2030年3月31日
島本亮五段(42)2020年4月1日→2030年3月31日
折田翔吾五段(33)2020年4月1日→2030年3月31日
村田智弘七段(41)2021年4月1日→2031年3月31日
大平武洋六段(45)2021年4月1日→2031年3月31日
以上15名。これに小山怜央アマが、4月1日から加わる。

石川七段はじめ、当ブログで注目していた川上七段、かつて指導対局を受けたこともある上野六段が今年度末で引退(ただし、川上七段は竜王戦で4組なので、このまま4組をキープすれば、竜王戦には出場できる)。
フリークラスの棋士もタイトルホルダーに勝つことがあるから、実力はほんの紙一重。それでも片方は迫るタイムリミットに苦しむ。
将棋界はすべてにおいて潔いが、運不運は存在する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石川七段の順位戦復帰の目を考える

2023-02-22 23:23:12 | 目を考える
先月、ある読者からコメントをいただいた。それは、石川陽生(あきお)七段の今年度の成績が良く、フリークラス脱出を狙えるのではないか、というものだった。
では、石川七段の2022年度の成績を記してみよう。

5月10日 第94期棋聖戦一次予選1回戦 ●堀口一史座七段
6月3日 第35期竜王戦6組昇級者決定戦4回戦 ○松本佳介七段
6月29日 第8期叡王戦七段戦1回戦 ●西尾明七段
7月8日 第35期竜王戦6組昇級者決定戦5回戦 ○西田拓也五段
7月25日 第16回朝日杯一次予選1回戦 ○青野照市九段
7月25日 第16回朝日杯一次予選2回戦 ●門倉啓太五段
8月5日 第64期王位戦予選1回戦 ○堀口一史座七段
8月15日 第35期竜王戦6組昇級者決定戦6回戦 ●出口若武六段
8月22日 第31期銀河戦予選1回戦 ○岡崎洋七段
8月22日 第31期銀河戦予選決勝 ○高野秀行六段
9月6日 第64期王位戦予選2回戦 ●伊藤匠五段
10月20日 第71期王座戦一次予選1回戦 ○伊藤沙恵女流名人
11月3日 第31期銀河戦Aブロック1回戦 ○塚田泰明九段
11月3日 第31期銀河戦Aブロック2回戦 ●斎藤明日斗五段
11月15日 第71期王座戦一次予選2回戦 対戦 ●井出隼平五段
12月13日 第36期竜王戦ランキング戦6組2回戦 ○松本佳介七段
1月13日 第49期棋王戦予選1回戦 ○岡崎洋七段
1月18日 第73期王将戦一次予選1回戦 ○田中悠一五段
1月23日 第36期竜王戦ランキング戦6組3回戦 ○青野照市九段
2月14日 第73期王将戦一次予選2回戦 ●三枚堂達也七段
以上、12勝8敗。

年度初戦の、堀口七段戦に負けたのが痛い。堀口七段は、体力的に将棋を指すのがつらそうだが、ときどき往年の力を出す。石川七段は運がなかった。
まず、順位戦復帰条件「年度18勝12敗」には、あと6勝が要る。あと1ヶ月あまりで6勝はキツイが、今月はNHK杯の予選があった。それに石川七段が3連勝していたら、可能性がなくもない。
次に、「いい所取り30局以上で勝率.650・20勝10敗など」である。コメントでは、前年度の星も加算されていたが、前年度の終わりは「●●○○●●」なので、加算の意味はほとんどない。
むしろ、年度最初の8局を抜くと、11勝6敗となる。すると、今後13局を9勝4敗……が一例になるが、厳しいことは厳しい。
と思ったら、石川七段は来月5日に60歳の誕生日を迎えるのだった。フリークラス棋士は60歳が「定年」(「宣言」は同65歳)なので、もう今年度で雌雄を決するしかない。
ということは、「今年度18勝12敗」が絶対条件である。
仮にNHK杯予選を抜けたとして、さらに3連勝が必要。約束された対局は、

第36期竜王戦ランキング戦6組4回戦 神谷広志八段
第49期棋王戦予選2回戦 佐々木慎七段

である。ともに勝ったとして次の対局を、日本将棋連盟が3月中に用意してくれるだろうか。
いずれにしても、NHK杯の結果待ちである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きょう2月21日は、木村義雄十四世名人の生誕日

2023-02-21 23:12:36 | 男性棋士
きょう2月21日は、木村義雄十四世名人の生誕日。名人は1905年生まれだから、今年で生誕118年になる。
木村十四世名人の偉業はあらためて述べるまでもない。実力名人制初の永世名人であり、将棋界の礎を作った人物でもある。
木村十四世名人の実力はいかほどだったのか。大山康晴八段や升田幸三八段に名人戦で勝利しているから、やはり相当な強さだったと推測される。
文筆にも長けており、23歳のときには、駒落ち全集「将棋大観」を上梓。その定跡は現在でも広く指され、後年復刻もされた。文字通り、不朽の名著である。
ただ私の年齢でも、木村十四世名人の動く姿はほとんど見ていない。引退後は、朝日新聞社前での名人戦大盤解説が評判だったというが、私は当然見ていない。
テレビでは、早指し将棋選手権のある回で、解説者が大内延介八段(当時)だった。そのときなぜか木村十四世名人が別室にいて、大内八段に「解説がうまいね」と褒め、大内八段がとても恐縮していたのを憶えている。
このあたり、いまの若い将棋ファンが大山十五世名人の動く姿を見ていないのと、同じ感覚だろうか。
ところで私は、木村十四世名人の子孫の方にお目にかかったことがある。その方は目もとのあたりが十四世名人にそっくりで、気品が感じられた。
木村十四世名人は1986年、満81歳の盤寿の年の、11月17日に逝去。言うまでもなく、同日は「将棋の日」である。ヒトは原則的に、亡くなる日は選べない。それなのにこの命日は奇跡的で、将棋の神様がこの日を選んだとしか思えない。まさに将棋一代の人生であった。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

折田五段の成績はどうなっている・4

2023-02-20 23:24:13 | 男性棋士
昨年12月19日に、「折田五段の成績はどうなっている・3」を書いた。それから2ヶ月経ち、何局か対局があった。では、12月20日以降の成績を付加しよう。

5月19日 第94期棋聖戦一次予選1回戦 ○矢倉規広七段
5月19日 第94期棋聖戦一次予選2回戦 ●牧野光則六段
5月27日 第12期加古川青流戦2回戦 ○小山直希奨励会三段
6月23日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦4回戦 ○杉本和陽五段
7月7日 第8期叡王戦四段戦2回戦 ●徳田拳士四段
7月19日 第12期加古川青流戦3回戦 ●里見香奈女流五冠
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○伊奈祐介七段
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ●村田顕弘六段
8月15日 第64期王位戦予選1回戦 ●安用寺孝功七段
8月25日 第31期銀河戦予選1回戦 ○藤原直哉七段
8月25日 第31期銀河戦予選2回戦 ●阪口悟六段
9月7日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦5回戦 ○森下卓九段
9月20日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦決勝 ●石川優太五段
10月6日 第35期竜王戦5組5位決定戦 ○南芳一九段
10月20日 第71期王座戦一次予選1回戦 ○中田功八段
11月2日 第71期王座戦一次予選2回戦 ○池永天志五段
11月18日 第71期王座戦一次予選3回戦 ●都成竜馬七段
12月27日 第36期竜王戦ランキング戦4組1回戦 ●船江恒平六段
1月13日 第49期棋王戦予選1回戦 ○島本亮五段
1月17日 第73期王将戦一次予選1回戦 ○浦野真彦八段
2月3日 第49期棋王戦予選2回戦 ○谷川浩司十七世名人
2月16日 第73期王将戦一次予選2回戦 ○都成竜馬七段
(今年度13勝9敗)

竜王ランキング戦4組で船江六段に屈したが、その後4連勝。とくに、谷川十七世名人、都成七段に勝った星が光る。
前回、記事のおわりに「(フリークラスを脱出するには)都成七段のような若手実力者にも勝たないと、目標は達成できない」と書いた。そこで都成七段に雪辱を果たしたのは素晴らしい。
そして問題のフリークラス脱出だが、例の「年度18勝12敗」は、来月までにあと5勝(3敗)が必要である。今月に行われるであろうNHK杯予選がカギで、ここで3連勝すれば、一気に道は開ける。反対にこの1回戦で負ければ、今年度の脱出はない。
それよりも、直近が7勝2敗なので、もうひとつの条件「いい所取り20勝10敗(など)」を狙うのがいいと思う。これなら期間に関係なく、以降を「13勝8敗」で行けばよい。これはもう、十分に現実的な数字である。
逆に、このチャンスがモノにできないようなら、フリークラス脱出は当分先になる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第48期棋王戦第2局

2023-02-19 23:41:51 | 男性棋戦
第48期棋王戦第2局がきのう行われた。第1局は藤井聡太竜王の勝ち。対藤井戦で結果の出ていない渡辺明棋王は、本局が早くも正念場となった。
将棋は渡辺棋王の先手で、角換わり相腰掛け銀となった。最近はこの名称ばかり書いている気がするが、もうほかの戦法は消えてしまったのだろうか。
将棋は渡辺棋王が先攻した。過去の実戦を踏襲し、藤井竜王は角を1筋に打って反撃。ときどき見る手だが、アマは知らないと指せない手だ。そして、飛角交換になった。
藤井竜王は竜を作ったが、その竜が詰まされそうになり、桂を犠牲に生還した。飛車切りが好きな藤井竜王において、こういう展開は珍しい。
ここから渡辺棋王が攻めを再開し、その後も難しい手が続いたのだが、藤井竜王が角に繋げて角を打ったのが名手だったようだ。
実はこのあたりから私はABEMAを見始めたのだが、どちらがどちらだか分からなかった。
画面の形勢バーは「渡辺35:藤井65」と映っていたが、この配置だと、後手の駒台が画面左側にある関係で、後手が渡辺棋王に見えた(実は、NHK杯もこの配置)。
実際は後手が藤井竜王だったのだが、いつも間違えてしまう。
実戦は、そこから藤井竜王が疾風の寄せを見せ、藤井竜王の勝ちとなった。
終局直後はどちらも難しい顔をしていたが、より深刻な表情なのは、渡辺棋王のほうだった。先手番を落としてカド番に追い込まれたのだから当然で、通算対戦成績も2勝14敗になり、また星が開いてしまった。
ちなみに藤井竜王の通算勝率は.832で、15勝3敗ペースである。つまり、対渡辺棋王のみならず、すべての棋士相手にこのあたりの数字をキープしているのだ。まったく、規格外の強さといえる。
本局、藤井竜王には「らしくない」手がたびたび見られたという。ヒトはそれを不調というが、不調でも勝ってしまうのが王者の証明である。
というわけで、2局を終えて藤井竜王の2勝。2局の星取りは4パターンあるが、これは最も多い予想だったのではあるまいか。相手は現役名人なのに、である。
もはや渡辺棋王に明るい材料はない。本人は「目の前の1局を勝つしかない」と述べたが、どうも力のないコメントに思えてしまった。次の第3局は、タイトル交代劇が粛々と行われるのを、黙って見守るだけになるかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする