朝食は、魚市場の仕入から帰ってから家で食べる
女房殿を待たせるのが嫌で、梅干しおにぎりを作っておいてもらう
副食はたいがい厚焼き卵
本当は、おにぎりの具は梅干しより、「焼きたらこ」か、「筋子」がいいが
朝から面倒をかけさせるのが嫌で、言わないことにしている
だが、またまた本当を言えば、おにぎりよりは白い炊きたて御飯が良い
熱々御飯にバターを塗って醤油をかける、あるいは筋子で食べる
オリジナルの辛い朝鮮風塩辛で食べる
これが大好きだ
しかしもっとポピュラーなパターンがある、それは「卵かけ御飯」
なぜこれが好きなのだろうか
そもそも、戦後間もない頃、動物性タンパク質は「鶏か卵」
それで、よく卵かけ御飯を食べたせいではないだろうか
更に、料理人の修行をしていたとき、平日は朝6時から仕事開始
週末は5時が普通だったが、7時になると一斉に手を休め朝食
およそ15人の従業員、親方、親方の家族一緒に食べる
大きな鍋で味噌汁、御飯 おかずは生卵1ヶとたくあん 160ヶ入りの箱から
てんでが1ヶずつもって、お膳に座る
1ヶの生卵で御飯を2杯食べる 朝食時間は10分と決まっていた
5分で食べ終えて、残りの5分でたばこ1~2本吸って仕事再開
これを1000数百日続けたわけだ、それが今でも癖になっていて
忙しいときや、おかずが無ければ、これを食べる
当時は19~20の食べ盛り、いつも腹を空かしていた
親方の家の二階に住み込みで、10畳の部屋に5人で雑魚寝
店が休むのは正月1日と2日の2日だけで363日営業
従業員の休みは交代で月3回、結婚シーズンは土曜日は
朝5時から23時まで働いたから、単純に週75時間
だけど若かったから少しも苦にせず競争して仕事をした
給料は仕事を教えてもらうのだからもらえない
と思っていたら、手取りで1万3000円もらって感激した
たまの休みは、部屋にいると下の調理場から「手伝え」の声が
かかるから、用が無くても8時には外に出る
ある日、同僚と二人で商店街に出た
昼になって何か食べようと喫茶に入った
入ってから「幾ら持ってる?」という話になり
互いの持ち金を足したら300円だか400円だかだった
当時でもコーヒー100円したから、これではメニュー1人分しかない
それで2人で半分ずつ食べられるものを・・ということで
エッグサンドを注文した、一人1ヶ半ずつ食べられる
ところが大きな勘違いをしていた
ベーコンエッグを注文したのだった、正確に言えばベーコンエッグを
エッグサンドと思い違いしていたのだ
ウェイトレスが持ってきてから気づいた
仕方なく、皿一枚と箸1膳余分にもらって、分けたが
黄身はとろけて流れ出るし、二等分するのに四苦八苦
そんな青春時代のことを、今朝卵御飯を食べながら思い出した