付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「るくるく」 あさりよしとお

2008-05-10 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「悪魔は人間の本音の側にいるから」
 るくの言葉。

 絵に描いたような貧乏少年、六文の前から父親が突然姿を消し、代わりに現れたのは謎の美少女るくだった。るくは六門の役に立ちたいとエプロン姿でおさんどんを始めるのだが、その隣の部屋で父親は惨殺死体となっていた……。
 美少女悪魔や不信心者に天罰を与えんとする天使、さらには怪しげな仏教僧、煩悩のままに生きるクラスメイトらに囲まれた六門の日常を、ほのぼのとブラックでシニカルな笑いと共に描く。

 これといって取り柄のない少年のもとに恥ずかしがりの美少女が押しかけ、なし崩しに同居することになる……というベタベタの展開が典型的な願望充足ものに陥らないのが、さすがあさりよしとお。
 るくの正体は、このままでは地獄が人間であふれかえると、何とか人間には天国に行ってもらおうと世直しにやってきた悪魔であり、彼女の正体は明らかではないモノの、るくの配下がいずれもそこらの上級天使なら一撃粉砕する大悪魔クラスなので、そうなると上にはあんまりいないわなあ……。
 最初に読んだときは、思わず声を上げて大笑い。最近ではさすがに初読時のようなインパクトはないけれど、その面白さは相変わらずです。

【天使】【悪魔】【原始仏教】【貧乏】
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「レディ・ジェネラル 淑女騎士団」 千田誠行

2008-05-10 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「よく覚えておくんだな、楊家将の女は強いんだ」
 いや、楊家将でなくても、この作品に登場する女性はみんなムチャクチャ強いよね。

 緋影宗保の最愛の兄、延朗が突然交通事故で死んだと告げられたとき、放課後の武術修行だけが楽しみだった宗保の日常は終わりを告げた。警察からはただ交通事故というだけ告げられ、そのまま密葬にされようとしていた遺体には、無惨な刀傷が残されていたのだ。
 謎の女性から、兄は楊家将と名乗る一団によって殺されたのだと知らされた宗保は、楊家将の拠点へと乗り込むが、龍の力が宿る武器<龍珠>を使う楊家将の戦士によってあえなく返り討ちにあう。しかも敵の中には、いつも彼と体育館で修行していた少女、九妹の姿があった。
 楊家将とは何者なのか?
 とりあえず楊家将に勝つために彼らと同じ力を手に入れようと、同じく<龍珠>が隠されているという木閣塞女子高等学校に潜入した宗保は、今度も行く手に立ちふさがる美少女に打ちのめされてしまう。
 ところが宗保のことが気に入ったという美少女剣士・桂英は、<龍珠>を渡す代わりに彼を夫に迎えると言い出した……。

 中国明代の古典文学『楊家将演義』を下敷きにした、学園武術伝奇アクション。
 現代日本の高校を舞台にした話で、原案は中国文学なのに、タイトルはジェネラルとか騎士団とか西欧傾向が強いもの。なんかアンバランスですね。せめて、和か中か、どちらかに沿ったタイトルにすれば良かったのに……。
 そこさえ気にしなければ、けっこう面白かったと思います。

【龍脈】【高校生】【女戦士】【超武術】
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