付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「黎明への使徒 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(3)」 エリザベス・ベア

2008-05-29 | ミリタリーSF・未来戦記
「人はつねに誰かを信じ、身をまかせるものです。それが重要なのです」
 カナダ首相コンスタンス・ライエルの言葉。

 小惑星落下によってトロントが壊滅して9カ月。中国とカナダの対立は激化し続けているが、落下の影響による津波、原子炉の破壊、そして地球規模の気温低下による全地球凍結の兆しなど、小惑星落下の被害が何千万人になるか、いまだはっきりしていない。
 その一方、地球近辺に出現した2種類の異星船とのコンタクトのために世界各地から科学者たちが周回軌道の宇宙船<モントリオール>に集結してくるが、異星人たちとの接触は遅々として進んではいなかった……。

 ジェニー・ケイシーのシリーズもこれにて完結。
 面白い話ではあったけれど、煽り文句や表紙イラストから受けるイメージとは随分違いましたね。「女サイボーグの活躍する話」で検索に引っかかる本ではあるけれど、第1巻は未来世界を舞台にしたハードボイルド小説風に始まって、第2巻は新兵訓練と隕石落とし、そして3巻は地球規模のサイバーネット戦がメイン。壮絶な銃撃戦とかファーストコンタクトとかいろいろあるけれど、印象に残った1番目は<ファインマン>の電脳戦であり、2番目はライエル首相の政治外交戦かも。

「気象問題は簡単よ。できる限り被害を食い止め、できないことについては現状を受け入れるしかないわ」

 どうしようもない状況に追い込まれても、自暴自棄にならなければ理想論を追いかけることもなくシビアに問題を処理していこうとする政治家の姿はカッコイイです。でも、1巻だとどちらかといえば敵役のイヤなやつだと思ってました。

【黎明への使徒】【サイボーグ士官ジェニー・ケイシー】【エリザベス・ベア】【ファーストコンタクト】【核の冬】【電脳網】【人工知能】
コメント
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