付け焼き刃の覚え書き

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「エリアル03」 笹本祐一

2008-05-03 | 巨大ロボット
「狸だの狐だのなら珍しくもねえ。天狗様とか、山姥とか、どこにでもいるものしかいねえだ」
 土地柄の説明をする村娘お凜の言葉。

 文庫の第1巻が出たときに、友人たちと平棚の前で「ALL ROUND INTERCEPT & ESCORT LADY」というネーミングに笑い転げていたのを思い出します。「Science,Chemical,Electronics,Biochemical and Aerospace Industry」で国立科学研究所SCEBAIっていうのも、たいがいな略称ですが。
 そのSCEBAI所長の岸田博士の孫娘たち女子高生が修学旅行へ出かける第17話「女子高生西へ」から、侵略戦艦オルクスの経理部長が実家へ帰って結婚するという第22話「ウェディング・ベルは誰のために」までがノベル版の第3巻。
 銀河最大の結婚式場<銀英殿>ってのにも笑いましたね。
 ただ、ネーミングや設定だけで笑いを取るだけでなく、美女美少女だけで萌え狙いというのでもなく、基本の設定とストーリーがしっかりしているから20年経っても笑って読めるのです。やはりその醍醐味は、艦船から降下兵までのスペックや運用がきっちり書き込んであって、それが活きているってとこかな。単にスゴイ兵器だから強いのではなく、きちんと整備して、使う人間がそれを乗りこなし、さらに目的に沿うよう運用されてナンボという話。

 今回のおまけは、物理法則の詐欺師こと若き科学者岸田と倫理を無視した呪い屋の医師・天本(そして謎の女、羽那らいてう)が、いがみ合いながらも日本各地で八岐大蛇や天狗などの不思議怪異と遭遇し、それを退けていくという、マイナス3話「昭和一五年のからくり天狗」
 菊地秀行のエイリアンシリーズとXファイルを足して、原作ルパン3世のテイストを振りかけた感じの作品。これもスピンオフで独立したシリーズにしても通用しそうです。というか、大戦前夜の日本を舞台に、ひと癖もふた癖もある男女がチームを組み、科学や魔術を駆使して怪異を討つ……って、個人的にすごくツボな話なんですが。

【エリアル】【笹本祐一】【卒業】【ウルトラ警備隊西へ】【出稼ぎ】【企業合併】
コメント
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