付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「封神演技」 訳:安能務

2008-05-26 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 殷周革命を舞台にした、中国古来の大衆伝奇小説。それを安能務がかなり奔放なアレンジをして訳した日本語版……ということだけれども、どの程度のアレンジがされているのか、原文を読めないし、別訳もないので不明。

 崑崙に居をかまえる仙人たちには悩みがあった。
 いくら仙人といえども煩悩は溜まる。たとえわずかづつでも無限に生きていく内には積もりに積もる。早い話が、大暴れしたいという破壊衝動・殺人願望である。それをときどきは発散させてやらないと、とんでもないことになってしまうのだ。
 一方、一口に仙人といえども、動物や植物が力を持つようになって仙人と化した者もいるし、人間でありながら仙人に匹敵する能力を持つに至った者もいて、これがエリート仙人の気に入らない。
 ならば、まとめて解決しようと、人界で紂王の奢りから生じた争いを煽り立て、仙界と人界を巻き込んだ大戦争に仕立て上げてしまったのである。これを機会に半端な能力を持った仙人や人間を戦死させ、その魂を「封神台」に封じることにより新たに神界を作ってしまえば、仙人の闘争心も満足させられるし、世界の秩序も保たれるし一石二鳥!
 この大計画を実現すべく、崑崙の道士の1人であった姜子牙(後の太公望)を人界に派遣するのだが……。

 目標!365柱!
 さあ、戦争だとばかり、世界各地から集結する仙人、武人、道士たち。何千年かけて開発したり手に入れた秘密兵器「宝貝(パオペエ)」や必殺の技や術を披露するのはこのときぞ!と戦争に参加しては死んでいきます。まったく、なんだかなー、救いがたいなー。久米の仙人の方がかわいげがあるぞという話。
 これは原作のせいか、訳のせいかはしらないけれど、まとめて読むと疲れるし、かといって中断すると再開するのが難しくなります。戦隊ヒーロー物や仮面ライダーのあらすじだけを延々と文章で読まされるような感じです。
 雑兵が束になってもかなわない武人登場。それを倒さんと宝貝を持った仙人が登場して、あっさりやっつけます。そうすると、その宝貝の能力を封じる陣を組む道士が出現し、仙人を退治。そうすると、今度はその陣を打ち破る……以下繰り返し。
 血を吐きながら続ける悲しいリレー競争ですよ。

【封神】【宝貝】【仙人】【戦争】
コメント
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