付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ラークライト~伝説の宇宙海賊」 フィリップ・リーヴ

2009-08-02 | 宇宙海賊・宇宙商人
「アーサー、太陽系を危機から救ったら、さっそくこの家を改装しましょう」
 しっかりものの母さんアミーリアの宣言。ママは何でも知っている。

 アイザック・ニュートンが化学融合を解明してから150余年、大英帝国が太陽系の各惑星・小惑星のさまざまな種族を支配下においた19世紀半ばの1851年のこと。月からほど近い宇宙空間に、ぽかんと浮かぶ宇宙生物学者エドワード・マンビーの屋敷に謎の来客が訪れたことから、アーサーとマートルの弟姉は世界を救うための冒険に飛び込むこととなった……。

 ニュートン卿が最後の錬金術士ではなくなった世界です。惑星間航行は可能だけれど機械文明は未発達で、やっとこさ蒸気機関という野尻抱介の『銀河博物誌』みたいな世界です。太陽系にはサボテン型やらカニ型やらさまざまな知的生命体が蠢いていて、モールバラ公爵らによって大英帝国の版図に組み込まれている世界です。『トップをねらえ!』で日本人が未来の太陽系で一大勢力になっているように、イギリス人リーヴの世界ではフランスやその他諸国はまだ地球上に釘付けにされているようです。
 映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』を彷彿とさせるシーンもあって、こてこてのスチームパンク・スペースオペラというかマッド・ヴィクトリアン・ファンタジーを児童文学でやってます。この組み合わせは相性がいいなあ。
 中のイラストも小さな遊びが色々あって良い感じですが、「メガネをはずすとちょっとカワイイ」とされているやかまし屋の姉ちゃんマートルが、イラストではどう見ても「くいだおれ太郎」なのが残念。

【ラークライト】【伝説の宇宙海賊】【フィリップ・リーヴ】【デイヴィッド・ワイアット】【創世の使者】【始祖生物】【水晶宮】【万国博覧会】【リチャード・バートン】【ムーミン】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「宇宙怪獣ラモックス」 ロバート・ハインライン

2009-08-02 | 怪獣小説・怪獣映画
 人類が宇宙外交を始め、さまざまな星の知的生命体に門戸を開き始めていた時代のこと。スチュアート家のペットが飼い主の留守に町に抜け出して軍隊まで投入される大騒ぎに! スチュアート家が4代に渡って飼い続けてきたペットであるラモックスは気だては良いけれど体重が6トンあり、8本足でのし歩く宇宙怪獣だったのだ。
 ラモックスと共に逃走し軍隊に追われることになった現在の飼い主ジョン・トマス・スチュアート4世を助けるため、ガールフレンドのベティが獅子奮迅の活躍をする。

 福島正実版を山田卓司のイラストでSF名作コレクションとして復刻したもの。このあたりは小学生のうちに読んでおき、中高生になってから大森望の完訳版を創元SF文庫で読むのが理想。
 書かれた時代が古くて、そういう作品はたいてい男尊女卑とはいわないけれど女性キャラは美人だけれど判断力に乏しくてトラブルメイカーになりがち。でも、さすがは『フライデイ』を書いたハインライン。頭は良いし、実行力もあるヒロインを配置して、ただ右往左往するだけの主人公に貼り付けました。最後のオチも「関白宣言」と同じで一見、女性軽視のようでいて実際は正反対というパターン。ジョン・トマスも気の毒にと思わずにはいられません。
 まあ、幸せなら良いよね。

【宇宙怪獣ラモックス】【ハインライン】【ファーストコンタクト】【宇宙外交】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする