付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「寿司屋のかみさんのちょっと箸休め」 佐川芳枝

2009-08-15 | 食・料理
 おつまみの簡単な作り方から素材についてのうんちくやそれにまつわるお店のエピソードまで、おかみさんの語る寿司屋の四季の味の数々。茶碗蒸しとかあぶりハモとか美味しそうじゃないですか。
 おつまみについてぎっしり書かれた本だけれども料理本ではなく、あくまで「おつまみにまつわる話」なので普通にエッセーとして読んでいて面白いです。

 ところで、「アオヤギは通称バカ貝」と書いてあるけれど、これだけは逆だと思います。「アオヤギ」はマルスダレガイ目バカガイ科の別名。バカガイが標準和名なんですね。

【寿司屋のかみさんのちょっと箸休め】【佐川芳枝】【ノレソレ】【アワビの肝】【月見イワシ】【ヅケ丼】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「艦長の子」 カリン・ロワチー

2009-08-15 | 宇宙海賊・宇宙商人
「政治家は、何をすべきかを教えられないと何もなし遂げられない。少なくとも、意味のあることは」
 アザーコン艦長の言葉。
 マスコミは近視眼的な大衆を煽るだけ煽って放り投げ、政治家はその大衆の反応に右往左往させられるだけという身も蓋もない世界観が満載です。

 異星人や宇宙海賊との戦いが続く時代。勇猛で知られる戦闘輸送艦<マケドニア>の艦長アザーコンを父に、名門出身の政治家を母に持つライアンは、その家柄や財産、容姿から「もっともホットな独身貴族」としてマスコミや社交界の注目を浴びていたが、その実態は時としてドラッグに手を出してしまう孤独な青年だった。
 だが、アザーコン艦長による異星種族ストリヴィイルク=ナとの停戦、海賊ファルコンの暗殺と衝撃的なニュースが入ってくるのと前後して、ライアンの周囲は一気にきな臭くなっていく……。

 戦争SF巨編として紹介されることが多いけれど、読んでみると「戦時下での少年の成長物語」という方が正確なのではないかと思わされる3部作の2冊目。完全に『戦争の子』の続きで、続刊『海賊の子』に続いてます。
 今回は、前回の主人公ジョスたちを追いつめたカイロ・アザーコン艦長の息子が主人公です。父親は戦場、祖父母と母は政治と社交に忙しく、傍にいるのは母親とできているボディガードのみという、甘えて歪んだ性格を作るにはもってこいの環境で育ったライアンです。
 600頁ちょいの物語で、400頁を過ぎてもライアンはあいかわらず甘やかされたボンボンで、周囲に敵しか作らないような言動を繰り返しています。ライアンはそう思ってないかも知れないけれど、やっぱり艦長は息子には甘いよ。早く成長してくれ。というか、話をここ(400頁目)から始めてもいいんじゃないか……?
 主人公にまったく共感できず、ただ文句をつけながらも黙々と読んでしまうのはやっぱり面白いからだよなあ。作者と訳者の筆力でしょうね。前作の主人公ジョスの屈折具合も良い感じです。

 前作に引き続き、アニメの設定資料に色をつけただけのようにも見える表紙が趣味ではありませんが面白く読めました。枝葉を切り落として、この2/3くらいにすればなお良かったのにとは思いました。『ノパルガース』の薄さが引き立ちますね……。

【艦長の子】【カリン・ロワチー】【ハートマン軍曹】【テロ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする