付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「時間を征服した男」 レイ・カミングス

2009-06-19 | 時間SF・次元・平行宇宙
 レイ・カミングスなんて作家はほとんど知らなかったし、たまたま読んだ作品が2本ともタイムトラベル・ネタだったので、それ専門の作家かと思ったら違っていました。トーマス・エジソンの秘書として働いた経験もあり、SFパルプ小説の父の1人に数え上げられているらしい。

 ロジャースとロトの科学者親子は、真空放電管の実験中に別の空間を映し出してしまう。そこで2人が見たのは、雪に覆われた荒野を逃亡し捕らえられる美少女の姿だった。
 放電管から飛び出した電子が化学処理幕にぶつかって生み出した小さな窓が別の時間への出入口であることを突き止めた2人は、ヘリコプターを改造してタイムマシンを建造。サイエンスクラブの仲間たちに見送られ、息子ロトは美少女救出に2万8千年先の未来へと旅だったのだが、そこは退廃的な貴族文化を謳歌するアラン族、奴隷同然の労働に酷使されるバス族、そして科学文明を温存し、ときおりの世界介入だけをプライドの拠り所にしている科学族の3層に別れた社会となっていた……。

 「タイムマシンが加速するにつれ、眼下の都市はみるみる成長していった!」というフレーズは『ぬすまれたタイムマシン』と同じですね。確かにビジュアル的にインパクトが強くて、気に入っていたのでしょうか。
 本当に古い作りの話です。冒頭に科学者の発明品とその原理についての説明が延々と続き、後半はひたすら戦いが続きます。偶然の発見といきあたりばったりの冒険、出会った美少女はやはり見た目の通りの善人でたちまち主人公と相思相愛に!と、いかにもパルプ雑誌。
 ただ、後半の悪の科学者が率いる軍勢との戦闘シーンは、その内容と訳語の古めかしさが今となっては味になっている気がします(お奨めはしませんが)。
 『機動戦士ガンダムF91』に登場した対人感応殺傷兵器「バグ」みたいな「空飛ぶ回転ナイフ」が大暴れしますし(こちらは磁力で人間を感知しているようです)、雷電銃を持った兵士が巨犬にまたがって戦場を疾駆する姿は『ガンパレード・オーケストラ』の山岳騎兵みたいです。一周しちゃったという感じの格好良さですね。ハヤカワ文庫SFの51冊目ということで無数の作品から選りすぐられたセンス・オブ・ワンダーは伊達ではありません。
 そして、読んでいて目を引いたのは女性兵士の描写です。他の描写が案外とおざなりというか通り一遍なくせに、浮遊服に身を包んだ2個小隊26名の「科学族少女隊」の描写がやけに細かいんですね。

「みんな、ほっそりした優雅なからだつきで、そのほとんどが二十歳以下だった。ゆるやかにまとったパンタロンとブラウスの黒い紗をすかして、少女たちの白い手足が見える。頭髪に深紅色のゴム布を巻いて額をぴたりとかくし、頭のうしろで結んで、その端をたらしている。彼女たちは優雅な姿勢で左わきに推進筒をかかえ、大空を進軍していった」

 ね。少女飛翔兵たちの姿が脳裏に映し出される気がしませんか?
 もっとも、戦場では美少女といえども弾が避けてくれるはずもなく、最終的には10名にまで減っています。損耗率62%……壊滅ですね。

【時間を征服した男】【レイ・カミングス】【斎藤伯好】【斎藤和明】【雷電銃】【磁力兵器】【自爆】
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「スペース」 加納朋子

2009-06-19 | ミステリー・推理小説
 駒子が瀬尾さんへのクリスマスプレゼントに選んだのは、10数通の長い手紙。
 それこそは「スペース」の物語。さまざまな意味を持つ「スペース」という言葉をキーワードに、瀬尾さんはこのありきたりの(ただ長いだけの)手紙に隠された謎を読み解いていくのだが……。

 駒子シリーズの3冊目。語り手の異なる『スペース』と『バック・スペース』の2作品から構成され、それぞれ女子大生の学生生活を描いた単独作品としても楽しめるけれど、続けて読むとさらに深みが増します。
 最初は『スペース』が問題編で『バック・スペース』が解決編かなあくらいに読んでいたのですが、それともちょっと違いますね。『スペース』を読んで『バック・スペース』を読んで、そこで思わず『スペース』を最初から読み直してしまいました。
 人生は厳しくて、人間関係は難しくて、だからこそ自分の居るべき空間を手に入れることができたときの幸福感は大事だよね?という話でした。

【スペース】【加納朋子】【門松】【筆跡】【ロッテ】【バス】【寮】【鎌倉】【静岡】【岩手】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「海浜棒球始末記~ウ・リーグ熱風録」 椎名誠

2009-06-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「縄文式の竪穴住居にこもって銀座OL相手に棒ふりまわしてんだって?」
 最初は世間の認知具合はこんなもんでした。

 奄美大島の砂浜で椎名誠が見かけたのは、流木をバットにして浜辺に転がっていた浮き玉を打つという三角ベースボールに興じている漁師たちの姿だった。
 浮き玉は、発泡スチロール状の玉の真ん中に穴が開いているため、投げても打っても風の影響で変化しまくり。どこへ飛んでいくのかなかなか予想できないという面白さと普通の野球ほど遠くに飛ばないという手軽さで、たちまちみんなのお気に入りに。
 その仲間うちでの遊びが瞬く間に全国に広がり、加盟数50チームを超える全国リーグになっていく顛末を綴ったもの。
 
 ただし、タイトルに偽りあり。「始末記」といいつつ始末がついておらず、2001年の単行本刊行時はおろか、2004年の文庫版刊行時にもリーグは健在というあたりが嬉しいじゃないですか。
 こういう遊びが難しいなあと思うのは、規模が大きくなるのも愉しいのだけれど、人に広めていくということはルールをはっきりさせ組織を整備していくということなので、ある意味で野放図な三角ベースボールと相反することになってしまうということ。そのあたり、長く続いているということは、良いさじ加減にできたということなんでしょうね。
 みんなでわいわい酒呑んで金属バット振り回して走り回るという愉しさを大事にしてもらいたいです。

 問題は浮き玉の確保で、もともと浜辺に漂着していたものを利用しているので、どこかのスポーツ用品店で買いそろえるわけにはいきません。手分けして浜辺を歩き回り拾い集めて各チームに送るのにも限界があるというのに、いったいどこから流れてくるのか謎のままなんだとか……。

【海浜棒球始末記】【ウ・リーグ熱風録】【椎名誠】【▲ベースボール】【ウースポ】【温泉】【結婚式】【カツ丼】【カレーライス】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「プレイ・ボール!」 シンシナティ・ポップス・オーケストラ

2009-06-18 | スポーツ・武道
 シンシナティ・ポップス・オーケストラといえどもSF映画や戦争映画の曲ばかり演奏しているわけではなく……ということで、“ベースポール”音楽集です。一時期、「大リーグ・フィーバー~がんばれ!松井」なんてタイトルで発売されたこともあったみたい。
 「ホットドッグにビール!!」という呼び声の混じるスタンドのざわめきから始まり、試合開始前にはもちろん「星条旗よ永遠なれ」の演奏。「プレイ・ボール」の声がかかって試合開始。「くたばれ!ヤンキース」「フィールド・オブ・ドリームス」「プリティ・リーグ」といった映画のテーマや「野球場に連れていって」などの曲の合間合間にホームランやダブル・プレイの効果音が挿入されていきます。
 そして映画『フィールド・オブ・ドリームス』でテレンス・マン(J・D・サリンジャー)を演じたジェームズ・アール・ジョーンズが、あのダース・ベイダー声で野球抒情詩『Casey at the Bat(ケイシー打席に立つ)』を朗読します。さらに往年の人気コメディアンであるアボットとコステロのモチネタの代表作「Who's on first?」(誰が一塁?)まで収録されています。これはさすがに私のヒアリング能力ではよく聞き取れませんが、この小話ネタは確か『フライングハイ!』シリーズでも定番ネタとしてパクられていたはず……(三塁手はアイドンノーだよね?)
 最後は地元シンシナティ・レッズの応援歌で締めるところはご愛敬。

 日本でこういう“野球”音楽集を出すと球団歌や応援歌の集大成になるけれど、そういうのとは違うんですね。ベースボールと野球の違いを耳で感じる1枚です。

【プレイ・ボール!】【シンシナティ・ポップス・オーケストラ】【エリック・カンゼル】【ナチュラル】【エンジェルス】【ザ・ベーブ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「極北の狩人」 椎名誠

2009-06-17 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 作家・椎名誠がテレビドキュメンタリー取材班と共にアラスカのエスキモー、カナダのイヌイット、シベリア・チュコト半島のユピックと、極北の狩猟民族を訪ねて回った旅の記録。
 やはり椎名誠の旅行記は面白い。ぐだぐだだったり脇道にそれっぱなしのように見えつつも、自分が観たいもの、見てきたものがしっかり書かれ、行った先に住む人の人々の衣食住に言及され、また同じ旅先について書かれた先人の著作や探検の記録にまで触れられている。だから、たとえぐだぐだでもしっかり着地するのですね。
 さて、本書では、極北の狩猟民族をひとくくりにして「イヌイット」と呼ぶことはしていません。彼らはそれぞれエスキモーであり、イヌイットであり、ユピックです。
 日本では「エスキモー」というのは「生肉を食う人々」という意味だから差別語だとして一律に「イヌイット」と言い換えてしまうのですが、現地に行ってみれば本人たちが「自分たちは生肉を食べるんだからエスキモーであたりまえだろ」という認識なので、他人が勝手に差別語として別の言葉に言い換えてしまう方が差別というか失礼というもんですね。対象についてよく知らないまま勝手にラベル張ってるわけですから。

 さてさて、一行はアラスカ最北端のポイント・バローで寿司35貫盛りを食べたのを皮切りに、極地であれこれ食べて回ります。物資を空輸に頼らざるを得ない極地ではとにかく何でも高い。マクドナルドだって価格は倍額。レストランは不味いか大味で飽きてしまう。そうすると、ひたすら自炊でカレーライスということになり、決まった仕事のない著者がひたすら調理担当としてカレーライスをつくる光景に笑ってしまいます。
 もちろん刺身を食べる日本人ですから、取材先の人々と同じものも食べます。さすがにいくら動き回るサプリメントといってもアザラシの寄生虫は遠慮したいけれど生肉は平気。カリブーでもイッカクでもセイウチの醗酵肉でもアザラシのスープでも大丈夫。シベリヤで食べるホヤは美味しかったそうです。
 犬ぞりの練習をしてみたり、ホヤ採りをやってみたり、どこでも行ってみよう、なんでもやってみよう、見てみよう、食べてみようという精神にあふれた旅行記でした。それが旅行記にいちばん大事なことですね。

【極北の狩人】【椎名誠】【白熊警察】【蚊】【T-1】【カレーライス】【トゥフタック】【肥満体】【白夜】【携帯電話】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「レジンキャストミルク5」 藤原祐

2009-06-17 | 超能力・超人・サイボーグ
「お前は硝子を泣かせた。それだけでも殺すに足る」

 2学期が始まり、奏と逆絵の津久見兄妹が転校してくる。そして彼ら双子は晶たちの予想通り、虚軸【ライ麦畑の墜落死体】だった。
 しかし、それも【無限回廊】の計画の一部に過ぎない。これまでにない規模の日常の浸食が起こり、窮地に追い込まれた城島晶と【全一】の前に、晶の父・城島樹が姿を現す。

 これまで詭弁と欺瞞と偽善で相手を容赦なく奈落に叩き落としてきた城島晶ですが、ここしばらく旗色が悪くて苦戦しています。相手が悪いと言えば悪いのですが、先手を取られ、一方的に言われまくってます。主人公が日常を守ろうとすればするほど、日常の方が離れていく悲劇。せめて硝子だけは手放さないようにして欲しいもんです。

【レジンキャストミルク5】【藤原祐】【椋本夏夜】【中華鍋】【冷たい王座】【バビロンの簒奪者】【人肉喰】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ほげらばり~メキシコ旅行記」 小林聡美

2009-06-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 女優小林聡美のメキシコの旅行記。
 チチェン・イッツァの遺跡へ行き、しょぼい動物園を見学し、へたくそな合気道教室を横目に通り過ぎ、メキシコ・プロレス“ルチャ・リブレ”を観戦し、地の果てのホテルに泊まったりした16日間の旅日記。

 いきなり活字が大きめ。行間字間も広い。なんというか教科書を読んでいるみたい。34字×13行の1ページ442字。幻冬舎文庫ってこんなものだっけ?

 うん、旅日記だねえ。面白かったけれど、読後感は「メキシコ行ったわよ! 食べ物が口に合わなくてタイヘンだったわ!」「タイヘンでしたね」くらいかな。
 たとえばチチェン・イッツァにしても、単にそういう名前の遺跡に行きました、登るのが辛かったですということしか伝わってこないというか書いてないんです。案内人の解説も素通り。ユカタン半島にあるマヤ遺跡の中で最も壮大な遺跡であるとか、「生け賛の泉」と呼ばれる巨大な泉があってなんて書いてない。
 同じ味付けのメキシコ料理に飽きて、日本料理店や中華料理店を徘徊してみてもどれもひどいものだったらしいけれど、メキシコ1日目から梅干しとお茶という旅なので、たぶん最初からメキシコが肌に合ってないんですよ。
 人と人とのふれあいについては言及が多いので、著者の関心がそっち方向だというのは判るのですが、自分が行ったことのない土地の話なので、名勝旧跡・街並や食事といった方向に関しての記述が少ないと、なかなかイメージが湧きません。そこが残念……。 

【ほげらばり】【FORGET ABOUT IT!!】【メキシコ旅行記】【小林聡美】【トリオ】【アシカ】【井上陽水】【鉄板焼き】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シニガミノバラッド。アンノウンスターズ。2」 ハセガワケイスケ

2009-06-16 | 学園小説(不思議や超科学あり)
『光なんてさっさと追いこしてしまえよ。誰も文句は言わないぞ』

 いやあ、ミスしました。
 適当に新刊を買いあさってきたら、読んでないシリーズの2巻が入ってました。しかも著者作品紹介を見ると、すでに完結したシリーズがあって、その続きのシリーズみたい……ダメだろ?

 巨大学園「新トウキョウ王子花園学園」に通う天然不思議系めがねっこの咲ヶ本モモは、実は死神Aの100100号こと破壊的な天使モモである。
 白い死神モモと相棒の黒猫ダニエルは学園に潜入し、人間の心を蝕む「幻魔」を回収する日々を送っているのだが……。

 うっかりで買って、仕方がないからで読んで、それでも過去の話がどうだったのかとか気にならずに読めて愉しかったので良かった、良かった。でも、伏線張ったまま次回へ引いてしまったので、3も買わないといけないかも。
 すちゃらかな主人公としっかりものの黒猫コンビということでうえお久光の『ジャスト・ボイルド・オ'クロック』を連想してしまいました。どちらもネコが良い感じ。黒猫ダニエルのサポートぶりに拍手。

【シニガミノバラッド。アンノウンスターズ。】【ハセガワケイスケ】【七草】【プール掃除】【旧スク水】【ヤギ】【ガンダムハンマー】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「壮麗なスペース・トリップ」 シンシナティ・ポップス・オーケストラ

2009-06-15 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 カンゼル指揮のSF音楽集の第2弾。
 冒頭のドン・ドーシー作曲のアルバム序曲が邪魔。これがなければ、いきなり「ツァラストラはかく語りき」から始まる良いアルバムになったのに……。
 続いて劇場版『スター・トレック』のメインテーマ、そしてSFドラマ『巡回動物園』の曲……? 日本語版解説によれば『巡回動物園』はジーン・ロッデンベリーが脚本を書いたTVシリーズで「スター・トレック」の原型となった……えっと、英語タイトルは……「The Menagerie」……それは「原型となったSFシリーズ」ではなく、後に「タロス星の幻怪人」として再編集版が放映された第1パイロット・フィルムですね。そう思って聴くと、確かにTOSのテーマ曲のアレンジが聞き取れます。
 さらに『宇宙空母ギャラクティカ』のメインテーマ。こちらは後にオリジナル・サントラを手に入れましたが、こっちの方が勇壮ですね。カンゼルの方が好き。後は『スーパーマン』の愛のテーマ、『スターウォーズ』エピソード4のラストシーンからエンド・タイトルまでの音楽、『エイリアン』のエンド・タイトル、そして再び「ツァラストラはかく語りき」と「美しき青きドナウ」で『2001年宇宙の旅』でおしまい。

【TIME WARP】【スター・トレック】【壮麗なスペース・トリップ】【シンシナティ・ポップス・オーケストラ】【エリック・カンゼル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バカとテストと召喚獣」 井上堅二

2009-06-15 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「信頼? 何ソレ? 食えんの?」
 最終決戦のさなかに。

 テストの成績でクラス分けされる文月学園。成績優秀のAクラスと最底辺のFクラスでは教室の設備からして違うわけで、ちゃぶ台に腐った畳の教室から抜け出そうと、FクラスはAクラス相手の戦いに乗り出した……。

 タイトルそのまんま三題伽にしたような学園ファンタジー……というか、どういうシステムか分からないけれど、各生徒はそれぞれの成績に応じた強さの召喚獣を使って戦うというもので、科学だったらすごいテクノロジー。ファンタジーだったらそれだけで文明と日常生活がひっくり返りそうなものですが、そこまで考えていたら愉しめません。ポケモン・レベルですね。気にしたら負け……という意味で。
 中学で人気だったそうで子供からのお薦めの1冊。そういえば、近所の大規模書店のラノベコーナー前でどこかの中学生だか高校生が友人にいかに面白いか力説していたなー。
 バカの主人公がいかにもモテすぎで、しかもそれに自分で気づかないのはお約束。ヒロインの料理下手も同じく。ただし料理の必殺具合の描写は『れじみる。』の方が上だと思いました。

【バカとテストと召喚獣】【井上堅二】【料理下手】【召喚獣バトル】【ラブレター】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「壮麗なスペース・トリップII」 シンシナティ・ポップス・オーケストラ

2009-06-14 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 カンゼル指揮のSF音楽集の第3弾。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『スタートレックII カーンの逆襲』『スタートレックIV 故郷への長い道』『コクーン』『スペース・バンパイア』『ライトスタッフ』『スペースキャンプ』などのメイン・タイトルやエンド・クレジットの曲が収録されています。『スターウォーズ』からは唯一「イウォーク族の行進」が選ばれているあたりがツボ。
 『スタートレック』関係は他にも例のザトウクジラの歌やらクリンゴン艦隊のテーマやらレナード・ニモイのナレーションも入って、全体の1/3はこっちの曲ですね。

 このCDを買ったのは、学生時代に大学のすぐ近くのレコード店。外壁に大きく西島版ラムちゃんのイラストが描いてある店でしたね。昔は楽器やロック音楽なども多かったのに、いつの間にかアニメ・映画関係と演歌のテープだけになっていました……。
 このアルバムはまだまだサントラを手に入れるのが難しかった時期に、マニアックな選曲をオリジナルスコアに近い大規模な編成で実現してくれるという、とってもありがたいものでした。
 実際、曲によってはオリジナルよりかっこいいしね。

【STAR TRACKS】【スター・トレック】【壮麗なスペース・トリップ】【シンシナティ・ポップス・オーケストラ】【エリック・カンゼル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「六覇国伝1~セイガの歌姫」 人魚蛟司 (原案:南原順) 

2009-06-14 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「心のない歌が、おれの気合いに勝てるもんか」

 友人宅の書庫整理の一環で、「読もうと思って買うだけ買ったけれど手つかずのまま10年以上経ってしまい、今さら新古書店で売ろうと思っても拒否されるだけの本」をダンボール4箱分ほど引き受けました。まあ、うちなら息子やその友人に押しつけることもできるので、なんとかなるだろうという目算です。どれも美本で帯とか挟み込みの出版案内も新刊時のまま。
 その中に人魚蛟司の六覇国伝がひとそろいあったのでガッツポーズ。うちにもあるけれど、かなりよれていたので、ここらで美本と交換しておきたいところでした。
 六覇国伝の本の方には通し番号がついていないけれど、ここのタイトルには解りやすく刊行順に番号を入れておきます。

 魔術師が権勢を思うがままに振るった群雄割拠の時代から二百数十年。科学の力で魔術を退けた帝国も今は分裂し、今は六覇国と呼ばれる6つの諸国が覇を競っている。
 その六覇国の1つ、ティエントウ王国で、史上初の蒸気式映写活動画報(映画)『技術の勝利』の撮影が開始されようとしていた。監督・総指揮は映画の発明者でもある天下布技会の天才技術師リュミエン。主演女優は美しき歌姫ウケイ。その相手役にはティエントウ王国のロシュウ王子が抜擢されていた。そこに技人兵乗りのセイガが下働きで加わるが、撮影隊を蟲獣が襲ったどさくさに古代魔術の産物である魔人を目覚めさせてしまう……。

 アジアンタッチのスチームパンク・ファンタジー。
 いろいろ陰謀やら古代帝国の遺産やら恋の三角関係やらありながら徹頭徹尾「映画」制作話に帰結させているところがミソ。
 小緋と豪壮閣の魔人姉弟もなかなか良くて、もう少しキャラを掘り下げて欲しいところだけれど、ロシュウ王子がまた一癖も二癖もあるライバル役を務めていて二重の意味ではまり役。
 まだ荒削りでしたが、シリーズ開幕の第一作としては良い出だしですね。

【セイガの歌姫】【六覇国伝】【人魚蛟司】【南原順】【ログアウト冒険文庫】【もりき靖泰】【ご都合主義】【キョンシー】【ボーイ・ミーツ・ガール】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ミリタリー・スペクタキュラー」 シンシナティ・ポップス・オーケストラ

2009-06-13 | 戦記・戦史・軍事
 エリック・カンゼル指揮によるミリタリー系楽曲オムニバス集。戦争映画やドキュメンタリー番組や軍楽隊曲が15曲収録されていて、これをかけながらドライブしていると車がどこへ行くかわからなくなる1枚。

1.世界海戦記/Victory at Sea
・公海の歌
・ガダルカナル・マーチ
・ハードワーク・アンド・ホースプレイ
・南十字星のもとで
・メーア・ノストラム
2.戦争と嵐/戦争と追憶 愛のテーマ
3.カサブランカ 組曲
4.戦場にかける橋 クワイ河マーチ
5.戦雲に散る曲(危険な月光) ワルソー・コンチェルト
6.チャーチル大戦回想録 組曲
7.空軍大戦略 メインタイトル
8.オーヴァー・ゼアー
9.史上最大の作戦 マーチ
10.マッカーサー/パットン大戦車軍団 マーチメドレー
11.軍楽メドレー(空軍・海兵隊・沿岸警備隊・陸軍・海軍)

 知らない曲も幾つかあって、「オーヴァー・ゼアー」はイラク戦争を舞台にしたTVドラマではなく、第一次大戦時の戦意高揚曲の方だそうです(そもそも年代が違う)。『Victory at Sea』も戦争ボードゲームの傑作の方ではなく、日本語解説によればTVドキュメンタリー『世界海戦記』なんだそうだ。ただ資料によっては『世界海戦史』だったり『悲劇の海戦史』だったり、さらには『第二次世界大戦全史』としてDVD販売されていたり。
 個人的にはハーマン・ウォーク原作のミニTVシリーズ『戦争の嵐』『戦争の追憶』の「愛のテーマ」が入っているのが嬉しいですね。ミニシリーズといっても普通のテレビシリーズの尺数からいえばミニというだけで、中身は戦争大作。ロバート・ミッチャム演じる米国海軍中佐ビクター・ヘンリーの一家を主役とした群像劇。第二次大戦を開戦前夜から描いていきます。
 日本でも1983年にテレビ朝日系で夜8時くらいから放送していたけれど、視聴率が伸び悩んだらしく続編の方は深夜枠。でも、全部見ましたよ。そのときのビデオテープはさすがに全滅してましたが……。

【Selections from "Victory at Sea" and Other Favorites】【史上最大の作戦~ミリタリー・スペクタキュラー】【シンシナティ・ポップス・オーケストラ】【エリック・カンゼル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「星虫年代記2」 岩本隆雄

2009-06-13 | ファーストコンタクト
 朝日ノベルズからの星虫シリーズ復刻合本の2冊目で、『鵺姫真話』『鵺姫異聞』、それに書き下ろし短編『鵺姫序翔』を収録。
 因果関係や因縁の説明などでちょこちょこっと書き直しもあって、2冊通して読むとまた感慨が湧いてくるのだけれど、やはり合本は分厚くて読みにくく、気軽に座右に置けません。旧版が手放せません。
 ボーイ・ミーツ・ガールなストーリーを基軸に、時間SFと人類進化SFと時代小説をまとめてやってしまったSFファン必読の意欲作。よくぞ、ここまでまとまったものだと感動すらしてしまいます。これであともうちょっとだけユーモアのセンスが加わると無敵です。

【星虫年代記2】【岩本隆雄】【えむかみ】【鵺姫真話】【鵺姫序翔】【鵺姫異聞】【航空テロ】【進化計画】【ボーイ・ミーツ・ガール】【タイムトラベル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シンフォニック・スター・トレック」 シンシナティ・ポップス・オーケストラ

2009-06-12 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 昔から映画やテレビドラマの音楽が好きでレコードやCDを購入していたのだけれど、昔はとにかくちゃちな再演奏版が多くて泣きました。
 番組で実際に使った「オリジナル・サウンドトラック」とはいわない、映画に使った音源ではないけれど演奏がもともとのオリジナルと同じな「オリジナルサウンドスコア」でなくてもいい。けれど、使っている楽器の数を簡単に勘定できるようなしょぼい編成で×××シンフォニック・オーケストラとか適当な名前を付けて誤魔化すな!ってなもんです。まあ、今ではたいていの作品はサントラが簡単に入手できる時代なので、よほどしょぼいものでもパチもんとして愉しめるようになりましたが、当時は悲しかった……。
 そんな中、このカンゼル指揮のシンシナティ・ポップス・オーケストラによる映画音楽集は、オリジナルのサントラでもないのにかかわらず本物並みにカッコイイ演奏で、作品によってはオリジナルより迫力があってお買い得でした。

 これはその「スター・トレック」編。
 最初のテレビ版TOGから「スタートレック・ヴォイジャー」までのテレビ作品や映画版のメインテーマやエンドタイトルを収録したもので、レナード・ニモイのオープニング・ナレーションで始まり、ボーグ人の囁きで終わる1枚。ザトウクジラの歌が入っているのもポイント。
 東海豪雨で流された車で聴いていたので、水が引いて回収したときにはジャケットはボロボロ。ディスクは車の隅々まで染み込んだ田んぼの泥で黄土色一色! 傷つけないように泥を洗い落とすのにどれだけ苦労したことか……。

【シンフォニック・スター・トレック】【エリック・カンゼル】【シンシナティ・ポップス・オーケストラ】【ワープ8】【ハゲタカ号】【転送機】【トリブル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする