付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件3」 七月隆文

2012-08-04 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 箱入りで隔離されたお嬢さまたちの学校に、主人公が「庶民サンプル」として拉致られた話の3冊目。タイトルのまま。

 才色兼備で人間的にも素晴らしいけれど、今まで見せ場のぜんぜんなかった有栖川麗子さまの結婚話を核に話は推移しますが、結局は下の一文に尽きます。

※この作品には大量のゲッツとダンディ坂野が含まれています。

 伏線っぽく、冒頭にもともとのクラスメイトであるアイドルの1エピソードが挿入されていますが、このキャラが今後必要になるのかなあ……?

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「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」 赤城大空

2012-08-03 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 ユピキタス社会が浸透すると同時に性情報への規制が強化され、不穏当な性的表現がことごとく排除された結果、こと性に関してはパンツを頭にかぶっていても周囲が不自然とも思わない、天然のカマトトが量産されている日本。
 その状況に敢然と立ち向かうレジスタンスがあった。
 彼女らは情報管理社会の網をかいくぐり、エロ本のコピーをばらまき、正しい性の知識を普及させようとしているのだが……。

 超模範的優良高を舞台に、性のディストピアに立ち向かうレジスタンスの戦いの記録。性知識ゼロのまま思春期に突入する危険性に警鐘を鳴らした意欲作。
 ディストピア話はまったくの絵空事なら笑い飛ばせるけれど、10年先はどうなるか分からないご時世なので、虚ろなバカ笑いで読み飛ばしました。倫理性に欠ける若者の無軌道な性と暴力を描写した小説で名をはせても、権力の座につくと一転する人もおりますし……。
 巻頭の見開きイラストがネタバレみたいになっているけれど、あそこをイラストにしないでどのシーンを描くというのか。というわけで、イラストは最後に堪能しましょう。

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「星のパイロット」 笹本祐一

2012-08-02 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
「我々は、聖地巡礼をしているんですね」
 シャトルのメーカーであるロックウェル社にて、ダニエルの言葉。
 聖地巡礼という言葉が、本来の意味より広く使われるようになったのはいつからでしたっけか?

 今よりも少しだけ宇宙開発が進み、民間企業の参入が相次ぐ宇宙開拓時代。
 航空宇宙会社がしのぎを削るアメリカ西海岸に、超アクロバット着陸を決めたジェット戦闘機のパイロットは、新任の女性宇宙飛行士の羽山美紀だったが……。

 ソノラマ文庫版の再刊だけれど、後半1/3に笹本祐一のアメリカ宇宙紀行が収録されていたので迷わず買い。断片的なものは他の単行本やインターネット上で見たことはあるけれど、まとめて読むと愉しいなあ。
 読んだ自分が愉しくなるというより、作者の「オレ、こんなスゴイものを行って見て触っちゃったよ!」という興奮が伝わってくるので、そのマニアックな凄さがよく分からない身でも感化されて興奮してしまうような紀行文です。
 『ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)』シリーズの原点とかいうけれど、宇宙機のオペレーションのプロセスの1つ1つを、ドキュメンタリーなみに丹念に描き始めた端緒の作品です。

【星のパイロット】【笹本祐一】【鈴木雅久】【朝日ノベルズ】【ハードレイク空港】【聖地巡礼】
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「魔境の女王陛下~薬師寺涼子の怪奇事件簿」 田中芳樹

2012-08-01 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 薬師寺涼子警視は逃走中の殺人鬼を追い、泉田らの部下を従えて海外出張。
 目指すは地の涯 シベリア奥地♪……

「共産主義は人類を虐待したけど、金融資本主義は人類を破滅させるわね」
 変わりゆくロシアを目の当たりにした薬師寺涼子の感想。

 才色兼備で大金持ちの薬師寺涼子警視が、行く手に立ちふさがる怪物の群れを真っ向勝負で粉砕していくお話の第9弾。
 今回はシベリア奥地の秘密都市に挑む魔境遊撃隊篇。福島の原発事故への言及に関しては今ひとつキレが悪い気がしないでもありませんが、今なお終決していない話ですから仕方がないと思いました。

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