付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「魔弾の王と戦姫5」 川口士

2012-10-20 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 侵攻してきた隣国を撃退したティグルたちは、ついにテナルディエ公爵とガヌロン公爵と対決することになる。
 だが、テナルディエ軍に敗北したガヌロン公爵は所領を焼き払うと姿を消してしまい……。

 第一部完結ということで、内乱篇はおしまい。
 ひとことで感想をまとめるなら、十六翼将がすべて美少女で固められたアルスラーン戦記……みたいな話になりそうな戦記ファンタジー。イラストは助けになってないし、もう少しキャラクターの描写を工夫しないと、増えていく頭数にそれぞれのキャラクターが埋没しちゃいます。

【魔弾の王と戦姫5】【川口士】【よし☆ヲ】【MF文庫J】【美少女戦記ファンタジー】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「らくせん」 蕗野冬

2012-10-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「どこで死んでもいいではないか。精一杯生きたのなら」
 武仙の正の言葉。

 暇を持て余して下界へ降りてきた仙人たちの恋物語。

 現代社会にあらわれた王子さまみたいな仙人たちが巻き起こす恋の物語。 2巻完結。
 女子高生から警視庁のキャリアまでいろいろな女性たちが登場し、彼女らに絡んでくる武仙たちの時代錯誤な言動がギャップの笑いであると同時に魅力。
 でも、普通に白泉社系とかでもありそうな話だなあと読み進めていて、最終エピソードでひっくり返り、やはり芝村作品であったかと納得。

【らくせん】【わが日本に王子系】【蕗野冬】【芝村裕吏】【電撃コミックス】【不器用で天邪鬼な女子たちに素敵な恋のご提案】【お母さんの若い頃は戦争があった】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「冒険商人シャルダン」 羽田正

2012-10-19 | 伝記・ノンフィクション
 「冒険商人」という言葉の響きだとすごく格好良くて、メジャーどころではドラゴンクエストの『トルネコの大冒険』とか、マイナーなところでは中里融司の『冒険商人アムラフィ』とかあるわけですが、実態としては当然のことながらマルコ・ポーロの路線なんですね。
 現代で言うなら国際的ビジネスマンとか交易商とか商社マンなんだけれど、17世紀といえばパリからペルシアというと行くだけでも大冒険……という意味での冒険商人であって、決してシンドバットのように宝石の谷に迷い込んだりとか、怪物と戦ってということはありません。はい。

 ジャン・シャルダンはペルシアの王宮に入り込むことに成功し、宝石商いで大成功したが、新教徒であるシャルダンは新教への迫害が続くパリを脱出してロンドンに移住。爵位を得て東インド会社の株を持つことにも成功する。だが、期待の長男は才覚の片鱗を見せないまま放蕩にふけり、インドに残してきた弟夫婦とは取引のいざこざから疎遠になり……。

 商売については親子・兄弟でもケチといわれても仕方がないくらい細かく正確な一方で、フランスから逃れてきた新教徒の支援にはどかーんと寄付する豪快さを併せ持つ人物像が面白い。パトロンになってもらう分には良かったかもしれないけれど、部下とか取引先としたらきつかったろうなあ。
 肖像画が、額縁のおかげで自然史博物館に収蔵されているというのもポイント。

【冒険商人シャルダン】【羽田正】【アジア交易】【イギリス東インド会社】【ペルシア】【旅行記作家】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「魔法無用のマジカルミッション」 シャンナ・スウェンドソン

2012-10-18 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「本当に力のある者は威張り散らす必要はないんだ。あんが本当に自分が思うほど力をもってるなら、命令なんかする必要はない。まわりが勝手にあんたのために働いてくれる。あんたを喜ばせたい一心でね」
 ブリジット・キャラハンの言葉。

 悪いやつをぶっつぶしたら会社の競争相手がいなくなってしまった。
 ライバル企業のいない市場のマーケティングに退屈していたケイティだったが、魔法使いオーウェンが他者を支配する力を与える危険な石がティファニーに現れたことに気づき、2人は追跡を開始する……。

 現代社会にも魔法使いや妖精は存在していて、普通の人間に紛れて生活しているんだよお……という世界のOLサクセスストーリーの第2シリーズ。

【魔法無用のマジカルミッション】【(株)魔法製作所】【シャンナ・スウェンドソン】【創元推理文庫】【古写本】【月の目】【ドラゴン】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「THE ULTIMATE COLLECTION」 ボリス・ヴァレホ&ジュリー・ベル  

2012-10-17 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 昔、火星シリーズやターザンなどのイラストで知られるフランク・フラゼッタの絵が好きで、イラスト集などを買い集めたものなのだけれど、ちょっとバタ臭すぎるヒロインの顔だけがちょい苦手でした。
 その過程で知ったのが、同じくファンタジー小説系の挿絵を中心に活躍しているボリス・ヴァレホ(Boris Vallejo)。ペルー出身でアメリカ在住。フラゼッタの影響を強く受けたそうですが、彼よりは日本人好みの(というか自分好みの)美人を描きました。
 ところが、最近の画集はジュリー・ベルとの共著ばかり。なにがあったかと思えば、夫婦なんですね。

 この画集は、そのボリスとジュリーの初期作から近作までの傑作選。
 技術的なことはわからないけれど、モデルの好みの変遷というか嗜好の違いは歴然。最初は目鼻立ちがはっきりして鮮やかだけれど、全体的にはすっきりした美人が多かったのに、後半はリアル系というか絵に描いたような美人が減りました。奥さんの影響も強いのかなあ。
 ジュリー・ベルのイラストも、やはりファンタジー・SF系のイラストばかりですが、そこらの街角でいくらでも見かけるような普通の顔の女性ばかり。リアル指向といえばそうですが、水着同然の衣装で、武器をかまえたヒロインたちの容姿が、そこらのおばちゃんレベルではショボン……というもの。
 絵としてはすごく綺麗で迫力があるんだけれど……。

【THE ULTIMATE COLLECTION】【ボリス・ヴァレホ&ジュリー・ベル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソードアート・オンライン7」 川原礫

2012-10-16 | VRMMO・ゲーム世界
「自分のためだけに走り続けるのだけが人生じゃない……誰かの幸せを、自分の幸せだと思えるような、そういう生き方だってあるんだ」
 バーサク治療師こと<閃光>アスナの言葉。

 ALOに突如現れた謎の剣豪<絶剣>ユウキは、1対1の対戦で挑戦者をことごとくはねのけてきた。あのキリトでさえ、負けてしまったのだという。そんなユウキに挑んで接戦に持ち込んだアスナに、ユウキは自分たちのパーティに加わってくれないのかと頼みこんでくる。
 一方、現実世界の明日奈は、母親からもっとレベルの高い学校に転校してキャリアを積み上げるよう命じられ……。

 こういうエピソードが1つは入ると思ってはいたけれど、こういう形で語られるとかなわない。完璧。定番パターンの組合せではあるのだけれど、必要なところに必要なピースがピタリとはまって磨き上げられました。
 面白い話でした。そして良い話でした。
 でも、茅場の影は消えないなあ……。

【ソードアート・オンライン】【マザーズ・ロザリオ】【川原礫】【abec】【電撃文庫】【MMORPG】【辻デュエル】【ボス戦】【メディキュボイド】【トロッコ】【帰る場所】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ディズニー伝説」 ボブ・トーマス

2012-10-15 | 伝記・ノンフィクション
「一言で説明しろ。それ以上口にするな」
 複雑になった話が巧くいくわけがないと、ロイ・ディズニーは物事を常に単純化することを好んだ。

 これはディズニー映画のノベライズでもないし、作品紹介やファンブックでもないし、ディズニーランドのホスピタリティに言及したものでもありません。
 ディズニーといえば天才肌のアニメーターであったウォルト・ディズニー。それ以外の人物が書籍やテレビ番組等で言及されることはほとんどありません。けれど、ロイ・ディズニーがいなければ、おそらくディズニー作品の大半は生まれていないし、ディズニーランドやらディズニーシーなんてものも存在しなかったはず。
 これは、天才にして芸術家であった弟ウォルトが、採算などろくに考えずに広げた夢想の大風呂敷を畳んで回った兄ロイの話。芸術なんか理解できないけれど、弟がやりたいことを実現できるよう、ひたすらマネージメントに奔走し、労働組合と戦い、銀行や大企業との交渉や金策に臨み、スタジオの土地や器材の確保に飛び回り、その一方で弟が身体を壊さないよう裏で仕事のオファー(MGMのミュージカル映画『錨を上げて』)を蹴っ飛ばしたり、ロイの管理部門とウォルトの制作部門で対立して弁護士を立てて喧嘩したりしています。
 ディズニーの伝説と言うより、「恋愛にルールはないといいますが、仕事ではモラルを無視するわけにはいきません」と主張したロイの物語。

 このロイの伝記ともいうべき本を読んでいると、ディズニーの著作権・商標権へのえげつないばかりの厳格さとかマーチャンダイジングの徹底ぶりに納得がいきます。
 そのアニメ製作の黎明期から、映画会社に足下を見られ、制作費は値切られる上に支払われない、キャラクターの権利を持っていかれる、パクリ作品が後追いしてくる、やっと軌道に乗ったかと思えば重役がダミー会社を作って商品化権を持っていこうとする、労働組合ができてスタジオが止まったかと思えば戦争が始まってスタジオが軍需工場として接収。戦争協力で作った広報・教育映画はことごとく赤字、何百と制作した部隊章デザインはすべて持ち出し。戦中戦後に製作した『ピノキオ』等は大赤字。そんなときに大人も子供も安心して遊べる遊園地を造るぞと天才弟がまたもや言い出して、資金繰りに右往左往……。
 そりゃあ、キャラクターの権利は絶対に手放さないという企業体質が遺伝子レベルで身についてしまっても仕方がありません。
 舞台を日本に移して翻案し、NHKの朝ドラの題材にしても良いような話です。なんというか、この兄の弟好きっぷりには照れてしまいますわ。あれだけウォルトに振り回されながら、彼の死後も「これはウォルトの望んだことかどうか」だけが行動原理で、ついには借金を残さずにディズニー・ワールドを建設してしまったのですから。
 手塚治虫にも、こんな兄か姉がいれば良かったのにね。

【ディズニー伝説】【天才(ウォルト)と賢兄(ロイ)の企業創造物語】【ボブ・トーマス】【日経BP社】【夢と魔法の王国を築いた影の男の物語】【内国歳入庁】【自治体】【株主総会】【ハワード・ヒューズ】【多角経営】【資金封鎖】【著作権侵害】【パターン爆撃】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「憑物語」 西尾維新

2012-10-14 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 見た目はかわいらしい童女だけれど、実態は付喪神で式神にしてゾンビ……というか、屍体を継ぎ接ぎして創られた人形だから、フランケンシュタインの怪物のお仲間なのかな。そんな斧乃木余接と阿良々木暦の物語。そして阿良々木暦の物語が終わる三部作の1冊目。

「結局のところ、人間はすべてを守ることも、すべてを手に入れることもできないんですから、じゃあ欲しいものを手に入れられなかったとき、それをどういう風に受け入れるのかってことが大事ですよね」
 すべてを見通すかのように上から目線で語る、忍野扇の言葉。
 でも、その彼女の存在そのものの不自然さに気づく者は多くない。

 暦の吸血鬼化がとまらなくなった。
 別に中学生の妹と一緒に朝風呂に入ったせいではないと思うが、忍野忍の助言に従った暦は影縫余弦と連絡を取ろうとするが、そこに臥煙伊豆湖からのメールが入る……。

「なんでも訊いて。大好きな鬼いちゃんの質問は、訊かれなくても答えたいんだ」
 距離感や関係がどうだったかほとんど覚えていないオノノキヨツギ。その感情がないのに感情を表現しようとする彼女の言動は悲しい。

 面白いけれど長い。
 本来なら化物語のように、1冊に2話とか3話とか入る本の1篇にふさわしい内容。三部作と言いつつ、それを1冊に収めても良いのではなかろうかと思わなくもない。
 でも、その水増し部分こそが本分だという解釈もないわけじゃなくて、つまりはこんなハードカバーを発売直後に新刊で買ってすぐに読んでしまうくらいには好きということなんですが。

【憑物語】【ツキモノガタリ】【よつぎドール】【西尾維新】【VOFAN】【講談社BOX】【青春に、別れの言葉はつきものだ】【ラッダイト妹】【バレンタインデー】【口腔内の魅力】【ドーナツ化現象】【クレーンゲーム】【入浴】【呪い】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る」 ゲイル・キャリガー

2012-10-13 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「男の魅力はあごひげにある」
「そして女の魅力は首から胸もとにあるのよ」


 吸血鬼や人狼が政界や軍事での重要な一角を担っている、ヴィクトリア朝ロンドン。故あって吸血鬼に一人娘のプルーデンスを養子に出したが、特殊能力を持つ2歳の娘に養父アケルマダ卿も人狼である実父のマコン卿も四苦八苦の大騒ぎ。
 そんな折、世界最高齢の吸血鬼マタカラ女王からアレクシアにエジプトへの招待が届くのだが……。

 英国パラソル奇譚も、5冊目の『アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る』で本編完結。あの人が主役の前日譚やあの子が主役の後日談もあるらしいですが、まずはきれいにロマンス小説らしく完結。めでたし。
 もちろんロマンス小説らしく行き違いからの夫婦の危機有り、スチームパンクらしく奇妙きてれつな発明品の活躍有り、世界最古の吸血鬼やアレクシア女史の父親の遺言による大活劇有りで、波瀾万丈、往く人有れば来る人も変わる人も有りの最終巻。

【アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る】【英国パラソル奇譚5】【ゲイル・キャリガー】【sime】【ハヤカワ文庫FT】【パラノーマル・ロマンス】【スウォーム】【アレクサンダー大王】【エジプト】【ミイラ】【神殺し病】【エーテル】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「犬とハサミは使いよう Dog Ears2」 更伊俊介

2012-10-12 | 本屋・図書館・愛書家
「誰かの犠牲の上に立つ未来を、私は未来と呼ばない」
 自分は生まれてこの方、常にハサミと一心同体であったと夏野霧姫の言葉。

 5編の短編集。
 高校進学した妹・円香と彼女を取り巻く少女たちの物語『躓く犬も縁の端』が、このまま新シリーズのプロローグに使えそうな話で面白い。
 語り手が「自分は普通だけれど」と前置きして、普通ではない円香や名探偵のタマゴである空戸アリシアとの話を語るのだけれど、この短編集では再三再四「自分たちは普通と思って特に言及してこなかった」ことがどれだけ世間一般の常識と乖離しているかと繰り返されているので、案の定……ということです。
 この本で語られている「普通」が、他人から普通と認められるとは限らないというのは、大なり小なりあることですけどね。

【犬とハサミは使いよう】【Dog Ears】【更伊俊介】【鍋島テツヒロ】【ミステリ系不条理コメディ】【名探偵】【都市伝説】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「いとみち~二の糸」 越谷オサム

2012-10-11 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 本州最北端の青森市内のメイド喫茶でバイトすることになった女の子の物語の続き。

 相馬いとも高校2年生になった。メイドカフェのお店も新聞取材で好意的に報じられたこともあって好調。
 けれども最近なにかしらお店で先輩たちや常連のお客さんから避けられている感じだし、親友とはケンカしちゃうし、いとはあいかわらず訛りが酷くて人見知りで、背が小さくて胸が薄くて、ドジで頑固者なままだった……。

 安心して愉しく読める青春小説。
 友だちは増えないし、人づきあいも苦手だけれど、親友に誘われて写真同好会を始めました。ちょっとだけ前向きになった少女が、相変わらずいろいろ悩むしトラブルも起きるけれど、安直にならないぎりぎりの範囲で、みんなに力を借りながら解決していきますし、みんなを助けることもできるようになります。この少女の成長をきちんと描いているところが好きです。
 そして今回は出会いと別れの物語。去る者がいれば来る者がいて、招かざる客があれば思いもよらぬ嬉しい再会があり、小さなエピソードが1つずつ積み上げられていきます。
 写真部とメイドカフェと津軽三味線と、この3つの要素がきちんと語られ、物語の中にはめこまれていくのも読んでいて気持ちが良いものです。

いとみち】【二の糸】【越谷オサム】【もりちか】【新潮社】【津軽三味線】【写真部】【DQNネーム】【合宿】【披露宴】【漫画家】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソードアート・オンライン6」 川原礫

2012-10-10 | VRMMO・ゲーム世界
「戦えない人間なんかいない! 戦うか、戦わないか、その選択があるだけだ!」
 キリトの言葉。

 銃使い30人によるデスゲーム、<バレット・オブ・バレッツ>の決勝大会が始まった。直径10キロの円形のエリアでのバトルロイヤルだ。
 だが、キリトの探し求めていた相手、死銃使いを目の前にしてシノンの動きが止まる。引き金が引けないのだ。氷の狙撃手と呼ばれたシノンに悪夢が甦る……。

「この世界が唯一の現実だわ。もしここが、実はアミュスフィアの作った仮想世界だったとしても、私にとっては現実……ってことだと思う」
 仮想世界なんてないと朝田詩乃の言葉。

 銃の世界ファントム・バレット編もこれにて完結。今回も面白かった。いろいろ好き勝手にやっているように見えながら、実は仮想現実世界を題材にしたテーマを1つずつ潰していますね。
 そして少しずつ人の輪が広がっていく様子を見守るのも、『ソードアート・オンライン』の楽しみかも知れません。菊岡の真意はまだ読めないので静観ですけれど、このシリーズは基本的に登場人物なり読者がひっかかった場所はほとんど伏線になっているので、ここらも先の展開の伏線なんでしょう。

【ソードアート・オンライン】【ファントム・バレット】【川原礫】【abec】【電撃文庫】【MMORPG】【GGO】【光学迷彩】【アンチマテリアル・ライフル】【賞品】【校門で出待ち】【RMT】【S2監視システム】【フルダイブ技術】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ゴールデンタイム5 ONRYOの夏 日本の夏」 竹宮ゆゆこ

2012-10-09 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 埼玉にも夏が来た。
 炎天下の商店街で阿波踊りに参加したり、嵐の中で海水浴に出かけたり。幽霊の祟りなのか、万里の夏は災難続きでやることなすことトラブル続きで……。

 不器用な大学生たちの青春小説ですが、これが駒都えーじのイラストで刊行されるってあたりに電撃文庫の懐の深さを感じます。 

【ゴールデンタイム5】【ONRYOの夏 日本の夏】【竹宮ゆゆこ】【駒都えーじ】【電撃文庫】【青春ラブコメ】【カレー焼きそば】【エア料理】【キャッツアイ】【貧弱な小島よしお】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アウトブレイク・カンパニー~萌える侵略者3」 榊一郎

2012-10-08 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 読み飛ばしていたのに気がついて、書店で探してきました。

「人間、40とか50とかになると、変な自信がついちゃって、もう自分の間違いを認めるのすら、難しくなっちゃうらしい。挙げ句に自説を補強するために暴論や極論に走っちゃう人も少なくない」

 日本政府の暗殺計画を退けた総支配人・加納慎一が直面した次なる課題は種族間の対立。同じ学舎の中ですらエルフとドワーフは仲違いをし、人間の貴族や騎士は亜人種たちをバカにしてはばからない。
 そこで彼が持ち込んだのはサッカー。
 殺し合わずに競い合うという考えがなかった世界に「スポーツ」という概念を持ち込んだ慎一だったが、この世界の人々はサッカーという競技は映画やアニメでしか知ることができなかったので……。

 ……ああー……イラストが手を抜きましたね。サッカーの試合がメインの話で、プレイ光景が1つもないというのは悲しいぞ。SDキャラがボールを蹴っているカット1つやん。せっかく話が超人蹴球なのに……。

【アウトブレイク・カンパニー】【萌える侵略者3】【榊一郎】【ゆーげん】【講談社ラノベ文庫】【腐人自衛官】【絶賛発酵中】【南斗人間砲弾】【イナズマイレブン】【少林サッカー】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「クリス・クロス」 高畑京一郎

2012-10-07 | VRMMO・ゲーム世界
 読む順番を間違えたなあと思います。
 最初に『眠れる龍』を読んで「本の世界に入り込むというのはあったけれど、今度はゲーム世界かあ」と思い、最近になって『スカイワールド』を読んで「今はMMORPGなのね。『クジラのソラ』とか『エンダーのゲーム』とかゲームのつもりがリアルだったという話はあったけれど」と喜んでいて、『ログ・ホライズン』もその手の話と教えられて面白いと喜び、さらに『ソードアート・オンライン』もゲームに世界に入り込んで戻れなくなったプレイヤーたちの物語と訊き、意外にこの手の話は多いし、どれも面白いなあと喜びながら絨毯爆撃。
 面白いと思った作者やテーマがあれば、一通り集中的に集めて読み進むのが常なのですけれど、そうした中でひっかかってきたのが本書。

 日本が総力を結集して作り上げたスーパーコンピュータMDB9000<ギガント>。
 その性能をプロモーションすべく開発されたのが、仮想現実世界での冒険を体感できるという「ダンジョントライアル」。だが、その一般試写会に参加した256人のプレイヤーは、自分たちが帰還不可能な世界にいることに気がついた……。

 これも面白いのだけれど、発表当時に読んでなければいけなかった。仮想現実ゲーム世界を舞台にしたデスゲーム小説としては古典の部類。この本のあおりでは「日本初バーチャルRPGノベル」ということだけれど、先行する『クラインの壷』という話もあるので「初」ではないかも。どちらにしても、後続の作品と比してゲーム小説というよりサイコホラー的なテイストが強いのが特色です。
 仮想の「現実」とリアルな「現実」の境界にテーマの根幹が隠されていたり、ゲーム世界に入り込むのにカプセルに入って薬物投与と催眠暗示が必要とか、ゲームの内容がウィザードリイを意識したダンジョンゲームだとか、最大プレイ人数が256人だとか、結末がある種の「政府は真相を隠している」かもな陰謀論だったり、いろいろ時代を感じさせる作品です。
 テーマがテーマだけに仕方がないけれど、キャラクターや物語に魅力が見出せないのが残念でした。

【クリス・クロス】【混沌の魔王】【高畑京一郎】【きがわ琳】【電撃文庫】【MMORPG】【朗読劇】【管理者権限】【におい】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする