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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

マンガ大戦争 1945-1980

2011-01-26 22:23:41 | 読んだ本
幸森軍也 2010年 講談社
なーんか、最近、本(半分はマンガだけど)がたまってて、ここへ書いて整理しなきゃいけないものが、いっぱいあるんだけど。(すべてが新刊とは限らない。)
さて、これは、つい今さっき読み終えたばかりのもの。
去年の11月に出版されて、たしか『マンガの教養』と同時に買っといたんだが、しばらく放っておかれていて、きのうから手にとったら、面白くて勢いで読んぢゃった。(サッカーなんてロクに見ないで、夜中過ぎるまで本読んでんだから、時代に取り残されるわな、そりゃ。)
戦後から1980年くらいまでの日本のマンガの発展について、マンガ雑誌の出版の歴史に焦点をあてて振り返ったもの。
最初に、戦後のマンガの現れ方について、月刊誌でのマンガの取り扱いようとか、貸本という形態についても解説。
次に、1959年に少年向け週刊雑誌として、小学館が「サンデー」、講談社が「マガジン」を出したときの話。両社が張り合って、先に出そうとしたり、有力マンガ家を獲り合おうとしたりって、バトルの模様がわかる。
週刊連載ってマンガ家にはキツイから、原作を別のひとに作らせて作画に専念させるとか、かたやマンガは社会のおとなたちから悪書呼ばわりされるから、本文には読み物を入れてマンガは付録にしたとか、いろいろ出版文化の勉強になるねえ、これ。
さらに、後発の「キング」「ジャンプ」「チャンピオン」がどうやって参戦してきたか、それは何を生みだしたか。
そのあと、60年代後半から70年代に、「マガジン」は主に劇画を中心に撃って出るんだが、その戦略の模様とか、さらにアニメとかとのメディアミックスの発展とかの歴史も詳しい。
最後の章では、青年誌の発展について。手塚治虫以降のストーリーマンガによって育った子どもたちが成長した世代を狙って、おとなが読むマンガをつくるべく各社が努力した。かつて「思いつきの漫画ぢゃなくてストーリーのある劇画」と主張した勢力があったように、「子ども向けのマンガぢゃなくて成人向けのコミック」って新しいジャンルの確立を目指して、作者を探したり戦略を練ったりした歴史、これまた勉強になります。「ビッグコミック」の「ビッグ」ってビッグネームのマンガ家集めるって意図だし、週刊ぢゃなくて隔週なのは執筆陣に質の高さを保ってもらうために必要なローテーションだったのね。
ということで、タイトルのとおり、マンガの発展には出版社間の激しい争いがあったってことが語られてますが(集英社は小学館の娯楽部門の子会社だったのね)、各雑誌の創刊年次とか、そのときの掲載作品のリストとか、データいっぱいで、日本のマンガ出版文化の歴史がよくわかります。
最後には、オイルショック時とかを契機に、雑誌の赤字を単行本収入で補うっていう経営スタイルが、いまも変わってないから、今後のマンガ雑誌出版ってだいじょうぶかいな、って心配もしてますけど。
コンテンツは以下のとおり。
第1章 月刊誌・赤本マンガ・貸本マンガ(1945年~1959年)
第2章 「サンデー」と「マガジン」(1959年~1965年)
第3章 「キング」「ジャンプ」「チャンピオン」(1963年~1975年)
第4章 劇画の「マガジン」、ラブコメの「サンデー」(1965年~1980年)
第5章 成年誌と青年誌(1956年~1980年)
コメント
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